イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

MUSIC AWARDS JAPANの新たなアナウンスを踏まえ、4つの注目点および提案を記す

5月21日および22日に初めて開催される日本発の国際音楽賞【MUSIC AWARDS JAPAN】について、昨日新たなアナウンスがありました。

今回はその中から、注目点を記載します。

 

<MUSIC AWARDS JAPAN 新たな注目点>

 

 

賞の新設について

新設音楽賞の理念に賛同した協賛パートナーの多さ、また大企業の参加は圧巻といえます。その協賛パートナーと組み、新たに生まれた"共創カテゴリー"と呼ばれる賞のうち、カラオケおよび有線リクエストについてはいわゆる"推し活"が大きく反映されるといえるものです。また推し活は『ベスト・オブ・リスナーズチョイス:国内楽曲 powered by Spotify』にも反映し得ると考えます。

コアファンの熱量が反映されやすい賞が新設されたのは、いわゆるスーパーファンの重要性を音楽市場が察知していることの表れといえそうです。一方でその熱量は、コアファンが投票に関与できない賞にてコアファンの多い/熱量が高い歌手やその作品が受賞を逃した際、彼らからの反発が高まる懸念も考えられます。MUSIC AWARDS JAPAN側は主要部門等において、賞の内容や選考方法等を丁寧に説明し続けることが重要です。

 

放送と配信との差について

『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 2024年12月31日放送)の中で、MUSIC AWARDS JAPANがNHK総合で放送されることをサプライズ的にアナウンスしていましたが、昨日の発表にてNHK総合のみならずYouTubeでも配信されることが正式に発表されています。

一方でMUSIC AWARDS JAPANに関する昨日の発信内容を細かく見てみると、NHK総合では授賞式のうち5月22日開催分を生中継する一方で、YouTubeにおいては"生配信"という文言がありませんでした。YouTubeでは2日間の授賞式を(一部地域を除く)全世界で配信するとのことですが、生配信する/しないの差が気になります。

近年、海外の音楽賞は放送ではなく生配信という形が増えている印象です。MUSIC AWARDS JAPANにおいてもその傾向に近いとは思われますが、一方で配信が生でないならばその注目度は高まらないかもしれません。MUSIC AWARDS JAPANが国際音楽賞であると謳うならば、世界での生配信は必要だと考えます。

ただ今回の対応は、授賞式映像がNHKのものではなくMUSIC AWARDS JAPAN側に属する、それゆえの措置かもしれません。MUSIC AWARDS JAPANは公式YouTubeチャンネルを用意しており、そちらでの配信が考えられることから、授賞式の永続的な配信やパフォーマンス映像の歌手側への貸与も期待できるでしょう。この貸与については『NHK紅白歌合戦』において行われておらず、下記エントリーにて改善提案を記しています。

 

司会について

NHK総合での放送が決まったMUSIC AWARDS JAPANですが、注視したいのは司会者選定です。日本レコード大賞においてはここ数年安住紳一郎TBSアナウンサーが務めていますが、旧来からの音楽賞においては局のアナウンサーが司会を務めることに伴う"放送色の強さ"も賞の客観性を削ぐものとして疑問視しています。

NHK総合で放送される以上同局のアナウンサーが登場することも考えられるMUSIC AWARDS JAPANですが(NHKでの放送に伴い賞名に記載された協賛パートナーの名前が挙げられない可能性は懸念しています)、MUSIC AWARDS JAPANが国際音楽賞と謳うならば"放送局のカラーをまとわない" "音楽業界に精通している" "対象年度に音楽作品をリリースしていない"および"グローバルな知名度を誇る"方の司会が最善と考えます。

今年はじめに『SHOGUN 将軍』でゴールデングローブ賞テレビドラマ部門最優秀女優賞(ドラマ部門)を受賞したアンナ・サワイさんは、かつて女性ダンスボーカルグループFAKYのメンバーとして2018年まで在籍しています。知名度の高さ、音楽への理解の深さを踏まえれば尚の事、アンナ・サワイさんの起用はMUSIC AWARDS JAPANの海外発信の面でも最適ではないでしょうか。

 

STARTO ENTERTAINMENT所属歌手の賞への対応について

STARTO ENTERTAINMENT所属歌手は日本レコード大賞において辞退するというスタンスを貫いている模様です。根拠としてはゴシップメディア以外の報道をほぼ見つけられないのが現状ですが、たとえば2020年代日本レコード大賞最優秀新人賞候補にSixTONESSnow Man、なにわ男子等の名前がないことには強い違和感を覚えます。

日本レコード大賞については、ノミネーションに至る経緯において透明性が乏しいことが問題です。一方で、米グラミー賞ではノミネーションの対象になるために最初に自薦が行われるのですが、新設されるMUSIC AWARDS JAPANでは投票メンバーによる投票がノミネーション選定段階でも行われます(一次投票として)。

この一次投票元となるエントリーはチャートインした歌手や作品が対象となるため、STARTO ENTERTAINMENT所属歌手やその作品もチャートインする限りは含まれます。ゆえに最終投票まで残った場合に辞退するか否かが大きな注目点です。

またNHK側は、STARTO ENTERTAINMENTの(旧社名時代における創業者の)問題を踏まえて所属タレントの起用を見送り続けていました。昨年末に起用再開をアナウンスしながら、再放送以外で所属タレントは未だ起用されていません。MUSIC AWARDS JAPANでノミネートされ、STARTO ENTERTAINMENT側が辞退しない場合、NHK総合で放送される授賞式に所属歌手が出席するかも注視する必要があります。

 

おわりに

その他、MUSIC AWARDS JAPANに対する見方については、賞の新設がアナウンスされた際に記載しています。

MUSIC AWARDS JAPANは公式Xアカウントも用意され(→こちら)、また先述のとおりYouTubeチャンネルのURLもありますが(→こちら)、しかし現時点で動画は用意されておらず、Xにおいても昨日発表された内容はアナウンスされていません。これはMUSIC AWARDS JAPAN公式ホームページでも同様です。

これらの対応を柔軟に行うこと、そして賞の内容や選考方法等を丁寧に説明し続けることを、MUSIC AWARDS JAPAN側に対し希望します。とりわけ、ビデオポッドキャストのニーズが高まっていることも踏まえ、この賞についてわかりやすくまとめた動画をYouTubeに掲載することは急務でしょう。この掲載はMUSIC AWARDS JAPAN公式YouTubeチャンネルの認知拡大にもつながります。