最新11月26日公開分ビルボードジャパンアルバムチャート(集計期間:11月17~23日)では、RADWIMPSのトリビュートアルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』が首位初登場を果たしています。フィジカルセールスはNiziU『New Emotion』(総合2位)の17.6%となったこのトリビュートアルバムは、一方でダウンロード数が『New Emotion』の9倍強をマーク。そしてストリーミング指標では他を圧倒しています。
なお、本チャートのストリーミングでは、Snow Manのベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』を超えて歴代最多のストリーミング数を記録した。
【ビルボード】RADWIMPSのトリビュートアルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』が総合アルバム首位 歴代最多のストリーミング数を記録 https://t.co/MFJdvK0G4H
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年11月27日
20万強のフィジカルセールスを記録したアルバムが総合アルバムチャートで首位に立てなかったのは2025年度初。『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』のストリーミングにおける強さが理解できるはずです。
では、『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』の強さを振り返ります。

上記はCHART insightからヒットを読む カテゴリーのエントリー(毎週土曜掲載)でも掲載するストリーミング表。またこの表に即した、『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』収録曲のみ掲載のストリーミング表を下記に。掲載したサブスクサービスの週間チャートはそのサービス毎に集計期間が異なるものの、ストリーミング(チャート)で最もシェアの大きいApple Musicにて、トリビュートアルバム収録曲の強さが目立ちます。

結果的に『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』収録の6曲が、ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートでトップ10内に初登場。そしてアルバムチャートにおけるストリーミングの強さは、CHART insight右上の累計ポイント構成比にも反映されています。フィジカルセールスは黄色、ダウンロードは紫、ストリーミングは青で表示されますが、トリビュートアルバムはNiziU『New Emotion』と構成が大きく異なります。


(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
アルバムチャート初登場時にてストリーミング指標が大きいこと、および収録曲がソングチャートで大挙上位に初登場を果たすという状況は日本でほぼみたことがありません。後者においては、先月の米ビルボードにおけるテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』収録曲の上位独占が最も近い事例といえるでしょう。
さて、『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』収録曲のソングチャートにおける指標構成には特徴があります。それは動画再生指標も強いということ。下記は最新11月26日公開分における上位20曲の構成6指標順位を示したCHART insightですが、赤で示される動画再生と、同じ接触指標であるストリーミングの順位が比例していることが解るはずです。


なお昨日付エントリーでは『INI「Present」は当週の総合ソングチャート20位までに入った曲のうち、ストリーミング指標の順位が最も低い (中略) 動画再生指標においても同様』と記しました(『』内はINI「Present」、1万5千ポイント超えで総合ソングチャートを制覇…一方で次週以降の動向を注視する(11月27日付)より)。上記CHART insightをみれば、その状況が理解いただけるはずです。)
『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』収録曲の公式動画はRADWIMPS側(一部は参加した歌手側)の公式YouTubeチャンネルにおける公式オーディオのみ。公式オーディオの用意は日本で今も多くないと感じますが、解禁したからこそ動画再生指標が上位に進出したということが今回解るはずです。総合且つ構成指標が100位以内に入らなかった角野隼斗「すずめ」を除く13曲のCHART insightを以下に掲載します(総合順位の順に紹介)。













聴取におけるサブスクとYouTube、また所有におけるフィジカルとデジタルという双方の選択肢をきちんと用意した『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』はアルバムチャートの制覇、そして収録曲のソングチャート上位進出につながっています。またダウンロード、ストリーミングおよび動画再生の3指標による合計ポイントの増加順に並べたHot Shot Songsチャートでは、トリビュートアルバム収録曲が13位までを独占した形です。
【Hot Shot Songs】Mrs. GREEN APPLE「狭心症」首位、RADWIMPSトリビュートがトップ13独占 https://t.co/000iIgG4y3
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年11月26日
【今週の急上昇チャート“Hot Shot Songs”】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年11月26日
1位 Mrs. GREEN APPLE
2位 Vaundy
3位 米津玄師
4位 My Hair is Bad
5位 SEKAI NO OWARI
6位 ヨルシカ
7位 ずっと真夜中でいいのに。
8位 宮本浩次
9位 YOASOBI
10位 上白石萌音 pic.twitter.com/xzFtn9KK3K
(Hot Shot Songsチャートでは、角野隼斗「すずめ」も17位にランクインしています。)
Hot Shot Songsチャートの記事では『各曲の動画はオーディオ映像でありながらバランスよく好スタートを切っている点も特徴的』と述べられており、ビルボードジャパンがアルバム収録曲における動画再生指標の高さに注目していることが解ります。そして『カバーしているアーティストとオリジナル曲が持つパワーの相乗効果はもちろん、単曲のみならず“アルバム全体”で再生されていることがわかる』とも記されています。
その”相乗効果”の結果、オリジナルバージョンを収録したRADWIMPSのアルバムが伸びていることも特徴的です。その点は11月26日公開分のビルボードジャパントップアーティストチャートを記事化したエントリーで紹介しています。
トリビュートアルバムの登場は、RADWIMPSの順位も高めています。当週は歌手別チャートで8→6位に上昇し、自己最高位タイを記録。特にストリーミング指標は自身単独最高となる4位に到達しています。特筆すべきはアルバムチャートであり、配信限定のコンピレーションアルバムや最新作『あにゅー』を含め、100位以内に9作品がランクイン。いずれもストリーミング指標が強いという状況です。
『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』の強さは上記エントリー執筆段階で予想できたことではありますが、総合アルバムチャートの制覇はこの作品の勢いを示すに十分です。もっといえば、昨年最終週にストリーミング指標が組み入れられたことで”より聴かれている作品が可視化される”ようになったことを、当週のアルバムチャートは如実に示しているといえます。
またアルバム/ソングチャート双方での上位初登場は、日本でも海外に似たチャートアクションが生まれたことの証明といえます。尤もSpotifyやLINE MUSICでは順位が下がっておりヒット継続が今後の課題ですが、『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』はデジタルの充実(公式オーディオ用意等)やユーザーへの多彩な選択肢の用意が結果につながっており、日本の音楽業界に学ぶきっかけを与えたといっても過言ではないでしょう。