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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

『第74回NHK紅白歌合戦』出場歌手を予想する (予想二回目)

晦日に放送される『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と表記)の出場歌手予想、今回は第二回です。

このブログでは9月に第一回、そして第1.5回と銘打った予想を掲載しました。

予想第1.5回の用意はジャニーズ事務所所属歌手が出場しない可能性を踏まえてのものでしたが、後にNHKは今年の紅白にて同事務所所属歌手の出場がないことを半ば明言した形です。

 

そして先週、様々な発表がありました。

今後様々なメディアが紅白出場歌手についての内定報道を行うと思われますが、精度は上がったと感じるものの完全ではないということは認識する必要があります。また紅白についてはいわば”くさす”報道も散見されますが、たとえば昨年の紅白はネットで話題となり見逃し配信も多かったことから、リアルタイム視聴率(それ自体テレビ全体で下がっていることをまずは認識すべきです)がすべてではないことを知る必要があります。

昨年の紅白について有益と感じる、徒然研究室さんのコラムを上記に。またリアルタイム視聴率について分析したnoteプロデューサーの徳力基彦さんはコラムにて以下のように述べていますが、この内容は今年の”ボーダレス”というテーマにつながっているものと考えます。

注目度も高い分、どんな取り組みを行っても批判が集まってしまいがちな紅白歌合戦ではあります。

ただ、紅白歌合戦は着実に、ネット世代とテレビ世代、そして演歌、ロック、J-POP、K-POPなど、世代や音楽のジャンルや国境も越えて、多様化する世界を年に1度音楽の力でつなぐお祭りとしての立ち位置を、確立しつつあるのかもしれません。

 

というわけで今回は、あらためて今年の紅白出場歌手の予想を掲載します。なお放送時間は変わらないことから、紅白共に22組、および特別枠数組を紹介します。また今回の予想のベースとなるのは予想1.5回目、すなわちジャニーズ事務所所属歌手未選出のバージョンとなります。

 

昨年の出場歌手および披露曲、曲順は下記リンク先をご参照ください。

紅白では出場歌手の選考基準を、【今年の活躍】【世論の支持】【番組企画にふさわしいか】と定義しています。

【今年の活躍】については、ビルボードジャパンによる上半期各種チャートも参考になるものと考えます。また、特に初登場歌手の選考においてはビルボードジャパンによるトップアーティストチャート(ソングチャートとアルバムチャートを合算したもの)での安定性が重要であるということについて、このブログで紹介しています。

【番組企画にふさわしいか】については、【NHKタイアップがあるか】や【NHKの(音楽)番組に出演しているか】と置き換えてもいいでしょう。その他にも【周年記念のタイミングか】、また【年末年始のリリースはあるか】も基準に成るものと考えます。前回予想して以降、後者においては年末年始のリリース作品が続々アナウンスされており、そちらも考慮しています。

 

 

ということで、紅白出場歌手の二回目の予想を掲載します。

 

<『第74回NHK紅白歌合戦』 出場歌手予想>

 (※前年同様、紅白各22組にて予想しています。以下敬称略。)

 

・紅組

あいみょん

新しい学校のリーダーズ

Ado (前回の予想ではAdo × Vaundyと記載)

ano

石川さゆり

宇多田ヒカル (前回の予想では特別枠にて記載)

XG

坂本冬美

島津亜矢

TWICE

NiziU

NewJeans

乃木坂46

日向坂46

松田聖子

MAN WITH A MISSION × milet

MISIA (前回の予想ではMISIA& Rockon Social Clubと記載)

水森かおり

YOASOBI

緑黄色社会 (前回の予想では未記載)

LE SSERAFIM

和田アキ子

 

(前回の予想から外した歌手:結束バンド、および中納良恵さかいゆう趣里)

 

・白組

INI

imase

Official髭男dism

King Gnu

郷ひろみ

JO1

純烈

Stray Kids

SEVENTEEN

Da-iCE

10-FEET

Vaundy

back number

BE:FIRST

福山雅治 (前回の予想では未記載)

