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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

トップアーティストチャートで(K-POPを除く)洋楽歌手の最高位に就いたオアシス、その動向を確認する

ビルボードジャパンは毎週木曜正午にアルバムチャートを発表すると共に、そのアルバムチャートと前日発表されたソングチャートを合算したトップアーティストチャート(Artist 100)を発表しています。記事が用意されないことからこのブログにて勝手ながら"記事化"エントリーを掲載しているのですが、昨日掲載分にて大きく採り上げたのがオアシスです。

トップ10未満をみると、オアシスが21位に浮上しK-POPを除く洋楽での最高位に。集計期間の終盤2日間に東京ドームでライブを行ったことが大きく影響し、ラジオ指標は首位に到達。一方でフィジカルセールス34位、ダウンロード30位そしてストリーミング43位とフィジカル/デジタルの双方が強いことも、歌手別チャートでの浮上要因といえます。

 

 

最新10月29日公開分ビルボードジャパントップアーティストチャートにおけるオアシスのCHART insightは以下の通り。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

 

オアシスの再結成がアナウンスされたのは昨年8月末のこと。上記CHART insightは直近90週分を指していますが、黄緑で表示されるラジオ指標がそのタイミング(2024年9月4日公開分)にて2位に急伸していることが解ります。以降、特にこのラジオ指標はオアシスが動く度に大きく動き、たとえば来日公演が発表された昨年11月やツアー初日となる今年7月にも上位に就いています。

 

10月に入ってからはラジオ指標が常時加算対象となっていましたが、当週は遂にトップに。この指標は全国の主要ラジオ局におけるオンエアチャート(プランテック調べ)に基づき、各放送局の聴取可能人口等を加味した上で算出されますが、最新のオンエアチャートでは200位以内にオアシスの作品が13曲ランクインしていたことが判明しています。

最上位となった「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」は、調査対象の80.6%となるステーション(FMでは95.5%)でオンエアを獲得し18位へと浮上。多くの番組が同曲を選曲した。

これに「ワンダーウォール」(29位)、「ホワットエバー」(32位)、「ロール・ウィズ・イット」(38位)、「リヴ・フォーエヴァー」(57位)、「ロックン・ロール・スター」(72位)、「モーニング・グローリー」(82位)、「シャンパン・スーパーノバ」(95位)、「スタンド・バイ・ミー」(121位)、「アクイース」(150位)、「ハロー」(150位)、「スーパーソニック」(164位)、「ライラ」(190位)が続いた。

興味深いのは、「Don't Look Back In Anger」のオンエア対象局の広さ。当週のオンエアチャートトップ3のうちTOMORROW X TOGETHER「Can't Stop」(2位 64.5%)およびCLASS SEVEN「miss you」(3位 38.7%)を大きく上回っています(なお「ビーナスベルト」は100%)。この点からもオアシスをラジオ局が広く支持していることがよく解るでしょう。

 

さて、そのオアシスのソングチャートにおけるCHART insightをみると、「Don't Look Back In Anger」をはじめ最新ソングチャートのラジオ指標で100位以内に入った9曲はすべて、ストリーミング指標(青で表示)が300位以内未達となり加点されませんでした。

一方で当週は、「Don't Look Back In Anger」を含むオリジナルアルバム『(What's The Story) Morning Glory? (邦題:モーニング・グローリー)』(1995)等3作品が、ビルボードジャパンアルバムチャートで総合100位以内に登場しています。

10月25日、26日に東京ドームで再結成ツアー【oasis Live ’25】を開催し、話題となったオアシス。当週は、アルバム『モーニング・グローリー』(13位)、『オアシス』(44位)、『タイム・フライズ・・・1994-2009』(79位)の3作品が100位圏内にチャートインした。

集計期間終盤2日間に渡って行われた日本公演の影響が大きいことは間違いないのですが、たとえば『(What's The Story) Morning Glory?』はフィジカルセールス30位、ダウンロード17位に対しストリーミング12位となり、接触指標の順位がより高くなっています。『Definitely Maybe (邦題:オアシス)』(1994)(総合44位 / 構成指標は順に79位、55位、45位)についても同様であり、"聴かれている"ことが可視化されているのです。

尤もオアシスファンは既にその多くがフィジカルを購入しているだろうことも、所有指標群と接触指標との差につながっているかもしれません。またベストアルバム『Time Flies… 1994–2009 (邦題:タイム・フライズ…1994-2009)』も総合79位に登場していますが、こちらはストリーミング(96位)よりもフィジカルセールス(58位)、ダウンロード(24位)のほうが高くなっており、このタイミングでオアシスに興味を持った方においてはベストアルバムの所有という行動が最も主流だったかもしれません。

また先述したように、最新ソングチャートではラジオ指標100位以内に入った9曲がすべてストリーミング指標300位以内に達しませんでした。その状況下、アルバムチャートではオリジナルアルバム主体にストリーミング指標が加点されているという点を踏まえれば、ライブの予習として、またオアシス祭りといえる状況に感化され、代表曲のみではなくアルバムを丸々聴取した方が多いと推測されます。

 

 

冒頭に紹介したトップアーティストチャート"記事化"エントリーでは、オアシス紹介時の最後に『ライブの余韻が次週のチャートにどう影響するか、注目』と記しました。ライブレポートが公開され、またたとえば『MIDDAY LOUNGE』(J-WAVE 月-木 13時30分)ではライブの熱狂が今週毎日紹介されたこともあり、来日公演の余韻は持続することでしょう。その洋楽熱が、今の作品や歌手にも反映されるならば尚好いと考えます。