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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週および当週の上位初進出曲におけるCHART insightから、真のヒット曲に成るかを読む (2024年1月3日公開分)

今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして当週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。

なお今回は、ビルボードジャパンの年末年始進行に伴い1月10日に発表された1月3日公開分(集計期間:2023年12月25~31日)を分析します。1月10日公開分(集計期間:1月1~7日)については、明日のエントリーにて紹介します。

前週のエントリーはこちら。

1月3日公開分のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。

 

 

まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポストにて簡潔に説明しています。

 

<2023年12月27日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて

 20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>

 

・≠ME「アンチコンフィチュール」 4位→100位未満(300位圏内)

 ・HKT48「バケツを被れ!」 5位→100位未満(300位圏内)

またフィジカルセールス初加算に伴い前週2位に上昇した桑田佳祐松任谷由実「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」の動向についても紹介します。

3曲とも1月3日公開分において総合100位未満となっていますが、この中で最上位は桑田佳祐松任谷由実「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」と思われます。接触指標群(ストリーミングおよび動画再生)は300位圏外となり加点されていないものの、ラジオが高位置で推移し、所有指標群(フィジカルセールスおよびダウンロード)も100位以内に残っています。

他方、≠ME「アンチコンフィチュール」およびHKT48「バケツを被れ!」は前週、フィジカルセールス以外の指標が300位未満となり加点されず、今回の急落は予想されたものでした。特に接触指標群の加点が伴わなければ急落し、真の社会的ヒット曲とは言い難いというのが私見ですが、「バケツを被れ!」においては当週総合17位に再浮上したAKB48「アイドルなんかじゃなかったら」のような動きが今後出るものと思われます。

施策に伴いフィジカルセールスが急上昇(および急落)を繰り返し総合でも上位に再浮上する構図はAKB48を中心とするグループで散見されます。接触指標群が強くなく、他指標も加点されない曲は真の社会的ヒット作品とは呼び難いのですが、この状況の継続を踏まえてブログではビルボードジャパンに対し提案を行っています。せめてチャートの見方を、(来月発売の書籍のみならず)ネットを介して伝える必要があるでしょう。

 

 

続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。

<2024年1月3日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 20位までに初めて登場した作品のCHART insight>

 

・3位 (初登場) 星野源「光の跡」

・4位 (初登場) KinKi Kidsシュレーディンガー

(上記はショートバージョン。)

なお、先述したようにAKB48「アイドルなんかじゃなかったら」が総合17位に再浮上を果たしています。

 

星野源「光の跡」、KinKi Kidsシュレーディンガー」共にフィジカルセールス指標初加算に伴うエントリーですが、前者ではラジオにて先行解禁が行われています。このラジオ先行解禁は、先月において竹内まりや「君の居場所 (Have a Good Time Here)」でも行われており、ラジオで強く支持される歌手がよく行っているという印象があります。

その「光の跡」はフィジカルにて、先行配信された「生命体」とダブルAサイドとなりますが、フィジカルセールス指標は1曲のみに加点。「生命体」はダウンロード指標が300位以内に再浮上したことで総合でも300位以内に返り咲きましたが、今回の集計期間最終日に放送された『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)で「生命体」を披露したことを踏まえれば、仮にフィジカルの加点対象が「生命体」だったならばとも感じています。

 

KinKi Kidsシュレーディンガー」はダウンロード、サブスクにて未配信(なお堂本光一さん、堂本剛さんのソロ(プロジェクト)作品は解禁済)。ゆえに最新チャートではフィジカルセールスおよびラジオの2指標のみが加点されていますが、その5週前には動画再生指標が100位以内に入っていました。これは、先に掲載したショートバージョンでのミュージックビデオ公開による、動画再生指標初の1週間フル加算に伴うものです。

その後、今回の集計期間中にテレビパフォーマンス映像が歌手側の公式YouTubeチャンネルにて公開されましたが、動画再生指標の300位以内復帰は至りませんでした。ただ、KinKi Kids側はその後、次週1月10日公開分の集計期間初日となる元日に「シュレーディンガー」のフルバージョンとなるミュージックビデオをアップしています。

KinKi Kidsは前作「The Story of Us」(2023)にてミュージックビデオをフルサイズにてYouTube公開しなかった模様であり、これも旧ジャニーズ事務所(およびその所属歌手)におけるひとつの変化と受け止めていいでしょう。ただ、このフルバージョン動画が仮にフィジカルリリース日までにアップされたならば、曲や歌手側の魅力が少しでも拡がり、フィジカルセールスにも好い形で影響したのではとも感じています。

動画再生は同じ接触指標であるストリーミングほどポイントに反映されないこともあり、やはりデジタル全体での解禁は必須と考えますが、KinKi Kids側によるフルバージョンでのミュージックビデオ公開は彼らがデジタルに前向きになろうと模索していることの表れと捉えています。