イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

宇多田ヒカル「First Love」テレビパフォーマンス映像がYouTube公開...あらためてこの流れを考える

宇多田ヒカルさんが『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)4月8日放送回で披露した「First Love」の映像が本日YouTubeに公開されました。期間限定ながら、宇多田ヒカルさんの公式YouTubeチャンネルにて発信されていることがポイントです。

(上記ポスト内リンク先の記事にて動画が確認可能。期間限定という観点から、このページでは動画での掲載を控えます。リンク先はこちら。)

CDTVライブ!ライブ!』ではパフォーマンス映像を歌手の公式YouTubeチャンネルにて公開することが時折みられます。今年に入り、Mrs. GREEN APPLE「ナハトムジーク」の映像も公開されました(ただし現在は公開が終了しています)。

 

重要なのは、このテレビパフォーマンス映像が歌手の公式YouTubeチャンネル発となるということ。TBSにも公式YouTubeチャンネルはありますが、TBSは”音楽パートナー”というジャンルに該当しないため、ビルボードジャパンソングチャートの動画指標、また米ビルボードソングチャートや米ビルボードによるグローバルチャートのストリーミング指標でカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)が付番できません。

言い換えれば、”音楽パートナー”という位置付けであるレコード会社や歌手の公式YouTubeチャンネル発の動画にはISRCが付番でき、先述した各種チャート(における指標)にカウントされることになります。ゆえにチャート上でも有利に成るのですがそれだけではなく、話題性や注目度を高める、さらには”公開してくれて嬉しい”という受け手の感情につながる(それがコアファン化の入口に成り得る)ものと考えます。

(ただし、おそらくはTVerの公開終了を待ってYouTube公開を実施したこと、また期間限定公開という状況は気になります。テレビパフォーマンス映像のYouTube公開については、NHKも含め各テレビ局や音楽業界に対し理想の4条件を挙げ、改善を願っています(NHKも民放も改善は必須…テレビパフォーマンス映像のYouTube公開における理想の4条件を今一度記す(1月16日付)参照)。)

 

 

実は、日本の民放地上波テレビ局の音楽番組におけるパフォーマンス動画を歌手側の公式YouTubeチャンネルで発信するという流れは、旧ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)所属歌手が昨年4月放送の『CDTVライブ!ライブ!』以降に徹底していました。

しかしここ最近、旧ジャニーズ事務所所属歌手によるパフォーマンス映像はYouTube化されていません。たとえば『CDTVライブ!ライブ!』4月1日放送回(→こちら)にはTravis Japanが登場していますが、「T.G.I. Friday Night」のパフォーマンス映像はYouTubeに見当たらない状態です。

実際、BTSをはじめとするK-POP歌手の日本のテレビ番組におけるパフォーマンス映像も一時はYouTubeにて公開されていましたが、現在ではみられない状況です。おそらくは歌手そしてK-POP全体の知名度上昇がその背景にあると思われますが、旧ジャニーズ事務所所属歌手における今回の変化の理由は分かりかねます。あくまで私見と前置きしますが、デジタルから距離を置こうとしているのではという見方は否定できません。

 

その懸念に加えて、老舗音楽番組の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)は見逃し配信にも明るくなく、また『CDTVライブ!ライブ!』のように歌手側の公式YouTubeチャンネルにパフォーマンス映像を提供することもありません。LDH所属歌手においては番組の公式YouTubeチャンネルにてパフォーマンス映像を公開するものの、先述したようにISRC未付番と思われ、音楽チャートへの影響度は低いでしょう。

そして『CDTVライブ!ライブ!』においても、すべてのテレビパフォーマンスが歌手側の公式YouTubeチャンネルにて公開されておらず、また今回紹介した宇多田ヒカル「First Love」のように期間限定という措置が採られています。常時公開はYOASOBI「祝福」等に限られ、著作権や予算の壁という背景も推測されます。テレビや音楽等エンタテインメント業界全体がシームレスに結束することを、願ってやみません。