イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

NHKの音楽専門YouTubeチャンネルがパフォーマンス映像のフルバージョン公開を続けることについて

昨日のブログへのアクセス数が大幅に伸びたことに驚きましたが、Mrs.GREEN APPLEの『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と表記)への出演内定が報じられたことが背景にある模様です。

あくまで内定報道であり、記事には”分かった”という表現が用いられていることは頭に入れる必要があります。一方で昨年は内定報道の大半が事実と成りました。

上記エントリーでは今年の紅白の内定報道をまとめ、注意点も記しています。ただしMrs.GREEN APPLEにおいてはチャート面からも出演は自然であり、当然と考えます。

 

さて、このブログでは紅白の出場歌手予想を掲載していますが、直近の予想では紅白のテーマを踏まえてこのように記しました。

ボーダレスというテーマを、国境を越える、世界に轟くという意味合いで据えたのだとすれば、出場歌手の音源は世界に広く伝わっている必要があるはずです。またNHKは音楽専用のYouTubeチャンネル(NHK MUSIC)を強化しており(下記リンク先参照)、今回の紅白の模様は一時的にでもフルバージョンで公開されるかもしれません。

(※下記リンク先とはこちらを指します。)

実際、NHK MUSICのYouTubeチャンネルではフルバージョンでの公開が続けられています。

 

上記はNHK MUSIC - YouTubeにおける10月23日5時13分時点での動画一覧。注目は10月21日土曜に放送された『SONGS』アリス登場回(2022年放送分の再放送)、およびNewJeansが登場した『Venue101 Presents NewJeans“Get Up”Live』でのパフォーマンス映像がフルでアップされている点にあります。

YouTubeでの動画公開は番組見逃し配信への誘導が背景にあると思われ、またこれまでの動画公開状況を踏まえれば見逃し配信の終了と同時にYouTubeでの公開も削除されるものと捉えています。

(ただし、(X(旧Twitter)では記載されているものの)上記キャプチャの概要欄だけではYouTubeでの動画公開終了時刻が不明瞭と感じるゆえ、NHK MUSIC側にはYouTube公開終了時間の正確な記載を求めます。そして、海外の動向を踏まえればYouTube動画を常時残すべきというのが私見です。)

 

NHKによるパフォーマンス映像のフルバージョン公開については、この秋の特番『NHK MUSIC EXPO 2023』が契機になったと考えています。

その後NHK MUSICのYouTubeチャンネルでは『Venue101』特番に登場したStray Kids、また『NHK MUSIC SPECIAL』での浜崎あゆみさんのパフォーマンス映像がフルで公開されています(共に現在は削除済)。他方『うたコン』や『Venue101』通常回等のパフォーマンス映像は1分という短尺版で公開され、また出演歌手をすべて網羅しているわけではないという状況です。

たとえば10月14日放送の『Venue101』におけるパフォーマンス映像は短尺版でNHK MUSICのYouTubeチャンネルに登場していますが、WANIMA「夏暁」はありません。これは『NHK MUSIC EXPO 2023』におけるTravis Japan「Candy Kiss」と同様の措置といえます(なお『NHK MUSIC EXPO 2023』ではYOASOBI「アイドル」も公開されましたが、夏フェス映像のため権利関係に伴いYouTube公開ができなかったものと思われます)。

 

 

内定報道をまとめたエントリーでも紹介した徒然研究室さんによるnoteでは、昨年SNSYouTubeに積極的にアプローチを行った紅白の良好な結果について分析、紹介されています。徒然研究室さんはその後もNHK MUSICのYouTubeチャンネルにおける再生回数推移を追いかけていますが、この動向を踏まえれば今後テレビパフォーマンス映像がフル尺にてYouTubeでアップされる可能性は高まるでしょう。

 

音楽チャートの面からは、テレビパフォーマンス映像が歌手側のYouTubeチャンネルにて、フルバージョンで、期間限定を設けず、ビルボードジャパンソングチャートの動画再生指標で加算対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)をきちんと付けた上で公開することが最善と考えます。すべてが叶った状況を日本で見たことは記憶になく、エンタテインメント業界全体での環境整備は必須です。

その中にあって、今年はテレビパフォーマンスのYouTube発信に動きが出てきています。しかしながら、まだ一部歌手(の属するレコード会社や芸能事務所)との折り合いがついていない、もしくは逆に折り合いがつきすぎている状況ともいえるでしょう。

ジャニーズ事務所(名称変更につきこのように表記します)の所属歌手においてはこの春からTVerでの見逃し配信や歌手側のYouTubeチャンネルにてパフォーマンス動画が公開されていますが、後者においては他事務所の歌手が同様の手法を採用していません。なお今夏の音楽特番ではフジテレビでのパフォーマンス分がYouTubeで公開されませんでしたが、同局による別番組でのパフォーマンス映像が現在配信されています。

(上記キャプチャはKis-My-Ft2「Everybody Go」@キスマイ超BUSAIKU!? - YouTubeより。動画は12月8日で削除されるため、公開されていた証明としてキャプチャしています(他のキャプチャも同様の理由です)。問題があれば削除いたします。)

 

NHKは公共放送ゆえ民放の放送局よりも客観的な運営が求められ、そしてそれができやすい立場にあると考えます。YouTubeの展開についても同様でしょう。何がフルバージョンで、何が短尺版で公開されるか等NHK MUSICの基準は不明瞭ですが、いずれすべてフルバージョンで、期間限定を設けずに公開することを期待しています。公開ルールを策定し他局と共有することで、業界全体を変えていくことを希望します。

ルールの策定により動画公開を標準化した後、短尺版であっても動画公開に後ろ向きな歌手や芸能事務所等が存在するならば、厳しい見方かもしれませんがNHK側は前向きな起用を控えることを検討していいのではないでしょうか。おそらくその試金石となるのが今年の紅白かもしれません。紅白でのパフォーマンスがフル尺で公開されることを願っています。