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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

星野源「恋」常時ランクインの原動力はストリーミング…サブスク解禁が如何に重要かを考える

逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)で共演した新垣結衣さんとの結婚を19日水曜に発表した星野源さん。ふたりを祝福する思いが、星野源さんのチャートアクションに大きな影響を与えそうです。

Spotifyデイリーチャートでは「不思議」が最高再生回数を更新しました。

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上位曲の日曜までの再生回数推移は来週月曜以降にツイートしますが、星野源「不思議」は19日における前日比が122.8%、驚異的な数値となっています。

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上記は「不思議」のビルボードジャパンソングスチャートにおける推移(CHART insight)。ダウンロード(紫)やラジオ(黄緑)が緩やかにダウンしたことで総合(黒)は2→11→18位と後退。一方でサブスクの再生回数に基づくストリーミング(青の折れ線で表示)は安定し、また最新チャートの集計期間中にティザーが公開されたことで動画再生(赤)が100位未満ながらも300位圏内に入り加点対象となっています。

「不思議」は「創造」とのダブルAサイドシングルとして6月23日にフィジカル化されるため、この曲はフィジカルセールス(黄)が初めて加算される6月30日公開(7月5日付)でピークを迎えるものと考えます。ならば、それまでに如何に勢いを落とさずとどまるかが重要となるのですが、大物歌手の作品ほどデジタル解禁直後にピークを迎え、直後下降のスピードを速めている傾向が高まっています。ともすれば「不思議」もその動きをなぞるものと考えられましたが、仮に19日以降サブスクの勢いが継続すれば、「不思議」がフィジカルセールス加算前に再び総合トップ10入りを果たすこともあるでしょう。

 

 

そして、Spotifyで200位以内に返り咲いた「恋」の動向は、ストリーミングの重要性を知るに十分です。

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上記は「恋」の直近60週分のチャート推移。主題歌に起用された『逃げるは恥だが役に立つ』のコロナ禍での再放送や、今年初めのスペシャル放送のタイミングで総合100位以内に復帰していることが解ります。そしてこの「恋」、実は2016年9月14日公開(同年9月19日付)以降一度として300位を下回ったことがないのです。詳しくは下記CHART insightをご確認いただきたいのですが、現在の「恋」における最大の原動力はストリーミングであり、2019年夏にサブスクを解禁して以降この指標が常に加算されています。

(なお、「恋」はリリース当初からストリーミング指標が加算されてきましたが、これは当時同指標においてプチリリの歌詞表示回数が大きく影響していたためです。)

 

 

ストリーミング指標の基となるサブスクは、聴きたい時に手元にフィジカルがなくとも、またダウンロードせずとも、一部サービスでは無料会員でも聴取できるというものであり、新曲のみならず過去曲においてもタイアップ先の(再)放送やその歌手が話題になった時、またTikTokで人気になったとき等に再生回数が増える傾向があります。仮に星野源さんが一昨年にサブスクを解禁していなかったならば、「恋」のヒットは現在まで継続していなかったかもしれませんし、また次週の急浮上(の見込み)は可視化されないことになるのです。

 

このブログエントリーではチャートアクションの側面から、サブスク(解禁)の重要性を常に示唆しています。

本日B'zがサブスク解禁を果たしましたが、日本人歌手では未だ解禁しない方が少なくありません。そして未だに、サブスク解禁が何ら引っかかりなく受け入れられる状況にも違和感を覚えます。

音楽を発信する人の意識が変わることを願うばかりですが、同時に受け取る側の意識もまた変化が必要ではないか…厳しい物言いですがそう感じています。