イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャートは新指標加算開始、そしてチャートを制しながらも見えてきたAKB48の"弱さ"

昨日発表された、最新12月10日付ビルボードジャパンソングスチャート。前週首位を獲得したback number「オールドファッション」は10位に大きく後退、AKB48「NO WAY MAN」が制しました。

f:id:face_urbansoul:20181206074251p:image

「オールドファッション」のポイント推移、シングルCDセールスカウント2週目で前週比38.0%というのは決して低くないのですが、今週は14位までが3000点台と激戦ゆえ、押し出された形に。他方AKB48はシングルCDセールスで強さを見せつける形となりました。

今週から新年度となるチャートにおいて、ソングスチャートでは8つ目の指標となるカラオケ指標が登場しました。

そのカラオケ指標の順位はCHARTinsightから確認出来ます。

f:id:face_urbansoul:20181206073734p:image

 カラオケ指標のウェイトが他指標に対してどのくらいかについてビルボードジャパンは示していませんが、カラオケ指標のみのランキングから推察するに、上位10曲のトップ100ランクイン率5割という数字をみるとそこまでのウェイトではない気がします。また。 

f:id:face_urbansoul:20181206075059p:image

たとえばカラオケ指標2位のDA PUMP「U.S.A.」(総合3位)の、全指標に占めるカラオケ指標はおよそ8%と推定されるのですが、ポイントに換算するとカラオケ指標分は500ポイント強に。決して少なくはないものの、多くもない気がします。

 

さて、今週首位を制したAKB48については、またしても脆さが露呈してしまったように思います。それが"ルックアップの弱さ"。CDをパソコンに取り込む際にインターネット上のCDデータベースにアクセスする回数がルックアップ。ミリオンセールスを今作も記録し買われた方が多いものの、取り込まれる枚数が少ないのが解ります。しかもレンタルも発売日と同日に解禁されているにもかかわらず、です。

f:id:face_urbansoul:20181206073729p:image

「NO WAY MAN」のルックアップは2位。では、ルックアップ首位はどの作品かを調べてみると…驚きました。

f:id:face_urbansoul:20181206073738p:image

マキシマムザホルモンについては書籍扱いですよという指摘がありましたが、ワーナーのホームページでは『「新曲CD+漫画一冊」の規格外パッケージかつ書籍として発行される超画期的新マキシマムシングル』と表記されており、なるほど書籍でありシングルCDでもあるということなのですね。

しかしながらシングルCDセールスとしてカウントされておらず(同曲のシングルCDセールス指標は未ランクイン)、矛盾が発生する気もしますが、そういえばこういった前例もありましたね。

 

AKB48は昨年春の「シュートサイン」以降1年半以上、今回まで7作連続でシングルCDセールスを制しながらルックアップでも首位になれない事態が続いています。AKB48の昨年以降のシングル、および坂道グループの各指標の比較および推移については以前記載したのでそちらをご参照ください。

今回ルックアップで首位に立ったマキシマムザホルモンの、集計期間終了日までに販売された部数が判れば、AKB48「NO WAY MAN」のルックアップが推定可能であり、そこからユニークユーザー数(実際にシングルCDを購入した人の数)が見えてくるものと考えます。そういえば今年、このようなこともありました。

『初週累計2,662,760枚を売り上げ』(上記記事より)、莫大なセールスを記録したはずのAKB48「Teacher Teacher」ですが、CHART insightでルックアップの順位をみるとなんと2位。King & Prince「シンデレラガール」に敗れています。単純比較は出来ませんが(特にAKB48シングル売上枚数にかなりの乖離があるため)、オリコンでは同日付で36500枚の売上を記録している「シンデレラガール」に、その50倍前後もの売上を記録した「Teacher Teacher」が敗れるというのは唖然としてしまいます。どちらも発売日にレンタル解禁されており、タイアップの関係で「シンデレラガール」が多く借りられている(その取り込みがルックアップを押し上げている)と言えるかもしれませんが、それでもレンタル分だけでルックアップが覆るとは思えず、やはりユニークユーザー数の問題ではないかと考えずにはいられません。

和田アキ子 with BOYS AND MEN研究生、AKB48…シングルCDセールスとあわせて”ルックアップ”をチェックしよう - face it(6月7日付)より

「Teacher Teacher」は選抜総選挙投票権同封ゆえにダブルミリオンとなりましたがそれでも「シンデレラガール」にルックアップで敗れたこともあり、それらを踏まえるとAKB48のルックアップは5万~10万くらいではないかと(一方「シンデレラガール」はタイアップ効果でレンタルが多いものと推測)。無論、シングルCD購入者の全てがパソコンに取り込むわけではないとしても、AKB48ファンだけが極端にルックアップが低いとは考えにくく、ゆえにAKB48のユニークユーザー数は10万くらいなのでは?というのがざっくりとではありますが自分の見方です。

ユニークユーザー数とシングルCDセールスが乖離すればするほど真のヒットは見えにくく(ゆえにシングルCDセールスのみのランキングが如何に社会のヒットを示す鑑になりにくいかが解ります)、またファンひとりあたりのシングルCD購入枚数は10枚強と考えられるゆえファンの金銭面の負担は大きなものになってしまいます。お金を投資すればするほどイコール熱心なファンであるとの印象をもたせるほどにライトなファンが増えず、それがさらなるコアとライトファンとの乖離、およびシングルCDの社会的ヒットとの乖離を生むのではないかと。そしてコアなファンひとりが離れるだけで歌手側のダメージは大きくなるのです。この問題、重く受け止めないといけないのではないかと考えます。