(※追記(6月22日18時19分):"NewJeans「Supernatural」「Right Now」リリースにおける興味深い動向"として採り上げた3つについて、その見出しの文言を加筆修正しました。合わせて目次のタイトルを"NewJeans、日本デビュー曲リリースにおける興味深い動向とその理由"に変更しています。)
NewJeansの日本デビュー曲「Supernatural」「Right Now」が本日6月21日にリリースされました。ソングチャートにおけるフィジカルセールス指標は「Supernatural」に加点されますが、今回はこのリリースにおける様々な状況を興味深く感じています。
<NewJeans、日本デビュー曲リリースにおける興味深い動向とその理由>
① 金曜リリース→日本語を用いた曲がグローバルチャートにランクインする可能性がある
日本の音楽作品はその大半が水曜にリリースされ、K-POP歌手の日本語詞曲もそれに倣ってリリースされる傾向です。その中でNewJeansの日本デビュー作品が金曜リリースであること、デジタル解禁(ミュージックビデオ含む)が13時に設定されているのは極めて興味深い動向です。これはNewJeansが、日本語詞曲を日本のみならず世界に向けて発信しているということの証明と考えます。
金曜は米ビルボードによるグローバルチャートの集計期間初日にあたり、日本においては13時(サマータイム適用期間外は14時)が開始時間となります(グローバルチャートの内容は上記リンク先をご参照ください)。日本では海外歌手による新曲の大半が金曜0時にリリースされる傾向にある中、「Supernatural」「Right Now」は13時、すなわち米東部標準時(EST)0時に解禁されました。
ここからは、米ビルボードによる7月6日付グローバルチャートの集計期間初日にリリースすることで初週1週間フル加算に伴い初登場週の上位進出を狙うという意思がみえます。K-POP歌手の日本語詞曲ではBTS「Stay Gold」を思い出す方も多いでしょうが、同曲は米ビルボードによるグローバルチャート開始前にリリースされているゆえ、仮にNewJeansが日本語詞曲でグローバルチャートに登場したならば画期的なことです。
仮にNewJeansの日本語詞曲が米ビルボードによるグローバルチャート200位以内にランクインすれば、K-POP歌手の作品であれ日本にちなんだ作品が世界から注目を集めるでしょう。そして同時に、日本の音楽業界が世界に目を向けるきっかけになるかもしれません。ここで以前提案した日本におけるデジタル/フィジカルの金曜リリース化(下記リンク先参照)が叶うことを願うばかりです。
② 歌詞における日本語比率の低さ→K-POPの日本語詞曲や世界を目指すJ-POP曲の手本になり得る
K-POPの歌手における日本語詞曲においては、日本的なメロディライン…もっと言えば歌謡曲のそれをなぞる作品が少なくなく、大団円的な着地の仕方等においてK-POPと大きく異なる点に違和感を抱いてきた方はいらっしゃるのではないでしょうか。
その中で、NewJeansの日本語詞曲「Supernatural」はニュージャックスウィングを用いながら、1980年代後半から2000年頃の様々な流行を踏襲しつつも自分流に解釈することに長けています。
ちなみに「Supernatural」の歌詞は日本語が非常に少ないのも興味深いところです(上記リンク先参照)。思い出したのは今月Travis Japanがリリースした「Sweetest Tune」で、この曲は彼らのシングルで初めて日本語を採り入れながらも、その比率は小さいと感じていました。そして2曲とも複数の言語がスムーズに、違和感なく聴こえるという点を踏まえれば、このシームレスさは今後の主流に成っていくかもしれません。
③ ミュージックビデオ先行公開→リリース手法の新たな形になり得る
本日リリースの2曲のうち、「Right Now」はミュージックビデオを先行で公開しています。これは5月24日リリースの「How Sweet」「Bubble Gum」における後者でもみられたのですが、「Right Now」は4週前の4月26日金曜にミュージックビデオが公開されたことに伴い、同日を集計期間初日とする5月11日付Global Excl. U.S.にて166位に初登場を果たしていました。
NewJeansのような、音源リリースに先駆けてミュージックビデオを公開するという手法は海外ではあまり多くない印象です。最近ではTikTokを使ってティザー(ティーザー)的な形で公開することでリリースの期待値を高める手法が増えていますが、ミュージックビデオそのものの公開は珍しく、ともすれば今後海外で増えるかもしれません。
(なお日本ではミュージックビデオを先行公開する手法が少なくありませんが、その中には音源をデジタルリリースしないという作品が多い印象です。)
NewJeans初の日本語詞曲について3点採り上げましたが、個人的には今回の作品がヒットすることで尚の事、最初に紹介した金曜リリースが日本でもスタンダードになることを願っています。