2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2025年1月分です。前の月にリリースされた曲を中心に選出しています。ミュージックビデオ等動画がない曲も含め、エントリーの最後に掲載したSpotifyプレイリストでチェックしてください。
これまでの私的トップ10ソングス等についてはこちら。Spotifyを利用し、最新曲のみで構成されるプレイリスト(New Music Wednesday、New Music Friday Japan、New Music FridayおよびMonday Spin)を毎週チェックしています。
なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソング選出企画となります。音楽チャート等紹介の際、個人的な作品への思い入れを乗せないよう心掛けています。
10位 Re:name「TOY」
2016に大阪で結成されたスリーピースバンドによる、アルバム『GENIUS FOOL』(2月26日発売)からの先行曲。ボーカルを前面に配置しながらもいい意味でエモーションを排したミックスが施されており、ダンサブルなサウンドの輪郭をより際立たせています。
9位 Enfants「Dying Star」
元LAMP IN TERRENの松本大さんが2022年にスタートさせたバンドの新曲。先月米津玄師さんがInstagramのストーリー機能で紹介したことで知った方も多いかもしれません。ブルージーさも醸したサウンド、とりわけサビ直前や終わりに配置したベースと思しき低音の連打が不穏感を際立たせています。
8位 Lucky Kilimanjaro「楽しい美味しいとりすぎてもいい」
聴いた瞬間にLucky Kilimanjaroだと解るサウンドながら、しかし飽きさせることなく、気付くと身体がその心地よさに抗えず(むしろ自発的に)踊ってしまうという強さ。楽しい美味しいとりすぎてもいいというフレーズの持つ"口に出したくなる衝動"が、独自の世界観をより強固なものにさせています。
7位 Issei Uno Fifth feat. LEX & JP THE WAVY「CHA CHA 愛」
嘘をつかずに生きようというテーマの作品にて、嘘や偽りのある関係性を"CHA CHA 愛"と称するワードセンス、そして声やトラックの心地よさたるや。R&B的トラックとの相性も抜群で、ヒップホップながら歌モノとして絶品。Issei Uno Fifthさんは来週ファーストアルバム『Dear Mama』をリリースします。
6位 T-PAIN、イェジ & ガール・トーク「Believe In Ya」
ダンスクラシック好きにはたまらない、チェンジ「Hold Tight」を用いたディスコティーク。歌い上げるT-ペインとクールに決めるイェジの相性も抜群です。近年はアジアと北米といった極を越えたコラボレーションが盛んですが、韓国出身(ニューヨーク在住)のイェジが活躍の幅を拡げていることを嬉しく思います。
5位 Oyubi & カッシュ・ジョーンズ「Sin Jyuk Guen」
こちらは日本とニューヨークのDJ/プロデューサーによるコラボ作品。速いBPM、激しく機械的なビートの強調、シンセサイザーの多用といったシカゴハウスをベースにしたサウンドは、ジャケットのいい意味でのわけ分からなさも相まって一度ハマると抜け出せなくなります。なお、タイトルから"新宿御苑"を想起したのですが、どうやら関係ないかもしれません。
4位 セヴンズ「Wither」
今月リリースされるファーストアルバム『Sincerely』からの先行曲。緩やかに上昇するAメロと下降するサビの対比、6音程度のメロディの反復が心地よさを増幅させるサビの構造、曲の最後にスティーヴィー・ワンダーらしさをのぞかせる点等、ソウルミュージック好きには堪らない作品に。
3位 ZEROBASEONE「Doctor! Doctor!」
ラップの挿入は如何にも現代のダンスボーカルグループらしいといえますが、Bメロおよびサビのメロディにおける美しい昇華に惹かれて選出。R&B的アプローチは近年のK-POPに目立つ構成ながら、美しさという点では群を抜いているのではないでしょうか。
2位 レデシー「Love You Too」
今年のスーパーボウルにて黒人国歌と呼ばれる「Lift Every Voice And Sing」を披露したレデシー(以前日本ではレディシと表記したメディアが多い)。昨年のアルバム『Good Life』以来となるシングルでは、長年レデシーの音楽に関わってきたレックス・ライダウト(レックス・ライドアウトと記すメディアも)がプロデュース。しなやかな強さを、しかしながらさりげなく魅せるという点はレデシーの真骨頂といえるでしょう。
1位 星野源「Eureka」
ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』主題歌。曲の私見を記す者として、しかしいい意味でジャンルも時代も掴めないこの曲をバシッと形容する言語を持ち合わせていないのは情けない限りですが、ただしこの曲の持つ"体幹"に強く惹かれています。インタビュー記事(→こちら 3月末日まで"のぞきみ"可能)にて曲の着想点をクワイエット・ストームと語っていたことに驚き、ソウルミュージックへの深い愛情を感じた次第です。
以下、次点として10曲。
・Arche「言い訳」
・北村蕗「Used to Fall」
・小袋成彬 & Aru-2「Borderline」
・なとり「メーベル」
・アナザー「Care For You」
・コモン・ヒムナル、トミー・シムズ & プレイズ・ペイジ「Be Love」
・ジェニー feat. ドミニク・ファイク「Love Hangover」
・マイルド・マインズ「I Need U」
・テディ・スウィムズ feat. ギヴィオン「Are You Even Real」
K-POPのR&Bアプローチは、このジャンルが世界的に流行り始めたタイミングでみられた"BPMが速くサウンドが激しい"という形容のいい意味での脱却につながっています。そして極を越えたコラボレーションがK-POPに新たな顔、そして様々な可能性をもたらしているともいえるでしょう。BLACKPINKのソロ作ではロゼとブルーノ・マーズの共演作が大成功を収めていますが、ジェニーの新曲が持つ美しさも特筆すべきです。
Spotifyのプレイリストはこちらに。
今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。