イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ストリーミング1億回突破曲のライブ映像が公開2日で再生回数千回未満…発信元の問題を記す

ビルボードジャパンを運営する阪神コンテンツリンクは東京、横浜および大阪でライブハウス(Billboard Live)を運営。そこで開催されたライブは時折、ビルボードジャパンの公式YouTubeチャンネルにてダイジェスト映像が紹介されます。なおビルボードジャパンによるポッドキャストも同じYouTubeチャンネルにて確認可能です。

そのBillboard Liveで7月にライブを開催したのがNovelbright。アコースティックバージョンで披露された「愛とか恋とか」が、9月23日にビルボードジャパンの公式YouTubeチャンネルにて公開されました。しかしこの公開には違和感や勿体なさを覚えるゆえ、今回記載させていただきます。

(上記動画は期間限定と謳われています。)

違和感については、公開日にツイートにて示しました。

ベテランや海外歌手の招聘が多いBillboard Liveにおいて、若手のNovelbrightが登場すること自体新鮮かもしれません。そして最新のビルボードジャパンソングスチャートでストリーミング1億回再生を突破した「愛とか恋とか」のライブ映像を、絶好のタイミングで公開したというのですからもっと話題になっておかしくなかったはずです。にもかかわらず、上記動画は9月25日7時の段階で再生回数が1,000回に届いていません。

Novelbright「愛とか恋とか」はストリーミングを武器に、ビルボードジャパン総合ソングスチャートで通算12週トップ20内に滞在。トップ10入りはならずもロングヒットの傾向にあり、年間ソングスチャート100位以内の登場も十分です。そしてこのタイミングでストリーミング1億回再生を突破したならばもっと話題になってもいいのですが、現段階でNovelbright公式Twitterアカウントからの映像公開のアナウンスはありません。

Novelbright「愛とか恋とか」は、ボーカルの竹中雄大さんが実の妹と共に歌った動画も竹中雄大さんの公式YouTube発にて投稿されています。こちらは現段階でおよそ76万回再生されており、ビルボードジャパン発の動画が4ヶ月でこの位置まで伸びるとは考えにくいと言えます。

 

自分のツイートにもあるように、Billboard Liveのライブ映像が幸先よくスタートを切ることができなかったのは、Novelbrightとの連携不足がひとつとして考えられます。ともすれば期間限定公開ゆえアナウンスはしないようにというお達しがあったのかもしれないと考えるのはさすがに邪推でしょうが、色々考えてしまいかねません。

またライブ映像において「愛とか恋とか」の曲名がサムネイルのみならず動画のタイトルにも出てこないのはどうしてでしょう。YouTubeで曲名検索してもBillboard Liveでのライブ映像が出てこないゆえ、より見つけられにくい状況となっています。アコースティックセッションから路上ライブ(時代)を思い出す方もいらっしゃるだろうことも踏まえれば、コアファンに届かないことは機械損失と言えます。

 

一方で、さすがはビルボードジャパン発といえるような発信時の配慮が見て取れます。

その配慮とは、動画の概要欄における曲のクレジット登録のこと。この動画が公式もしくはUGC(ユーザー生成コンテンツ)のどちらに該当するのかは分かりかねますが、仮に公式動画扱いとなった場合、おそらくビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標でカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)を付番しているだろうことが、概要欄から予想できます。

ともすればビルボードジャパン側は、チャート運営側もBillboard Liveスタッフも、動画再生指標加算のためにISRCを付番することの重要性を熟知しているのかもしれません。それが登録(という細かな配慮)に表れているものと感じています。

ビルボードジャパンソングスチャートでは、アレンジ違いや客演の追加等でオリジナルと異なるバージョンは合算しないチャートポリシーを採用しています(上記ブログエントリー参照)。しかしTHE FIRST TAKE等、動画再生指標のみ別バージョンが合算される傾向にあるのです。これは別バージョンの動画にオリジナル版のISRCが付番されていることが原因と考えられるのですが、ビルボードジャパンはこの矛盾を解消していません。

仮に「愛とか恋とか」のライブ映像が公式動画扱いならば、登録クレジットを踏まえれば再生回数がオリジナルバージョンに合算されるでしょう。別バージョンにオリジナル版のISRCが付番され合算されるならばビルボードジャパンのチャートポリシーに矛盾する事態を以前から指摘し、矛盾解消の意味でも様々なバージョンを合算すべきと提案していますが、当のビルボードジャパンが矛盾の流れに乗っているのではと思うのです。

 

一方では宣伝不足、一方ではチャートポリシーに矛盾する合算を引き起こす可能性を示した、Billboard LiveでのNovelbright「愛とか恋とか」ライブ映像。複数の疑問が生まれた今回の動画(投稿)について、ビルボードジャパンは真摯に見直す必要があるのではと考えます。