ここ数年の恒例となっている、日本版グラミー賞があったならば?を仮定しノミネーションを考える企画、2020年度も掲載します。昨年度分は下記に。
来年開催される米グラミー賞においては、米ビルボード年間ソングスチャートを制した「Blinding Lights」を含め、ザ・ウィークエンドが一切ノミネートされなかったことから同賞への不満が噴出しています(その点については(追記あり) 米グラミー賞ノミネート発表…主要部門ノミネートの傾向および”不在”への私見(11月25日付)で述べています)。グラミー賞に問題がないわけではないものの、そもそも日本にグラミーのような権威があり且つ多くの方から支持される(それゆえ正当な批判も起こる)賞がないと考えています。そこでビルボードジャパンのチャート等を参考に、日本版グラミー賞を想定した上で選んでみました。今年度のビルボードジャパン各種チャートについては以下に私見をまとめています。
○日本版グラミー賞 主要4部門ノミネート一覧
・対象:2019年12月~2020年11月発売の作品より選出。ただしそれ以前の発表ながら、対象期間にヒットしたものも含む。
(ちなみに米グラミー賞は2019年9月~2020年8月発売分が対象)
・新人賞(Best New Artist)についてはメジャーデビューしてからアルバム1枚以上リリースした歌手が対象(しかしながらその限りではない)
セレクトは昨日完了しました。
Record Of The Year (最優秀レコード賞)
・あいみょん「裸の心」
・瑛人「香水」
・Official髭男dism「I LOVE...」
・NiziU「Make you happy」
・BTS「Dynamite」
・YOASOBI「夜に駆ける」
・米津玄師「感電」
・LiSA「炎」
主に2020年度ビルボードジャパン年間ソングスチャートを踏まえて選出。BTS「Dynamite」よりも年間チャートで上回る曲はあるものの、接触指標群が長けているほうが社会的な認知度の高い曲であるとの前提で選んでいます。この前提は、たとえば『ミュージックステーション』(テレビ朝日)の”今年の1曲ランキング”でも示されたものです。
なおこの賞においては海外の作品も等しく対象としています。実際のグラミー賞でもイギリス等の作品が多数、受賞やノミネートされています。
受賞するとすれば、ビルボードジャパン年間ソングスチャート最上位のYOASOBI「夜に駆ける」、もしくはソングスチャート首位登場からわずか6週で年間ソングスチャート9位に飛び込んできたLiSA「炎」の一騎打ちと考えます。
Song Of The Year (最優秀楽曲賞)
・あいみょん「裸の心」
・Official髭男dism「Laughter」
・King Gnu「Teenager Forever」
・藤井風「優しさ」
・三浦春馬「Night Diver」
・YOASOBI「夜に駆ける」
・米津玄師「感電」
・LiSA「炎」
ビルボードジャパン年間ソングスチャートを主体としながら(特にストリーミングやカラオケ指標を重視)、ネットや好事家の評判も踏まえて選出。最優秀レコード賞との被りは半数の4曲。アルバムの評判やその後のメディアでの取り上げ数の多さを踏まえ、藤井風「優しさ」を選んでいます。
受賞するとすれば…この賞については極めて難しいですが、どの作品にも可能性があるでしょう。映像作品のタイアップならば、その作品の世界観とリンクし高め合う作品が受賞に近づくものと捉えています。
Album Of The Year (最優秀アルバム賞)
・あいみょん『おいしいパスタがあると聞いて』
・嵐『This is 嵐』
・Awich『孔雀』
・King Gnu『CEREMONY』
・GEZAN『狂(KLUE)』
・藤井風『HELP EVER HURT NEVER』
・米津玄師『STRAY SHEEP』
・ヨルシカ『盗作』
ビルボードジャパン年間アルバムチャート上位作品を主軸に、好事家の評判、そして音楽誌の年間アルバムランキングを踏まえて選出。特に音楽誌においては非常に面白い内容だったゆえに、その順位だけでもネットに掲載されないのは至極勿体なく思うのです。この点については昨日指摘していますが、Awich『孔雀』そしてGEZAN『狂(KLUE)』をはじめ、Moment Joon『Passport & Garcon』やMONOEYES『Between the Black and Gray』等の素晴らしさを知ることができたのはそれら雑誌のおかげです。
本命は米津玄師『STRAY SHEEP』でしょう。CDセールスでのミリオン突破、ビルボードジャパン年間アルバムチャート構成3指標すべて1位という快挙を達成しているだけに尚の事。対抗は年間アルバムチャート2位のKing Gnu『CEREMONY』、そして好事家の評判が高くロングヒットとなり年間アルバムチャート34位に入った藤井風『HELP EVER HURT NEVER』でしょうか。
Best New Artist (最優秀新人賞)
・Vaundy
・瑛人
・NiziU
・藤井風
・YOASOBI
・Rin音
こちらもビルボードジャパンの各種年間チャート等を踏まえて選出。今年は新人の活躍が目立った一年だったと強く実感します。既存メディアに多数出演したジャニーズ事務所所属の二組もさることながら、YouTube、そしてなによりTikTokでのバズが大きな影響を及ぼしたと言え、聴き手に届くアプローチの仕方は一気に多様となりました。
受賞はYOASOBIが一歩リードでしょうか。しかしながらアルバムもしくはEP単位でのリリースがないため歌手の世界観を確認できる意味でも、藤井風が本命視されておかしくないでしょう。
以上主要4部門、いかがでしょうか。
以前からの繰り返しになりますが、音楽業界には日本版グラミー賞的な賞の創設は必要です。世界に誇る音楽賞が形骸化し日本レコード大賞への疑問が毎年のように噴出する一方、それを指摘する方が前向きな意見を提示しないことは疑問を抱きます。ならば日本レコード大賞を変えるよう提言し続けること、そして日本を代表する音楽賞を創設することは必要です。