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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ヒットの予感】藤井風「きらり」を大ヒットに導く3つのポイント

次週5月12日公開(5月17日付)ビルボードジャパンソングスチャートにおいて、Honda VEZEL e:HEV CMソングに起用された藤井風「きらり」の躍進が予想されます。

集計期間の前半3日間(5月3~5日)において「きらり」はダウンロード首位となり、ストリーミングは13位に登場。この結果を踏まえ、日本で数少ないチャート予測を行うあささん(Twitterアカウントはこちら)は次週のビルボードジャパンソングスチャートで「きらり」が総合2位を獲得すると予想されています。

集計期間前半が祝日のためストリーミング再生回数がやや増える傾向にあると考えられますが、ならば「きらり」のみならず全ての曲に当てはまること。その中にあって躍進著しい「きらり」は間違いなく次週の目玉となるはずです。

その躍進の理由を探ってみます。

 

 

① 認知度の絶え間なき上昇

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衝撃的なデビュー曲だった「何なんw」を含むアルバム『HELP EVER HURT NEVER』は発売からまもなく1年となりますが、アルバムチャートでは常時100位以内にランクイン、2021年度においては都合8度に渡り20位以内に登場してます。今年強力なアルバムが多くないことも浮上の理由として挙げられるでしょうが、以前このブログで強くないと指摘したルックアップ指標がフィジカルセールスの順位を上回ることが増え、CDレンタルの需要増(すなわちレンタル店舗の在庫増)が見て取れます(指摘した内容はこちら)。

『HELP EVER HURT NEVER』は、アルバム以降にリリースされた曲のヒットのみならず、プロデューサーのYaffleさんが『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日)に出演したこと、アルバムがCDショップ大賞を受賞したこと等によりロングヒットに至っていると考えられます。

アルバム以降のリリース作品では「旅路」に注目。ドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日)主題歌となったこの曲は、藤井風さんにとって初のトップ10ヒットとなり、最新5月5日公開(5月10日付)ビルボードジャパンでは100位以内をキープしています。

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作品の評判や称賛、新曲が登場する度に上昇する注目度…これらが「きらり」に繋がるのは自然なことです。

 

 

② さらなる箔をつけたCMタイアップ

「きらり」をCMソングに起用したのはHONDA VEZEL e:HEV。VEZELは2013年に初代モデルが登場し、今年フルモデルチェンジのタイミングで「きらり」を起用。その初代においては、CMソングのセンスの高さが評判を呼びました。

CMソングは、2016年9月からはSuchmosの「STAY TUNE」、2018年2月のマイナーチェンジ時のCMからは、Suchmosの「808」に変更、2019年1月のツーリング追加時に放映されていたCMからは、SIRUPの「Do Well」、2019年11月のModulo X追加時からはKing Gnuの「小さな惑星」、Friday Night Plansの「HONDA」が起用された。ナレーションは眞島秀和が担当。

ホンダ・ヴェゼル - プロモーション - Wikipediaより

(King Gnu「小さな惑星」はミュージックビデオ不在のため未掲載。)

起用された楽曲はいずれも小気味よく、「きらり」もこの流れを踏襲していると言えます。2016年初頭にリリースされたSuchmos「STAY TUNE」は同年9月のCMソング起用後チャートを再浮上、2017年度のビルボードジャパン年間ソングスチャートで19位を獲得しています(年間チャートはこちら)。CMソングのインパクトが認知度上昇に大きく寄与している以上、「きらり」もまた起用を機に躍進することが考えられます。

 

 

③ 非凡な才能を見せつけたライブパフォーマンス

次週5月12日公開(5月17日付)ビルボードジャパンソングスチャートの集計期間内において、藤井風さんは複数のライブパフォーマンスを行っています。

まずは万全な感染対策の下で行われた(初日の不備を2日目以降に改善させたとも伺っている)VIVA RA ROCKに出演。「きらり」もここで披露しています。そして。

元日以来となるYouTubeでの生配信を昨日実施。『ミュージックステーション』(テレビ朝日)の真裏でしたが多くの方が視聴しています。生配信の頻度は高いとは言い難いものの、だからこそ昨日の配信はプレミア度が高く、またリリース週の実行は「きらり」の注目度をさらに高めるに十分です。

この配信、自分がYouTubeを開いたときには寝そべりながら「旅路」を弾くという光景が映っていたのですが、そのアクロバティックな面も含めて多くの方を魅了したと考えます。

 

 

以上3点、如何でしょうか。アルバムがロングヒットを記録し、その評価や重要人物のフックアップ、新曲投入により話題に事欠くことなかった藤井風さん。センスが高いと評判のVEZELのCMタイアップに選ばれた「きらり」は、ライブパフォーマンスの評判をさらなる追い風にして勢いを高めているのです。

 

 

さらに面白いのは、ビルボードジャパンソングスチャートのストリーミング指標の基になるサブスク再生回数。主要デジタルプラットフォームの順位をみると、5月8日7時の段階でLINE MUSICが15位(リアルタイムチャート)、Apple Musicが18位(デイリーチャート)、そしてSpotifyでは9位に上昇しています(5月6日付)。サブスクサービスの中では保守的なチャートアクションであるSpotifyで強さを発揮するのは、Spotifyならではのサービスも影響しているでしょう。

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5月9日までのSpotify再生回数推移は5月11日火曜にツイートしますが、この勢いの凄まじさはビルボードジャパンソングスチャートでの最高位更新を十分に予感させるものです。

 

「きらり」がビルボードジャパンソングスチャートでどこまで上昇するか、注目しましょう。