最新12月28日付米ビルボードソングスチャートでクリスマスソングが初めてワンツーフィニッシュを成し遂げました。原動力はその2曲が同じくワンツーを飾ったストリーミング指標にあるといえます。対して日本ではストリーミング以上にラジオエアプレイ指標でクリスマスソングが強く、12月30日付ビルボードジャパンソングスチャート(集計期間12月16~22日)において、ストリーミング指標上位20曲中クリスマスソングはわずか2曲である一方、ラジオエアプレイでは7曲がランクインしており、日米のチャートでクリスマスソングが最も勢いを増す指標に違いがあると記した昨年同時期のブログエントリーがあらためて証明されたように思います。
さて、12月24日と25日における日米のSpotifyの再生回数トップ10をチェックすると、面白い傾向がみえてきます。
12月25日(こちら)。
クリスマスはトップ10のみならず20位までがクリスマスソングとなっています。
一方の日本では。まずは12月24日(リンクはこちら)。
そして12月25日(こちら)。
米ソングスチャートを制したマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は終ぞ日本では首位獲得に至らず。クリスマスソング自体4→2曲とダウンしています。その「All I Want For Christmas Is You」、日本での再生回数が24日→25日で75.9%と大きくダウンしている一方アメリカでは118.7%となり、そのアメリカでは25日に上位3曲全てが200万回再生を突破したことを踏まえれば、アメリカではクリスマスを重視し日本ではクリスマスイブこそ需要が大きいということがクリスマスソングの再生傾向からはっきりとみえてきます。
あくまで私見ですが。バブルが弾けながらも(地方在住ゆえか、その恩恵を感じたことはありませんでしたが)、その価値観が色濃く残る世代に学生時代を過ごした身には、”クリスマス、特にイブは恋人と”が絶対視されていたように思います。日本のクリスマスソングが未だ【家族<恋人】であることは、夏からホテルを予約して高級ディナーを楽しんでそして…のようなバブル時代の名残が未だ残っているのかもしれませんし、ゆえにイブがより重視される傾向は変わらないとも考えます。海外の概念から宗教的要素を抜き、敢えて用いるならば”聖より性”等の解釈(商売っ気等)が強かった日本の概念はまだ健在なのかもしれません。宗教的要素を抜くというのは他のイベントでもみられますが。
一方、これは担当ラジオ番組で地元大学生と話しているときに強く感じたことですが、今の学生はそのようなクリスマスを特別視するという感覚が高くはないのではないでしょうか(ゆえに旧態依然の価値観で話してしまった自分を猛省するばかりなのですが)。無論、恋人と過ごすのも素晴らしいことですがそれをひっくるめて”心寄せ合う人と過ごす”としたほうが、もしくは独りでも普段以上に心優しくなれる日という価値観もしっかり与えるほうが、これからの時代に相応しいと思うのです。マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」の新たなミュージックビデオはその価値観を提示してくれるようにもみえます。
先に商売っ気と書きましたが、たとえば小売業などはそのような価値観を示せば25日までクリスマス商戦が延長可能になるとも言えますが…Spotifyの動向から思いを巡らせた次第です。