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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

日米そしてグローバル…Spotifyでイブと当日のクリスマスソングの動向をみる

昨年も行ったSpotifyにおけるクリスマスソングの動向、今年もチェックしてみます。

ビルボードソングスチャートでは最新12月26日付において、クリスマスソングがトップ10に6曲ランクイン(→こちら)。次週はマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」の復帰1位も予想されます。

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12月24日の米Spotifyデイリーチャートではトップ20をクリスマスソングが独占、それどころか40位までを占めています(クリスマスソング以外ではバッド・バニー & ジェイ・コルテス「Dákiti」の41位が最高)。そして翌25日では39位までをクリスマスソングが独占するものの、40位以降はプレイボーイ・カーティ(プレイボーイ・カルティと表記するメディアも)のニューアルバム『Whole Lotta Red』収録曲が大挙初登場を果たしたため、クリスマスソングおよびプレイボーイ・カーティ以外では「Dákiti」の112位が最高となるのです。

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主なクリスマスソング10曲を選び、12月18日以降のSpotifyデイリー再生回数推移を追いかけると、全曲がクリスマス当日に最高を記録しています。一方でイブからクリスマス当日におけるマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」の伸びが今ひとつなのは、同曲が家族よりも恋人を想起させるゆえかもしれません。

 

これが世界中(グローバル)でみると状況が変化。

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米と同じ10曲の推移をみると、すべてクリスマスイブにピークを迎えています。またSpotifyのクリスマスソング独占はイブが18位、クリスマス当日が20位まで、クリスマスソング以外での最上位は両日共にバッド・バニー & ジェイ・コルテス「Dákiti」となっています。クリスマスソングにおいてはワム!アリアナ・グランデケリー・クラークソンといった近年のスタンダード曲が米より上位にあるのも特徴です。

 

日本ではどうでしょうか。

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日本のSpotifyデイリー再生回数推移においては洋楽5曲と邦楽5曲の計10曲をセレクト。SEKAI NO OWARI「silent」は秋クールのドラマ『この恋あたためますか』(TBS)主題歌ゆえクリスマスシーズン以前からヒットしていましたが、最終回を迎えた22日から3日連続で最高再生回数を更新。それでもクリスマス当日は勢いが衰えています。クリスマスソング全体を見てもイブより当日のほうが下がり、クリスマスソングの上位占有率も低いことから、日本におけるクリスマスソングの動きは米よりグローバルをなぞっていると言えるでしょう。これは米のクリスマスが宗教観に根ざしたものであり、また恋人よりも家族と過ごす傾向が強いゆえと言えそうです。

それにしても面白いのは、ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」がクリスマスイブに58位、ケリー・クラークソン「Underneath The Tree」が同日54位と、日本ではもしかしたらポピュラーとは言えないかもしれないクリスマスソングが上位に進出していること。これはプレイリスト効果が間違いなくありそうです。Spotifyによるプレイリストのリンクを掲載し、12月27日7時半現在における各プレイリスト1曲目からの数曲についてはキャプチャし下記に貼付します。

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日本の動向で面白いのは、back number「クリスマスソング」がイブから当日にかけて再生回数がほぼ横ばいということ(169256→165646再生)。最新12月28日付ビルボードジャパンソングスチャートでも23位に登場する「クリスマスソング」ですが、その勢いは実は年中続いていると言えます。

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流石にクリスマスを終えると勢いが衰えるものの一気に下がるということはなく、黒の折れ線で表示される総合チャートをみると常時300位以内に登場し続けているのです(最後に総合300位未満となったのは2018年8月6日付)。サブスクを解禁したことでストリーミング(青で表示)が、またこの夏からはミュージックビデオをフルバージョンにて解禁したことで動画再生(赤)が伸びていることが、総合順位のキープに大きく寄与しているのです。このような年中ヒットするクリスマスソングの存在も海外と異なるポイントと言えますが、back numberにおいては順次解禁してチャート上の弱点をなくしたことが大きいでしょう。解禁関連のブログエントリーを下記に貼付します。

 

 

日本時間で明後日発表される予定の1月2日付米ビルボードソングスチャートおよびグローバルチャートで、クリスマスソングがどこまで占拠するかに注目しましょう。またビルボードジャパンソングスチャートにおいては、12月21~27日を集計期間とする1月4日付の発表はその翌週分を含めた1月6日に発表。クリスマスソングが占拠するとは言えないでしょうが、こちらも動向を追いかけていきたいと思います。