7月29日~8月4日を集計期間とする、8月12日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表され、シングルCDセールス首位のSTU48「大好きな人」が総合ソングスチャートでも首位を獲得しました。
【ビルボード】STU48「大好きな人」が296,349枚を売り上げ総合首位で初登場 ヒゲダン「宿命」総合7位にジャンプ・アップ、「Pretender」は総合2位に https://t.co/pB4Z9BMYMC pic.twitter.com/g9aDLVXhxd
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) August 7, 2019
前週総合2位(シングルCDセールス首位)のSKE48「FRUSTRATION」のミュージックビデオがショートバージョンだったのに対し、「大好きな人」はフルバージョン。
それでも「大好きな人」の動画再生指標は300位未満というのが気掛かりです。
さて今週、Official髭男dism「宿命」が7位に入り、3週ぶりにトップ10入り。この返り咲きにはシングルCDセールスに伴い関連指標群が初めて加算されたことが影響しています。
ソングスチャートを構成する各指標毎の動向をみると、ストリーミングの順位こそ変わりませんが、初登場したシングルCDセールスおよびルックアップ以外は全指標が順位を上げています。
特に「宿命」が長けているのは、様々な形で”接触”されていること。
#ビルボードジャパン最新チャート速報
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) August 7, 2019
ソングスチャート、その#Official髭男dism「#宿命」がシングルCDセールス初加算で7位に上昇。シングルCDセールス15位ながらルックアップ2位、ストリーミング5位、ラジオ1位となり様々な接触方法で好位置につけています。
チャートを構成する8指標は所有と接触とに大分され、その接触にも様々な種類があります。4週ぶりに首位の座に就いたラジオエアプレイが受動的(リクエストが必ずしも採用されるわけではなく選曲は局や番組側)に対し、ストリーミングや動画再生は能動的(プレイリストや自動再生でかかることもあれど選曲は自分主体)。受動と能動の双方で高い位置を獲得しているのです。
そして見逃せないのがルックアップ。パソコン等にCDを取り込む際のインターネットデータベースへのアクセス数を示すこの指標が2位を獲得しています。購入したCDを取り込んだ場合も加算されるゆえ所有の側面もありますが、こちらを接触指標とみなしたのは「宿命」がレンタルで高回転していることが予想出来るため。
今週同じくシングルCDセールスが初加算され、30万枚近く売り上げたSTU48「大好きな人」のルックアップは12位。7000枚強のCDセールスを獲得した「宿命」と大きく離れています。アイドル作品の場合はジャケット違いや特典を目当てとした複数買い等があれど、「大好きな人」のルックアップが1万を切るとは考えにくい気がします。それでも「宿命」がシングルCDセールスの順位と大きく乖離しルックアップで2位となったのは、発売同日にレンタルを解禁したことでその分が大きく上乗せされているゆえでしょう。STU48「大好きな人」も同日解禁されていますが、たとえば自分が立ち寄ったレンタル店では「宿命」が圧倒的に大きく展開されていました。
発売と同日のレンタル解禁の重要性は、あいみょんさんの例からよく解ります。今週ルックアップを制した「真夏の夜の匂いがする」は前週シングルCDセールス指標が初加算。シングルCDセールスが20→39位と推移するのに対しルックアップは2→1位。前作「ハルノヒ」も同様の動きを見せた一方、発売直前にシングルCDのレンタル解禁をアルバムと同じ17日後に遅らせた「今夜このまま」は17→42→72位と推移するシングルCDセールスに比例してルックアップも29→60→100位圏外(300位以内)とダウン。しかし4週目にはレンタル解禁効果が如実に表れ、シングルCDセールス81位に対しルックアップは5位を記録しているのです。
(上記グラフは3曲のCHART insightから、総合チャート(黒の折れ線)、シングルCDセールス(黄色)およびルックアップ(オレンジ)を抽出。)
シングルCDが売れるに越したことはないのですが、あいみょんさんにおいては「今夜このまま」のレンタル解禁日を遅らせたものの思うほどの勢いを得られなかったとして「ハルノヒ」以降はレンタル解禁を同日に設定したものと思われます。その”CDセールスとレンタルで分けずに全指標で曲を売り込む”手法をOfficial髭男dismも踏襲し、成果が出たと考えるのですがいかがでしょう。これによりシングル表題曲自体がトップ10入りするのみならず、”過去曲を押し上げ歌手の勢いを高める”効果にもつながっているように思われます。あいみょんさんの場合は「マリーゴールド」がロングヒットを続け、前週は昨年12月31日付以来トップ10落ちとなりましたが今週9位に再浮上。そしてOfficial髭男dismは今週、「Pretender」が自己最高タイの2位に再浮上したことに加え、過去最高の総合ポイントを叩き出しているのです。
#ビルボードジャパン最新チャート速報
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) August 7, 2019
最新8月12日付ビルボードジャパンソングスチャートHot100が更新 https://t.co/fQ9swF4ems 2位の #Official髭男dism「#Pretender」はここにきて最高得点更新し8000点台後半へ。「#宿命」のシングルCDリリースが影響しているといっていいでしょう
シングルCDセールスに長けた歌手は他指標が伴わないと急落することは以前から書いてきました。他指標に長け、シングルCDセールスも多いならばレンタル解禁をずらしても、セールスとレンタルで2つのピークを築くことが出来ます。他方シングルCDセールスがそこまで強くない場合、あいみょんさんやOfficial髭男dismのようにCDセールスとレンタルを同一日とすればより高いピークが作れるはずで、且つレンタル店では関連する過去作の掘り起こしにつながります(事実、今週「Pretender」のルックアップは10→8位へ浮上しています)。シングルCDはレンタルで済ませながらアルバムは買うという層もいるだろうことを踏まえると、その歌手のファンというわけではないが曲等に興味はある”ライト層”への訴求の仕方を徹底することが大事になるでしょう。彼らは後にファン化する可能性が高いのです。
Official髭男dismは10月9日にメジャーファーストアルバムとなる『Traveler』をリリースしますが、この動向がより楽しみになってきました。