ハロウィン(ハロウィーン)からクリスマスシーズンへの橋渡し…今やその役目を担っているのがマライア・キャリーです。
IT’S TIME!!!! 🎉🎄 #KAYPartner pic.twitter.com/ccowLwGRF1
— Mariah Carey (@MariahCarey) 2024年11月1日
日本時間の11月1日金曜13時(東部標準時の11月1日金曜0時)に公開された”It's Time!!!”動画は最早風物詩。ハロウィンが終わるとマライアの、「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」の季節が来る…それゆえの”イッツタイム!!!”宣言といえます。実際、音楽チャートは動いていくのです。
10月31日付Spotifyデイリーチャートでは、多くのハロウィン関連曲が上位に進出していました。
Top 100 on October 31, 2024 Global Spotify Chart pic.twitter.com/6rxBFE31FP
— Spotify Stats (@StatsSpotify) 2024年11月1日
Top 100 on October 31, 2024 US Spotify Chart pic.twitter.com/9SV08grGkT
— Spotify Stats (@StatsSpotify) 2024年11月1日
数日前からランクインしている曲もありましたが、大半はハロウィン当日に再登場もしくは初登場しており、ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」やサム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」のような近年のヒット作品がハロウィン曲として定番化したことも確認できます。そしてこれらが急落し、クリスマス関連曲に入れ替わるのが11月1日付です。
Top 100 on November 1, 2024 Global Spotify Chart pic.twitter.com/XqCLqk4XUh
— Spotify Stats (@StatsSpotify) 2024年11月2日
Top 100 on November 1, 2024 US Spotify Chart pic.twitter.com/qxIR2QD4DV
— Spotify Stats (@StatsSpotify) 2024年11月2日
11月1日付のグローバルおよび米のデイリーチャートではマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が前者で104位(1,700,717回再生)、後者で74位(605,019回再生)に初登場。昨年同日付ではグローバルで50位(1,878,162回再生)、米では31位(734,870回再生)を記録しており、前年より順位/再生回数双方でダウンしてはいるのですが、先述の動画が聴取のひとつのきっかけになったと考えていいでしょう。
「All I Want For Christmas Is You」をはじめとするクリスマス関連曲は、音楽の聴かれ方の変化、そして複合指標で構成される米ビルボードソングチャートが時代に即して変化したことに伴い、総合ソングチャートで毎年再登場、且つ上位進出に至っています。
(上記エントリーではマライア・キャリーによる2019~2021年の”イッツタイム!!!”動画を掲載。ちなみに2022年はこちら、2023年はこちらから確認できます。)
米ビルボードソングチャートでは2023年のクリスマスシーズンも2週首位を獲得した「All I Want For Christmas Is You」ですが、この年はブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」が初の首位を獲得し、通算では3週制しています。ともすれば今年こそ負けないという思いが、マライア・キャリー側の動画作りに表れているかもしれません。
さらに注目は、11月1日が米ビルボードによる米やグローバルの11月16日付ソングチャートで集計期間初日に当たるということ。タイラー・ザ・クリエイターやリル・ウージー・ヴァートの大挙エントリーも予想される中、「All I Want For Christmas Is You」は今年も高位置で初登場できるかもしれません。ポストの投稿時間が東部標準時の午前0時、すなわち集計期間開始時間であることも、チャートへの意識の高さといえます。
Christmas Music on November 1, 2024 US Spotify Chart
— Spotify Stats (@StatsSpotify) 2024年11月2日
--
#74, All I Want for Christmas Is You; 605,019 streams
#144, Last Christmas; 417,996 streams
#188, Jingle Bell Rock; 373,680 streams
#195, Rockin' Around The Christmas Tree; 370,428 streams
米における11月1日付Spotifyデイリーチャートではワム!「Last Christmas」、ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」およびボビー・ヘルムズ「Jingle Bell Rock」が200位以内に再登場していますが、たとえばワム!そしてブレンダ・リーにおいて、今年新たな施策が用意されています(ブレンダは実施済)。
ワム!、未発表ライブ音源を含む『ラスト・クリスマスEP』が5形態でリリース決定 https://t.co/SnpGq1Zs4O
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年10月25日
ブレンダ・リー、全米No.1曲「Rockin’ Around The Christmas Tree」のAIを使用したスペイン語ver.公開「本当に驚かされた」 https://t.co/gKh7lGETX4
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年10月28日
「Rockin' Around The Christmas Tree」のAIによるスペイン語版が米ビルボードによるチャートで合算されるかは分かりかねますが、しかしオリジナル版の再注目につながるだろう点で施策といえます。そして「Rockin' Around The Christmas Tree」が昨年のクリスマスシーズンに初めて米チャートを制したのも、様々な施策による賜物なのです。
無論、作品自体が素晴らしいこと(クリスマス関連曲の場合は既に定番化していたこと)もストリーミング時代における上昇の要因ながら、そこに新たな、現代ならではの施策を加え注目度をさらに高めることで、チャートでもさらなる成功を収められるということを、マライア・キャリー等が証明してきました。マライアの”イッツタイム!!!”宣言が定着すればするほど、クリスマス曲は安泰といえるのではないでしょうか。