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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

出演メディアも音楽ジャンルも自由自在の木梨憲武、Spotifyバイラルチャートに連日2曲ランクインする凄さ

L’Arc~en~Cielそしてサザンオールスターズサブスクリプションサービスでは解禁祭り状態となっています。海外に比べて日本の解禁事情は十分ではないものの、大物歌手が相次ぎ解禁することで日本でのサブスクリプションサービス使用率が上昇、使用せずともサービスへの認知度は高まることでしょう。

音楽等を紹介するメディア、Real Soundでは今月からSNSで話題になった曲を示すSpotifyバイラルチャートの紹介企画がはじまっています。12月12日付週間チャートの記事は下記をご参照ください。バイラルヒットの源流にあるTikTok使用曲についても最近ビルボードジャパンがチャートを紹介し始めており、自分が提唱する”新しいヒットの形”をメディアが意識しているように思います。

Spotifyバイラルチャートに話を戻すと、12月19日付週間チャート(12月12~18日集計分)ではまたもL'Arc~en~Cielの勢いが凄まじく、トップ10内に6曲、50位以内に33曲もランクインしているのに対し、その後12月20日サブスクリプションサービスで一斉解禁したサザンオールスターズの楽曲は同日付で50位以内に入っていません。これはあくまで予想に過ぎませんが、L'Arc~en~Cielの場合は解禁を事前に予告し、またテレビで発表したことが口コミで広まる契機となったのではないでしょうか。だとすれば、日本におけるテレビの影響力の大きさは絶大と言えます。

 

そのテレビを中心に連日話題を振りまいているのが木梨憲武さん。12月11日にリリースされたソロ初となるアルバム『木梨ファンク ザ・ベスト』を引っさげ音楽番組は勿論、朝の情報番組やバラエティにも出演。さらには通信販売会社大手のジャパネットたかたに二度出演し同社でのCD販売にこぎつけています。

偶然街で出会ったB’z松本孝弘さんにギターをお願いしたという「GG STAND UP!! feat. 松本孝弘」や、妻の安田成美さんへの愛を歌った「I LOVE YOUだもんで。」というアルバムのリード曲と言うべき2曲は、11月以降常時といっていい程Spotifyバイラルチャートにランクイン。最新12月19日付週間チャートでは共に50位以内にランクインしています。

「OTONA feat. 久保田利伸」にて共同で歌詞を手掛けた星野源さんのラジオ番組(『星野源オールナイトニッポン』(ニッポン放送 火曜25時))に出向くなど、12月27日現在Yahoo! JAPANニュースで『木梨ファンク ザ・ベスト』を検索すると70件近くもの記事が登場。リリースに合わせてのメディア出演は“パブ”と呼ばれますが、木梨憲武さんは出演や宣伝を心から楽しんでいるように見えるのが不思議で、記事からもそのことが伝わってきます。ステルスマーケティングが最近も問題になり、ネットを活用する人にとってはメディア出演に裏があるのではと敏感になりがちですが、木梨さんの場合は仮にそうだとしても楽しんだもの勝ちという姿勢を受け手に提供しているからか好意的に受け止められ、それがSpotifyバイラルチャートに反映されているものと捉えています。

巧いと思うのは、木梨憲武さんが受け手の興味の先、いわば“受け皿”をきちんと用意している点。12月23日、二度目のジャパネットたかた出演の一環として『たまむすび』(TBSラジオ)のラジオショッピングをジャックした際には、CD以外にもダウンロードもあることをきちんと訴求しています。

(ラジオ出演時の書き起こしについて勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)

またリード曲の「GG STAND UP!! feat. 松本孝弘」および「I LOVE YOUだもんで。」はYouTubeでミュージックビデオが用意。無論サブスクリプションサービスも解禁されているため、興味を抱いた方が検索した先にはきちんとフルで聴ける仕組みが構築されています。

 

大物ゲストが多数登場するアルバムにおいて、個人的にとりわけ気に入っているのが「麻布十番物語」。ラッパーのAKLOさんと歌詞を共作し、BACHLOGICさんがプロデュースしたトラックは、歌うようなフロウや浮遊感あるアレンジが近年のヒップホップのトレンドを押さえており、ドレイクによる全米1位曲「One Dance feat. ウィズキッド & カイラ」(2016年)などを彷彿。音楽面でもフレキシブルな木梨憲武の姿勢が若い人からも支持を集めることで彼らが好むサブスクリプションサービスでも伸び、バイラルヒットにつながっているのかもしれません。

さらには先述した「GG STAND UP!! feat. 松本孝弘」を使ったダンスコンテストをTikTokで開催するなど、既存から新規メディアまでを乗りこなしディスコからヒップホップまで対応する木梨憲武さんの柔軟性には驚かずにはいられません。

 

『木梨ファンク ザ・ベスト』は12月23日付ビルボードジャパンアルバムチャートで4位に初登場。ダウンロード指標でトップを獲得したこの作品は、最新12月30日付において総合では15位にダウンするも、ダウンロードは5位と好調。木梨憲武さんが話題を振りまく限り、この勢いは続きそうです。レギュラーラジオ番組『土曜朝6時 木梨の会。』(TBSラジオ 土曜6時)が毎回Twitterでトレンド入りしていることもアルバムを押し進める力になっているはず。それにしてもラジオスタッフの多さやゲストの豪華さ、本当に凄いですね。アルバムの客演陣の素晴らしさ共々、木梨さんの人柄の為せる業なのかもしれません。