(※訂正(8月18日12時08分):ビルボードジャパンの記事に訂正が入りました。つきましては訂正された記事のリンクを掲載し、ブログエントリーにおいても一部訂正を行いました。 )
毎週木曜は、最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。
8月2~8日を集計期間とする8月11日公開(8月16日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。フィジカル関連指標初加算に伴い、Sexy Zone「夏のハイドレンジア」が首位を獲得しました。
【ビルボード】Sexy Zone「夏のハイドレンジア」259,361枚を売り上げ総合首位に初登場 https://t.co/SaVuc9NrBQ pic.twitter.com/AIz9b7NFHs
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年8月11日
フィジカル関連2指標でトップの「夏のハイドレンジア」。初週セールスは前作「LET'S MUSIC」のおよそ1.5倍となりますが、昨年リリースのシングル「RUN」および「NOT FOUND」とは同程度となっています。
注目は上記CHART insight(チャート推移)において赤で表示される動画再生指標。フィジカル関連指標の初加算週に25→18位と順位を上げています。ジャニーズ事務所所属歌手においてはフィジカル初加算週にこの指標が下がる傾向があり、コアなファンがミュージックビデオの視聴先をYouTubeからフィジカルに同梱された映像盤に移行するゆえと捉えていますが、今回はリリックビデオの存在が影響したものと考えます。
集計期間初日の前日に解禁された上記ビデオはフルサイズであり、ジャニーズ事務所所属歌手では珍しい試み。その一方で、ストリーミング指標の加算とまでは至りませんでした。次週、フィジカルセールスの急落に伴い総合チャートのダウンは必至ですが、リリックビデオ等の影響でどこまで踏みとどまることができるか注目です。
さて、最新のビルボードジャパンソングスチャートでも東京オリンピックの影響が色濃く出ました。前週についてはブログエントリーにて紹介しています。
今週は接触指標以上に、所有指標に大きな影響を及ぼしたと言えるかもしれません。
とりわけ大きいのはダウンロード。1位および10位のダウンロード数は共に今年度最低であり、1位の1万割れはインパクトが実に大きいと言えます。
総合ポイントにおいても、10位および50位の数値が共にダウン。特に10位においては4月28日公開(5月3日付)以来となる5千ポイント割れとなりました。
最新週における上位50曲のポイント推移を確認しましょう。
前週のトップ50におけるポイント上昇はわずか4曲でしたが*1、今週は13曲と3倍強に。一方でトップ10に絞ると、ポイント上昇曲はOfficial髭男dism「Cry Baby」(5位)に限られるのです。
この3週におけるストリーミング再生回数は1位、10位ともにダウン。4週連続で首位の座に就くBTS「Permission To Dance」のダウンはリリース直後の話題性が薄れてきていることもあり自然なものかもしれませんが、一方で10位のダウン(618万→584万→566万)はオリンピックの影響による可処分時間の音楽接触からの移行と言えそうです。
もうひとつ仮説を立てるとすれば、決まった曲を聴くわけではない(たとえばヒットチャートのプレイリスト主体に聴く等の)層が大きくオリンピック視聴に移行したのかもしれません。最新チャートの総合トップ10在籍曲はSexy Zone「夏のハイドレンジア」を除きストリーミング指標11位までに登場。サブスク再生等に基づく同指標は総合チャートに大きくリンクしているため、そのような仮説が成り立つのではと考えた次第です。
次週は東京オリンピックが終わり、チャートも少しずつオリンピック前の状況に戻っていくことでしょう。その次週において抜け出す曲はどれか、チェックしていきます。
最後に、前週首位のジャニーズWEST「でっかい愛」はポイント前週比15.4%となり、他の曲と比べて大きく下回ります。フィジカル関連指標加算2週目におけるポイントの大幅なダウンはSnow Man「HELLO HELLO」(7月28日公開週において22.8%)でもみられています。
配信の活用は自分も強く希望します。デジタルに明るくないことで日本のエンタテインメントが世界から"閉じている"と思われかねず日本の業界にとってマイナスと考えることも希望の理由です。
— Kei (@Kei_radio) 2021年8月10日
なお、ジャニーズWEST「でっかい愛」はレンタル解禁が17日後。レンタルによるルックアップはまだありません。 https://t.co/cJTgXjyJq6
栗本斉さんが書かれた記事において、レンタル解禁前にもかかわらずレンタル分が加算という記載は誤りですが、しかしながらデジタル未解禁はこのようなポイント前週比の大幅な下落につながり、またロングヒットに至れない点においても至極勿体ないと言わざるを得ません。
(※訂正:8月18日に上記記事に訂正が入りました。訂正後の記事は下記リンク先をご参照ください。)
この記事におけるジャニーズ事務所側への提案については強く支持します。ファンを中心に好意的な声が多数聞こえるゆえ、なおのことです。
— Kei (@Kei_radio) 2021年8月10日
個人的には、ポッドキャストでも度々言及されているジャニーズ事務所所属歌手のルックアップの高さについて、分析することが必要だと考えます。
ビルボードジャパンがチャートへの自負を基に、デジタル推奨を発信することは非常に好いと考えます。同時に、栗本さんが(そしてビルボードジャパンが)検証すべきはむしろ、上記ツイートで述べた内容やTwitter指標のほうではないでしょうか。
*1:前週のブログエントリー参照。なお前週ポイントを伸ばした超特急「CARNAVAL」は今週100位未満(300位圏内)にダウンしたため、最新チャートにおけるポイント前週比を算出することができません。