ビルボードジャパンアルバムチャートにストリーミング指標を導入開始した昨年末以降、このチャートにて聴かれ続けている作品が可視化され、チャートも大きく様変わりしたことについては上半期の振り返り時等にて紹介しています。
その後、下半期初週にはチャートポリシー(集計方法)が変更。Streaming Albumsチャート(このチャート自体は現在も非公表)からストリーミング指標へ落とし込む際に総合100位以内に27週以上ランクインしたアルバムについては減算処理を行うというもので、それにより新たなヒット作品に光が当たりやすくなっています。
最新7月30日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートではこちらの作品が初の100位以内エントリーを果たしています。

(7月30日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートにおける、『眠れるディズニーオルゴール MUSIC BOX BEST COLLECTION』の指標構成を示したCHART insightを上記に。こちらは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。なお、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
『眠れるディズニーオルゴール MUSIC BOX BEST COLLECTION』のCHART insightから、このアルバムがストリーミング指標のみでポイントを獲得してきたことが解ります。そしてそのストリーミング指標が初めて加点されたのはビルボードジャパンがアルバムチャートにストリーミング指標を初めて組み入れた昨年12月25日公開分であることから、ストリーミング指標導入はこのような作品のヒットを可視化したことになります。

この現象は『眠れるディズニーオルゴール MUSIC BOX BEST COLLECTION』だけではありません。Relax α Wave名義の『すやすや赤ちゃんα波 ぐっすりおやすみオルゴール プレミアムベスト』もまた、ストリーミング指標の加点がこの指標の組入直後からみられています。さらには6月4日公開分にて総合85位に初登場し、現在まで9週連続で100位以内にランクインしているという状況です。
6月5日公開分はリカレントルールがストリーミング指標に初加算されたタイミングであり、『すやすや赤ちゃんα波 ぐっすりおやすみオルゴール プレミアムベスト』がそれまでStreaming Albumsチャートで100位未満ながらも100位に近い位置にランクインしていたこと、ロングヒット作品のリカレントルール適用開始に伴い(その作品群のダウンに伴う形で)フックアップされたことが見て取れます。
『すやすや赤ちゃんα波 ぐっすりおやすみオルゴール プレミアムベスト』は2020年前半にダウンロード指標が300位以内に入り加点、今年4月9日公開分でも同指標が久しぶりに加点されているのですが、後者のタイミングを踏まえれば保育園や幼稚園で作品のニーズがあり、新年度初めに購入する形で所有指標が浮上したのかもしれません。そしてストリーミング指標導入およびヒットが、作品の通年使用を可視化したと考えます。
今回紹介した作品のヒットから、「ラジオ体操 第1」(大久保三郎名義)のカラオケ指標100位以内ランクイン、またドリーミング「アンパンマンたいそう」の動画再生指標100位以内登場を想起した次第。後者については先月下旬、このように紹介しています(なお下記エントリーには「ラジオ体操 第1」について記載したエントリーのリンクも貼付しています)。
2023年3月に公開された動画は、ブログエントリー執筆段階で再生回数が7300万を突破。そしてビルボードジャパンソングチャートの動画再生指標(CHART insightにて赤で表示)では2023年11月15日公開分で80位に初登場以降、現在までほぼすべての期間に渡り100位以内をキープしています。
「アンパンマンたいそう」は一方で、ストリーミングは解禁されながらも300位以内に入っておらず、これらの点からは保育園や幼稚園で映像を流しながら体操を行っているだろうことが見て取れます。なお動画公開から動画再生指標初加算までは間隔が空いているのですが、おそらくは公開からしばらくして動画再生指標のカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)が付番されたのではないかと推測しています。
複合指標から成るチャートは生活に密着した作品のヒットを可視化するということを、今回あらためて実感した次第。オルゴール作品はヒットを続けることでリカレントルール適用に至る可能性がありますが、ともすればこのニーズを踏まえた作品が今後登場してくるかもしれません。