(※追記(12月26日16時36分):ビルボードジャパンがアルバムチャートのストリーミング指標についてチャートポリシー(集計方法)を掲載しました。その旨を補足しています。)
ビルボードジャパンは今週公開分より、アルバムチャートにストリーミング指標を導入することをアナウンスしています。この点についてはこのブログで採り上げました。
ビルボード・ジャパン、12/26より“Hot Albums”チャートの算出方法を変更 https://t.co/jKlIRbSWp3
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年12月18日
そしてそのリニューアル初回となるチャートが本日正午過ぎに発表されました。おそらくはアルバムチャート、およびアルバムとソングチャートを合算したトップアーティストチャートは木曜正午が更新時間になると思われます(ビルボードジャパンは公開時間について正式発表を望みます)。
最新12月26日公開分のアルバムチャートをチェックします。
アルバムチャートを制したのは&TEAM『雪明かり (Yukiakari)』でした。高いフィジカルセールスが総合チャート制覇に大きく貢献しています。
12月18日にリリースされた&TEAMの2ndアルバム『雪明かり (Yukiakari)』は、1stシングル『五月雨(Samidare)』、2ndシングル『青嵐 (Aoarashi)』、デジタル・シングル『十五夜 (Jyuugoya)』に続き、“春夏秋冬を通じて結束する少年たちの物語の最終章”に位置付けられている作品だ。CDセールス491,677枚で1位、ダウンロード数1,565DLで2位、ストリーミング56位を獲得している。
【ビルボード】&TEAM『雪明かり (Yukiakari)』総合アルバム首位 Mrs. GREEN APPLE/ロゼが続く https://t.co/nupXogzgvo
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年12月26日
一方で、最新アルバムチャートではストリーミング指標が大きく影響し、チャートが一新されたともいえる状況です。総合100位までのうち実に7割以上が入れ替わっているのですが、上位作品はストリーミングに強いアルバムが占めています。
ビルボードジャパン(@Billboard_JAPAN)アルバムチャートにストリーミング指標が加わった初回、12月26日公開分での3指標上位20作品の総合チャート関連度。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2024年12月26日
・フィジカル20位まで→総合20位までに1作品
・ダウンロード20位まで→総合20位までに6作品
・ストリーミング20位まで→総合20位までに19作品
勿論、次週以降の動向をみなければストリーミングに強いアルバムがロングヒットに至るかは判断できかねるものの、総合アルバムチャートの顔ぶれをみれば"今聴かれている"作品が多いという印象を抱く方は少なくないでしょう。
【今週の総合アルバム・チャート“Hot Albums”】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年12月26日
1位 &TEAM
2位 Mrs. GREEN APPLE
3位 ロゼ
4位 Number_i
5位 Mrs. GREEN APPLE
6位 Vaundy
7位 Vaundy
8位 Stray Kids
9位 back number
10位 back numberhttps://t.co/QAlh0NPig3 pic.twitter.com/mSVEFTuX3G
フィジカルに強い歌手のアルバムが首位初登場を果たす一方でストリーミングが高くはないという状況から、リニューアル後のチャートがストリーミングのアルバム換算分(SEA)を含む米ビルボードアルバムチャート的になってきたという印象を受けます。実際、最新12月28日付米アルバムチャートではStray Kids『HOP』(ビルボードジャパンでは『合 (HOP)』と表記)が首位を獲得していますが、フィジカルが圧倒的な状態です。
(なお米ビルボードアルバムチャートには単曲ダウンロードのアルバム換算分(TEA)も含まれますが、ビルボードジャパンでは含まれません。)
Stray KidsをはじめとするK-POP全体の米ビルボードアルバムチャート傾向についてはブログエントリーで紹介していますが、エントリーの終わりに記したことが今後日本でも大事になってくるものと考えます。
Stray KidsをはじめとするK-POP歌手の作品は今後も、米ビルボードアルバムチャートで一時的に上位進出を果たすことでしょう。重要なのはフィジカルセールス施策を採ったとしても接触指標群でヒットさせること、ライト層の支持を得て広く社会全体に浸透させていくことです。コアファンによる高い熱量にライト層による熱の持続が加われば、K-POPはより強いジャンルに成るはずです。
実際、最新のビルボードジャパンアルバムチャートを制した&TEAM『雪明かり (Yukiakari)』については、獲得ポイント全体に占めるストリーミング指標の割合が5%強と高くはないものの、ストリーミング指標が56位であることを踏まえればその重要度が分かるのではないでしょうか。この割合はCHART insightから確認可能です。
さてブログエントリー執筆段階(12月26日12時55分時点)におけるビルボードジャパンアルバムチャート、ストリーミング指標のチャートポリシー(集計方法)はこのように記載されています。
一方で、(追記あり) ビルボードジャパンのアルバムチャートにストリーミング指標が導入されることについて(12月19日付)にて記した疑問は解決されていません(ストリーミング指標の計算方法開示、トップアーティストチャートにおいてソングとアルバムチャートでストリーミング指標が重複する場合の処理方法等)。アルバムとシングルで同じ曲が入っている場合の紐づけ方法等も含め、掲載を願います。
そしてもうひとつ、ビルボードジャパンはストリーミング指標の基となるStreaming Albumsチャートを別途用意することを強く願います。
(※追記(12月26日16時36分):ビルボードジャパンがアルバムチャートのストリーミング指標についてチャートポリシー(集計方法)を掲載しました。これにより疑問点のいくつかは解決したといえます。つきましては下記に該当部分のキャプチャ画像を貼付します。)
Hot Albumsのリニューアルに伴い、FAQを更新しました。https://t.co/fIQYcxA9d7
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年12月26日
(追記ここまで。)
最後に。2025年度の年間アルバムチャートは間違いなく大きく変わるでしょう。所有指標、特にフィジカルセールスに強い作品は接触指標に強くならなければ年間チャートでの上位進出が難しく、サブスク未解禁ならばロングヒットは尚の事厳しくなるはずです。
とりわけ、フィジカルセールスに強い男性アイドルやダンスボーカルグループの動向を注視する必要がありますが、最新アルバムチャートではKing & Prince『Mr.5』が100位未満→24位、Hey! Say! JUMP『H+』が34→25位、BE:FIRST『2:BE』が100位未満→40位に上昇しています。この原動力がストリーミング指標にあることを踏まえれば、サブスク施策を徹底し、ライト層に広めることが重要だということが分かるはずです。
(なおこれら3作品のストリーミング指標については、CHART insightの有料会員のみが確認可能です。)