イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり)【ビルボードジャパン最新動向】グローバルでも上位進出の「Bling-Bang-Bang-Born」、その勢いと動画に関する提案

(※追記 (2月11日5時13分):当週の総合ソングチャートで50位以内に入った曲のポイント前週比を示す表において、ポイントの公開日欄に誤りがありました(ポイント自体の訂正箇所はありません)。つきましては、正しい公開日を掲載したものを再掲しています。心よりお詫び申し上げます。)

 

 

 

最新2月7日公開分(集計期間:1月29日~2月4日)のビルボードジャパンソングチャートでは、前週初の首位を獲得したCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が連覇を達成しました。同曲の勢いを紹介すると共に、今後の施策について考えてみます。

 

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はダウンロード2位、ストリーミング1位、ラジオ9位およびカラオケ63位を記録。ストリーミング指標の基となる再生回数は前週比120.6%の17,675,013回に達し、YOASOBI「アイドル」が昨年7月26日公開分にて記録した17,831,823回再生以来の高水準となりました。

カラオケは上位進出が難しく、またロケットスタートも切りにくい指標ですが、「Bling-Bang-Bang-Born」は当週集計がスタートしたとアニメソングチャートの記事で紹介されています(下記ポスト内記事参照)。カウント対象初週における100位以内にエントリーは、カラオケが強くないといえるヒップホップにあってこの曲が如何に人気かを示すに十分でしょう。

そして、ソングチャートの構成指標ではないものの動画再生やストリーミング主体に影響を及ぼすTikTok Weekly Top 20やTop User Generated Songsといったチャートでも「Bling-Bang-Bang-Born」は共に首位をキープしています(前者については下記ポスト内記事参照)。記事で紹介されたローカルカンピオーネによる新たな振り付けの登場が、「Bling-Bang-Bang-Born」の人気を別角度から支えていると考えられます。

尤もTikTokについてはユニバーサルミュージックグループが引き下げを行ったこともあり(その措置は当週以降のチャートに作用します)、「Bling-Bang-Bang-Born」はその点でもしばらく優位に立てると考えますが、TikTokUGC(歌ってみた等に代表されるユーザー生成コンテンツ)での人気、カラオケの急上昇といった”活用”という側面でのヒットは、YOASOBI「アイドル」やAdo「唱」の動向を彷彿とさせます。

この結果、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のポイント前週比は122.2%を記録。この数値が如何に驚異的かは、当週の総合ソングチャートで50位以内に入った曲のポイント前週比を示す表からよく解ります。たとえばデイリー200位までの再生回数が可視化されるSpotifyの動向を踏まえるに、この勢いは次週も続くと捉えています。

 

 

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は世界でも人気が続いています。米ビルボードによる2月10日付グローバルチャートのうち、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.では同曲が7位にランクイン。この記録はグローバルチャートの速報エントリーにて紹介しています。

日本の楽曲におけるGlobal Excl. U.S.でのトップ10入りはKing Gnu「SPECIALZ」(2023年9月16日付 8位)以来。「Bling-Bang-Bang-Born」においては他の日本の楽曲に比べてダウンロードが大きくないことから、ストリーミングでの人気が見て取れます。またグローバルチャートの上位曲において全体的に構成2指標の数値が下がっているとみられることも、同曲に優位に働いたといえるでしょう。

 

ならば、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は次週以降もグローバルチャートで上位にとどまることができるかというと、安泰とはいえないというのが厳しくも私見です。

徒然研究室さんのデータからは、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の世界的な勢いは下がっている可能性が見て取れます。Spotifyのチャートは強力なアルバムが登場するとその収録曲が上位を占拠する傾向がありますが、現在はそのような作品が見当たらず、同曲の勢いが純粋にキープできていないのではと感じています。そしてその理由として真っ先に浮かんだのが、公式動画がないということです。

ビルボードグローバルチャートの記事はCreepy NutsのDJ松永さんもリポストしていますが、この記事で「Bling-Bang-Bang-Born」の動画が未掲載となっているのは公式動画が存在しない、もしくは公式動画は用意されているもののYouTube有料会員向けの公開にとどめているゆえかもしれません。この状況下ではTikTok等で曲に触れた方がその作品を気になったとして、そこから先へは遷移しにくいと言えます。

(なお、記事のリポストだけという状況は勿体ないと感じています(記事が英語ならばリポストの理由を添えるほうが好いでしょう)。ランクインの喜びの声を添えることでコアファンとの喜びの共有、新たなコアファンやライト層の獲得といったエンゲージメントの徹底につながります。これはYOASOBIが得意としていることであり、またディス曲で首位を獲得したミーガン・ザ・スタリオンも喜びの声を発信しています(→こちら)。)

またビルボードジャパンソングチャートにおいても、「Bling-Bang-Bang-Born」の動画再生指標は加点されていません。アニメにおけるオープニングもしくはエンディングのノンクレジットムービーは公式動画ではないと断言可能であり、その点においてもせめて公式オーディオは用意する必要があったと考えます。動画再生はグローバルチャートにおいてストリーミング指標に加算されるため、その意味でも必要でしょう。

 

 

Creepy Nutsは「Bling-Bang-Bang-Born」のミュージックビデオを近日中に公開することを明らかにしましたが、重要なのはその公開日です。個人的にはなるべく早く、できるならば明日金曜に公開することを提案します。

ビルボードジャパンソングチャートでは強力なライバルはほぼ見当たらず、「Bling-Bang-Bang-Born」の次週の首位は確実と考えます。また再来週は初週フィジカルセールスの強いSnow Manによる新曲が上位に初進出しますが、2023年度に週間首位に送り込んだ「タペストリー」および「Dangerholic」は共に1万2千ポイント台となっています。

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は今後もポイントの増加が考えられ、次週1万2千ポイント台に突入する可能性は高いでしょう。ゆえに日本のチャートでの連覇が見込めるため、グローバルをより意識し、グローバルチャートの集計期間初日に当たる金曜に動画を公開することが最善と考えます(グローバルチャートの概要は下記エントリー参照)。先述の通り公式動画は日本およびグローバル双方のソングチャートに寄与します。

ミュージックビデオの早急な公開を提案したのは、徒然研究室さんが指摘した勢いの低下(の可能性)を踏まえてでもありますが、チャート施策以前にYouTubeで音楽を聴くという方を取り逃さないようにと考えるためです。Creepy Nuts運営側の判断を注視したいと思います。