藤井風

星野源

ポルノグラフィティ (前回の予想では未記載)

Mrs.GREEN APPLE

三山ひろし

山内惠介

米津玄師

 

(前回の予想から外した歌手:鈴木雅之、およびジョングク)

 

※ 特別枠については後述。

 

※ 予想一回目ではジャニーズ事務所所属歌手や関連歌手として白組にKing & Prince、SixTONESSnow Manおよびなにわ男子を、特別枠にて男闘呼組を予想していましたが今回外しています。また男闘呼組メンバーがすべて在籍するRockon Social Clubについても同様です。

 

 

予想一回目で記したように、今年はスポーツそしてアニメ関連曲が多くなると捉えています。国境を越えて日本人が活躍する、海外に日本の強さが轟くという意味でスポーツ関連曲が披露され、選手が多数ゲスト出演することも予想されます。星野源「生命線」、MISIA「傷だらけの王者」、特別枠としてさだまさし「マイアミの歓喜もしくは開運~侍ジャパンと栗山監督に捧ぐ~」などが候補曲として考えられます。

(「傷だらけの王者」はMISIA & Rockon Social Club名義ですが、男闘呼組メンバーが全員在籍するRockon Social Clubが出演することに伴うクレームを避けるべく、紅白側はMISIAさん単独での披露を希望するのではというのが私見です。予想1.5回目で記したように、BTS不出場時にその理由を明言しなかったNHKの対応もそう考える一因であり、それを踏まえ今回の予想ではジョングクさんについて白組→特別枠へ移行しています。)

 

ラグビーは現在ワールドカップが開催中、且つNHKでも中継が行われていますが、そのラグビーを題材にした松任谷由実ノーサイド」が披露される可能性もありそうです。10年前とはなりますが、改修前の国立競技場で行われた早明戦の終了後にこの曲が披露されており、今回紅白で同種の演出が施されるかもしれません。

松任谷由実さんはコラボアルバム『ユーミン乾杯!! ~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム~』を来月リリース。新録コラボ主体ながら、小田和正さん、財津和夫さんとの「今だから」が今回遂にCD化されます。特設サイト(→こちら)では元祖コラボ曲と形容されていますが、このコラボもボーダレスの一種でしょう。坂本龍一さんがアレンジし、高橋幸宏さんも参加したこの曲の披露はトリビュートの意味にもなるはずです。

その他特別枠では、結束バンド(前回の予想では紅組にて記載)、中納良恵さんとさかいゆうさん、趣里さんによるドラマ『ブギウギ』主題歌「ハッピー☆ブギ」(前回の予想では紅組にて記載)、サザンオールスターズさだまさしさん(先述したWBC関連曲)、ジョングクさん(前回の予想では白組にて記載)およびスピッツを予想。前回の予想からは宇多田ヒカルさん(紅組枠へ移行)、B'zおよびYOSHIKIさんを外しています。

 

 

特別枠以外の出場歌手選考に話を戻すと、ボーダレスというテーマを国境を越えて海外で活躍という意味として捉えるならば、ビルボードジャパンが先月立ち上げたGlobal Japan Songs Excl. Japanという新たなチャートも選考の参考になると考えます。このチャートの内容、そして最新10月5日公開分の記事は下記に。

Global Japan Songs Excl. Japan開始から1ヶ月が経過しましたが、大きな動きは乏しいといえるかもしれません。その中で毎週複数曲を20位以内に送り込んでいるXGは最新10月4日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートも制し、同日付トップアーティストチャート(Artist 100)では7位に至っています。

トップアーティストチャートのCHART insightにおける安定が、特に初登場歌手の選考条件において重要ということは先述したとおり。XGは総合300位未満になることもあるため安定性への疑問は否めませんが、今後安定する可能性やボーダレスな活躍を踏まえて選考されるかもしれません。

