イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Eve「廻廻奇譚」、ミュージックビデオの公開タイミングに唸る

ビルボードジャパンソングスチャートは本日集計分より2021年度がスタート。2020年度の年間チャート発表は12月4日金曜午前4時となります。社会的なヒットの鑑たるこのチャートの発表に、注目しない理由はありません。

 

さて、2021年度からビルボードジャパンソングスチャートは一部が変更に。その内容とは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の加算を動画再生指標およびストリーミング指標から除外するということ。米ビルボードソングスチャートでは9月にUGCの加算を取り止めており、日本も追随する形です(ただしFacebookの記載内容には『予定です』とあるため、チャートポリシー変更を見送る可能性もゼロではないですが)。

となると、たとえば”歌ってみた”や”踊ってみた”等の動画の再生回数が直接寄与しなくなることで、本日からの1週間を集計期間とする12月7日付ビルボードジャパンソングスチャート(12月2日発表予定)では比較的大きな変化が生まれることでしょう。その動向を追いかけたいと思います。

 

 

さて、ビルボードジャパンソングスチャートにおいて現在好調に推移しているのがEve「廻廻奇譚」。10月3日にリリースされた、テレビアニメ『呪術廻戦』(毎日放送・TBS)のオープニングテーマとなる「廻廻奇譚」は主にダウンロードが牽引し、リリース週から7週連続でビルボードジャパンソングスチャート100位以内にエントリーを果たしています。12月23日にはアニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』主題歌「蒼のワルツ」も収録したEPをリリースすることで、人気がさらに拡大することが予想されます(なおそのEP『廻廻奇譚/蒼のワルツ』は7曲入りでありアルバムとしてカウントされる可能性が高く、そうなればソングスチャートにおいてシングルCDセールスおよびルックアップは加算されません)。

この「廻廻奇譚」、ミュージックビデオは11月20日金曜に公開されたばかり。

この動画がビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標に含まれるのは11月30日付(11月25日発表予定)における集計期間後半3日分以降。ですが、下記チャート推移(CHART insight)を見ると赤で示される動画再生指標では既に100位以内に登場、それもこの3週は安定して推移しています。

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つまり、ミュージックビデオ以外の作品が動画再生指標を牽引していることになるのです。

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YouTubeで”廻廻奇譚”と検索した結果が上記(11月23日6時現在)。TOHO animation チャンネルによる動画(→YouTube)が3番手となり、ひとつ上には"someone i"というチャンネルにアップされた動画が登場します。

Eve「廻廻奇譚」のCHART insight(→こちら)に貼られている動画はこの"someone i"というチャンネルのものであり、ともすればこの動画が公式より早く(それどころか発売日にに)解禁されたことも、「廻廻奇譚」の動画再生増加の一助になったものと考えられます。おそらくはこの動画はUGCであり、となれば12月7日付ビルボードジャパンソングスチャート以降は動画再生指標にカウントされないことになりますが、公式ミュージックビデオが公開されたことで橋渡し的な役割を果たしたと言えるかもしれません。

 

 

UGCについては先に紹介したビルボードジャパンのFacebookページでの解説、およびビルボードジャパンによるポッドキャストでの解説(をブログに起こしたもの)をご覧ください。

Eve「廻廻奇譚」はビルボードジャパンソングスチャートのチャートポリシー変更直前という絶妙なタイミングでミュージックビデオを公開したことになるわけです。狙ったかどうかは不明ですが、そのタイミングの巧さには強く感心させられます。