イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

総合トップ10入りした「miss you」「キューにストップできません!」、CHART insightからみえてくることとは

最新10月29日公開分のビルボードジャパンソングチャートではCLASS SEVEN「miss you」が9位に初登場。またCUTIE STREET「キューにストップできません!」は10位となり、3ヶ月ぶりのトップ10入りを果たしています。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

 

この2曲のCHART insightには、それぞれ特徴がみられます。

 

 

TOBE所属のCLASS SEVENによるデビューシングル「miss you」が当週9位に初登場を果たしています。

デジタル先行で7月7日にリリースされた「miss you」は今回の集計期間初日にフィジカルがリリース。週間18,522枚を売り上げ、上記CHART insightにて黄色で表示されるフィジカルセールス指標は4位に登場しています。そしてそれ以上にラジオ指標が強く、7月16日公開分(100位未満)以来となる300位以内登場にして、同指標2位につけています。CHART insightの累計ポイント構成比からは、ラジオ指標(黄緑)の強さが解ります。

一方で次週は、「miss you」が総合100位未満に後退する可能性が高いでしょう。フィジカルセールスはTOBE公式ストアのみで販売している模様であり、販路が限られることで登場2週目の急落は避けられません。また当週におけるラジオ指標の上昇は近年の男性アイドルやダンスボーカルグループに目立つ施策の一環といえるのですが、一方で施策は翌週の反動につながります。その点からも総合での急落は避けられないと考えます。

重要なのはストリーミングでのヒットである…そのことはたとえば、同じTOBEに所属するNumber_iの動向からも解るでしょう。瞬発力もさることながら、どのように持続力をつけていくかがこれからの課題といえます。

 

KAWAII LAB.所属のCUTIE STREETによる「キューにストップできません!」が当週10位に入り、二度目のトップ10入りを果たしています。

「キューにストップできません!」はデジタル先行でリリースされ、フィジカルセールス指標初加算に伴い総合3位に初登場。翌週以降総合では100位未満が続くもフィジカルセールス指標は常時ランクインし、当週はそのフィジカルセールスが50,567枚を売り上げ同指標2位に入ったことで、総合10位に再登場を果たした形です。

当週のフィジカルセールス上昇は、集計期間中に開催された大特典会が影響したと思われます。『対象商品3枚購入で「メンバー個別撮り下ろしソロチェキお渡し会参加券」を1枚付与』とあり、その対象商品がフィジカルシングルとなっていることから想起可能(『』内は上記ポストのリンク先より)。購入対象期間や発送タイミングを踏まえればその前後にも売上が加算されたかもしれませんが、大特典会の存在は大きいでしょう。

大特典会は11月8日にも開催され(Xのポスト参照→こちら)、参加券付与の条件は抽選方式となりながらも対象商品は同一。このイベントの売上に伴い、「キューにストップできません!」がまたも総合上位に進出するものと思われます。ただ、フィジカルセールス以外では9月17日公開分における動画再生指標が最後の加点となっており、特に接触指標群が(加点対象の)300位以内に再浮上しないならば総合での急落が予想されます。

自身の「かわいいだけじゃだめですか?」をはじめ、FRUITS ZIPPERやCANDY TUNE等はネットのバズを介してストリーミングに火が付き、ロングヒットに至っています。KAWAII LAB.所属歌手の影響力が高まっている一方、フィジカルシングル表題曲がストリーミング指標で人気とは言い難いという状況をどう解消させるかが課題ではないでしょうか。

 

 

最後に、ビルボードジャパンへの提案を記します。

 

CLASS SEVEN「miss you」はラジオ指標の基となるプランテックのラジオオンエアチャートで3位につけていますが、『シングルリリース週を迎えオンエアが急増』『主に帯放送のコーナー/番組での定期枠にて積み上げられたオンエアは、調査対象の38.7%となるステーションと局地的な範囲での獲得』という点からは、施策に因るオンエアである可能性が高いと読み取れます(『』内は下記リンク先より)。

CUTIE STREET「キューにストップできません!」は当週、フィジカルセールス以外の指標が加点されず、そのフィジカルセールス(50,567枚)のみで3,868ポイントを獲得しています。5万枚を売り上げれば他指標が強くなくとも総合トップ10入りできるだろうことがここからみえてきますが、一方で同曲はフィジカルセールス指標初加算時となる7月30日公開分にて、既に505,908枚を売り上げています。

ビルボードジャパンではTop Singles Salesチャートをフィジカルセールス指標に当てはめる際、一定枚数(4万といわれています)を超える分については減算処理を行います。ただしそれはあくまで週間セールスに対してであり累計ではないため、「キューにストップできません!」では当週の売り上げのうち一定枚数内については減算処理が行われません。

そのチャートポリシー(集計方法)の下、施策によりフィジカルセールス上昇に至った曲が総合ソングチャートでも一時的に100位以内へ再浮上することは少なくないものの、しかし他指標が伴わないためにフィジカルセールスの後退に即して総合でも急落する曲が多いのが現状です。

 

ラジオでは対象局数が少ないこともさることながら、施策が大きく影響を及ぼすことやラジオ自体の影響力がシュリンクしている可能性を踏まえ、加点自体の見直しを行う必要性を提案しています。またフィジカルセールスにおいては週間ではなく累計セールスに対し減算処理を行うことを以前から述べています。近いうちにビルボードジャパンへの提案をまとめる予定ですが、この二点については速やかな見直しを今一度願います。