 

そして世代を超えるという点では、THE FIRST TAKEで披露された過去曲が話題になりカラオケチャートでも上昇することが少なくなく(紅白では毎年のようにこのYouTubeチャンネルの映像を使用していることにも注目です)、その流れでポルノグラフィティが復帰するかもしれません。

(上記はビルボードジャパンソングチャートでの直近150週分におけるポルノグラフィティサウダージ」のCHART insight。カラオケ指標は緑、動画再生指標は赤で表示されます。)

サウダージ」は2年前にTHE FIRST TAKEで披露された上記動画を機にカラオケ指標で上昇に至っていますが、このような人気上昇を下記エントリーにて『カラオケにおける世代間ギャップの縮小(世代間共有の拡大)』と紹介しており、今回の紅白のテーマであるボーダレスに通じるのでは感じています。ポルノグラフィティはこの秋デビュー25周年イヤーに突入しており、周年記念での出場という点でもピッタリかもしれません。

(なお、紅白においてはジャニーズ事務所以外でも芸能事務所という括りが作用することは小さくないと捉えています。ポルノグラフィティが所属するアミューズPerfume福山雅治さん、星野源さん、サザンオールスターズ等を擁していますが、同社に業務提携の形で所属する大泉洋さんが今回司会から外れたことで、アミューズ所属歌手の出演にも影響が及ぶかもしれません。)

 

 

すべての歌手、すべての披露曲が今回の”ボーダレス”というテーマに沿うわけではないものの、海外での活躍という点ではK-POP歌手は勿論のこと新しい学校のリーダーズXG、YOASOBI、imaseさん等が該当。また年代を超えたコラボという点では「オトナブルー」での新しい学校のリーダーズ和田アキ子さんの共演等に期待したいところです(尤も、「オトナブルー」コラボはフジテレビの音楽特番で既に披露されていますが)。

またたとえば、テレビ局が映像配信会社との”ボーダレス”を果たせるかが気になるところです。昨年末以降話題となったドラマ『First Love 初恋』(Netflix)のインスパイア源となり、リバイバルヒットに至った「First Love」を宇多田ヒカルさんが披露することになれば大きな話題となるでしょう。

 

 

最後に。ボーダレスというテーマを、国境を越える、世界に轟くという意味合いで据えたのだとすれば、出場歌手の音源は世界に広く伝わっている必要があるはずです。またNHKは音楽専用のYouTubeチャンネル(NHK MUSIC)を強化しており(下記リンク先参照)、今回の紅白の模様は一時的にでもフルバージョンで公開されるかもしれません。

(なお現時点にて『NHK MUSIC EXPO 2023』のパフォーマンス映像は存在せず、公開が終了したものと思われます。)

NHKでのパフォーマンス映像がフルバージョンでYouTubeにて公開されたことについては上記で記しましたが、『NHK MUSIC EXPO 2023』に出演したTravis Japanのパフォーマンス映像は公開されませんでした。ジャニーズ事務所所属ながらデジタルでデビューを果たした彼らの映像が未公開という状況に、事務所側の意向を感じたのは決して大げさではないでしょう。

その意向があったと仮定して、NHK側は今後それを拒否するのではと感じます。デジタル配信は世界リリースとほぼ同等であり、未配信歌手はボーダレスというテーマにそぐわない、また音源は配信してもYouTube配信を認めないならば紅白のみならずエンタテインメントの発展に寄与しないと判断するのではないでしょうか。これは仮に来年テーマが変わり、ジャニーズ事務所所属歌手が復帰可能な状況になっても同じと考えます。

このデジタルに明るくない歌手についてはジャニーズ事務所に限らずベテランでも散見されることについて、上記エントリーで紹介したばかりです。仮に今回NHKがデジタルに明るくない歌手を選ばないならば、来年以降の出場歌手選考条件に【デジタルをきちんと解禁しているか】が加わるかもしれません。