最新7月30日公開分のビルボードジャパンアルバムチャート、上位のラインナップを興味深く感じています。

上記は7月30日公開分ビルボードジャパンアルバムチャート、総合11位までにおける指標構成を示したCHART insight。こちらは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。なお、ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。
(この後に貼付するCHART insightも、有料会員が確認可能なものとなります。)
Mrs. GREEN APPLEが3作品トップ10入りし、そのうち『ANTENNA』『Attitude』はリカレントルール対象ながらも聴かれ続けていることが解ります(リカレントルールについてはReal Soundへ寄稿したコラム等をご参照ください→こちら)。また総合11位までの作品はすべて、ストリーミング指標でも順不同ながら11位までに入っているのですが、その総合11位までにはSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手の3作品が登場しています。
特に注目すべきと考えるのが、なにわ男子『BON BON VOYAGE』のトップ10返り咲きです。

7月2日にフィジカルリリースされたなにわ男子『BON BON VOYAGE』はフィジカルセールス初加算時に総合首位を獲得するも、デジタル未解禁(当時)により翌週は100位未満へ後退。その後7月16日水曜にデジタルが解禁されたことで2指標が初加算された前週は総合13位に再登場、そして当週は初のデジタル1週間フル加算に伴いトップ10内返り咲きを果たした形です。
なにわ男子は7月28日の”なにわの日”に生配信を実施し来年のドーム公演開催を発表しています。STARTO ENTERTAINMENT所属歌手のYouTubeでの高い人気(同時接続数の多さ等)は幾度となく証明されていますが、なにわ男子『BON BON VOYAGE』のデジタル解禁に伴うアルバムチャートトップ10返り咲きは、STARTO ENTERTAINMENT所属歌手が音楽においてもデジタルニーズがあることを示す事例といえるのではないでしょうか。
デジタル後発という点ではSnow Manのベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』も同様。その後リリースした今年初のフィジカルシングルでも同様の措置を採っています。
Snow Man
— Snow Man / MENT RECORDING (@SN__20200122) 2025年7月31日
12th Single「SERIOUS」より
♪SERIOUS
♪Jack In The Box
♪夏色花火
Download & Streaming 配信スタート🎧https://t.co/QJgwYKyBwp#SnowMan#SnowMan_SERIOUS #JackInTheBox #夏色花火 pic.twitter.com/wHDeLrksqa
Snow Manの最新シングル「SERIOUS」は一昨日、フィジカルリリースから9日を経てデジタル解禁に至っています。なお、通常盤に収録された「ばきゅん」は解禁されていません。
Snow Man
— Snow Man / MENT RECORDING (@SN__20200122) 2025年7月31日
「Ready Go Round」
Download & Streaming 配信スタート🎧https://t.co/2VJztFZYiO#SnowMan#ReadyGoRound pic.twitter.com/YirzcdmlsM
またSnow Manは「SERIOUS」と同日、アルバム『i DO ME』(2023)収録の「Ready Go Round」も配信リリースしています。一方で、これは【「SERIOUS」はいつデジタル解禁に至るか】…7月31日付イマオトについて|Kei - note(7月31日付)でも記したのですが、海外でポップアップイベントを開催するならば過去作をきちんとデジタルアーカイブ化することは尚の事必要ではと感じた次第です。
さて当週は「SERIOUS」のソングチャート制覇に伴い、Snow Manはトップアーティストチャート(ソングチャートとアルバムチャートの合算)でも22→4位に上昇していますが、一方で気になる点があります。
「SERIOUS」がソングチャートを制したSnow Manはトップアーティストチャートで22→4位に。フィジカルセールスは前週の38位、ラジオは同100位未満から共に2位へ浮上した一方、「SERIOUS」のデジタル未解禁が影響してかダウンロードは42→40位、ストリーミングは23→21位と小幅な上昇にとどまっています。

ソングチャートやアルバムチャートに新たな作品が登場した際にトップアーティストチャートも駆け上がるのは通常の流れですが、フィジカルリリース時にデジタルも同時リリースしなければデジタルが動きにくく、インパクトは大きくなりにくいのではと捉えています。

『デジタルも同時リリースしなければデジタルが動きにくく、インパクトは大きくなりにくい』という状況はなにわ男子においても同様であり、もっといえば『BON BON VOYAGE』のデジタル指標群が初加算された際には総合チャートで72→80位と後退しています。
新曲のフィジカルリリース時までに音源がデジタルリリースされない場合、コアファンはリリース週に新曲に集中するためデジタルアーカイブの聴取から(一時的に)離れる、他方ライト層は新曲を待ちわびながらアーカイブを聴取することは多くないということを、今回のチャート動向から想起しています。きちんと解禁していればプレイリストでも採り上げられ、そこから過去作への流れも生まれるるのではないでしょうか。

デジタルコンピレーションアルバム『Hello! We're timelesz』が登場22週目にしてアルバムチャート11位にランクインしているtimeleszですが、8人体制下での初アルバム『FAM』が未だデジタルリリースされていないことが影響してか、トップアーティストチャートでは『FAM』初登場時に首位を獲得するもその後は下降を続けているという状況です。
もっといえば、timeleszはデジタルコンピレーションアルバムおよび8人体制下での初リリース曲、Snow Manはベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』および昨秋のデジタル初リリース曲のみが解禁対象となっていたことで、アルバムチャートではストリーミングが牽引する形でヒットを続けるもののその他の作品をデジタルアーカイブ化していないためか、トップアーティストチャートのストリーミング指標は低くなっています。
timeleszは『Hello! We're timelesz』がアルバムチャートのストリーミング指標で11位に対しtimelesz自体はトップアーティストチャートのストリーミング指標が60位に、またSnow Manは『THE BEST 2020 - 2025』のアルバムチャートにおけるストリーミング指標2位に対しトップアーティストチャートのストリーミング指標は21位と乖離が生まれています。
他方アルバムチャートとトップアーティストチャートのそれとでストリーミング指標を比較すると、TOMORROW X TOGETHERは前者で4位および後者で10位、TWICEは前者で3位および後者で9位、ORANGE RANGEは前者で7位および後者で8位、そしてジャスティン・ビーバーは前者で8位および後者で42位となっています。ジャスティン・ビーバーが最も乖離するものの、基本的にふたつのチャートはリンクするといえるでしょう。
これらを踏まえれば、デジタルをフィジカルリリース時までに解禁すること、デジタルアーカイブをきちんと充実させることは、新曲および過去曲の双方を引き立たせる点において必要ではというのがチャート分析者としての見方です。
デジタル後発の姿勢は、コアファンに”デジタルがフィジカルセールスを毀損する”という見方を正しいと思わせかねず、また海外の音楽ファンを置いてけぼりにしかねません。日本の音楽業界全体がデジタルに明るくないという印象を海外に抱かせかねないとも考えるに、STARTO ENTERTAINMENT側がデジタルに対し前向きになることを願わずにはいられません。