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【海外ビルボード】テイラー・スウィフト「Cruel Summer」、キャリア10曲目となる米チャート制覇

現地時間の10月23日月曜に発表された、最新10月28日付米ビルボードソングチャート(集計期間10月13~19日)。前週初登場で制したドレイク feat. J. コール「First Person Shooter」は8位に後退、テイラー・スウィフト「Cruel Summer」が同曲初の首位を獲得しています。

ビルボードソングチャート65年の歴史において1,158曲目の首位となったテイラー・スウィフト「Cruel Summer」は、ストリーミングが前週比35%アップの1860万(同指標5位)、ダウンロードが同1,482%アップの41,000(同指標首位)、ラジオが同2%アップの7780万(同指標2位)を記録。ダウンロード指標は27曲目の首位となり自身の持つ最高記録を更新、またトップセールスゲイナーおよびトップストリーミングゲイナーを獲得しています。なお前週はドレイクのアルバム『For All The Dogs』が初登場したことに伴い、収録された23曲がすべてソングチャート100位以内にエントリーを果たしていました。

ダウンロードやストリーミング指標の急増は、集計期間6日目となる10月18日に新たな2バージョン(ライブバージョンおよびリミックス)が公開されたことに伴うものです。加えて集計期間初日に公開された映画『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』が、現時点で既に音楽コンサート映画史上最高となる興行収入を記録しています。

 

(※ 記事で紹介されたテイラー・スウィフトの施策については、下記エントリーにて紹介しています。)

 

「Cruel Summer」は2019年リリースのアルバム『Lover』に収録された作品ですが、テイラーの最新シングルとして6月以降プロモート。アルバムはコロナ禍前にリリースされ、今年3月に開始したコンサートツアーで初めて『Lover』期の作品にスポットが当たり、この曲が披露されたことで勢いが増した形です。

 

テイラー・スウィフトは今回の「Cruel Summer」が10曲目の首位獲得曲となります。

<米ビルボードソングチャート 首位獲得曲数>

・20曲 ザ・ビートルズ

・19曲 マライア・キャリー

・14曲 リアーナ

・13曲 ドレイク、マイケル・ジャクソン

・12曲 マドンナ、ザ・シュープリームス

・11曲 ホイットニー・ヒューストン

・10曲 ジャネット・ジャクソンテイラー・スウィフトスティーヴィー・ワンダー

テイラー・スウィフトによる米ビルボードソングチャート首位獲得曲>

「We Are Never Ever Getting Back Together」(2012年9月1日付以降 3週)

「Shake It Off」(2014年9月6日付以降 4週)

「Blank Space」(2014年11月29日付以降 7週)

「Bad Blood (feat. ケンドリック・ラマー)」(2015年6月6日付 1週)

「Look What You Made Me Do」(2017年9月16日付以降 3週)

「Cardigan」(2020年8月8日付 1週)

「Willow」(2020年12月26日付 1週)

「All Too Well (Taylor's Version)」(2021年11月27日付 1週)

Anti-Hero」(2022年11月5日付以降 8週)

「Cruel Summer」(2023年10月28日付 1週)

「Cruel Summer」は、収録されたアルバム『Lover』が初登場でアルバムチャートを制した2019年9月7日付で29位に初登場し、翌週の71位を最後に一度ソングチャートから姿を消しますが、今年6月3日付にて49位に再登場。翌月、「Cruel Summer」はテイラー・スウィフトにとって女性歌手で最多となる42曲目のトップ10ヒットに至っています。

また「Cruel Summer」は初登場から首位獲得までの期間が歴代5位となる長期間となりました。うち2曲は共に今年、且つどちらもリパブリック・レコード発の作品となります(ザ・ウィークエンド「Die For You」は今年3月、アリアナ・グランデとのリミックスバージョンをリリースした効果に伴い首位に至っています)。

<米ビルボードソングチャート、100位以内初登場から首位獲得までに長時間を要した作品>

19年11ヶ月2週 マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」(2000-2019)

 ※オリジナル版のリリースは1994年

6年2ヶ月3週 ザ・ウィークエンド & アリアナ・グランデ「Die For You」(2016-2023)

5年8ヶ月2週 シェリフ「When I'm With You」(1983-1989)

4年8ヶ月2週 UB40「Red Red Wine」(1984-1988)

4年1ヶ月3週 テイラー・スウィフト「Cruel Summer」(2019-2023)

 

アルバム『Lover』収録曲では4曲目のトップ10ヒットにして初の首位が誕生しました。このアルバムからはブレンドン・ユーリー(パニック・アット・ザ・ディスコ)を迎えた「Me!」が2019年5月に、「You Need To Calm Down」がその翌月に2位に達し、またタイトル曲「Lover」が9月に10位を記録しています。

タイトルに”Summer”が付いた曲がソングチャートを制したのはパーシー・フェイス・オーケストラ(Percy Faith and His Orchestra)「The Theme From A Summer Place」(1960年2月22日付以降 9週)、ラヴィン・スプーンフル「Summer In The City」(1966年8月13日付以降 3週)に続いて3曲目となり、57年ぶりの記録達成となります。

一方で”Cruel”が付いた曲の首位獲得は初。ただしエルヴィス・プレスリー「Don't Be Cruel」は米ビルボードソングチャート開始前の1956年に複数のチャートで首位に立っています。”Cruel”が付いた曲のトップ10ヒットにはジェームス・ダーレン「Goodbye Cruel World」(1961 3位)、チープ・トリックによるエルヴィス・プレスリーのカバー「Don't Be Cruel」(1988 4位)、バナナラマによる同名異曲「Cruel Summer」(1984 9位)があります。

 

ドレイク『For All The Dogs』収録曲のトップ10入りが7→2曲となったことで、他の作品が大挙上昇。7→3位のシザ「Snooze」はラジオ指標が前週比3%アップの8000万を記録し、同指標3週目の首位を獲得しています。

 

前週2位に初登場したドレイク feat. イート「IDGAF」は4位に後退。ストリーミング指標は前週比36%ダウンの2600万となり、下降するも同指標を制しています。ドレイクによるこの指標の制覇は20曲目となり、最多記録を更新。なお前週はJ. コールを迎えた「First Person Shooter」がこの指標を制しています。

 

バッド・バニー「Monaco」が5位に初登場。ストリーミングは2570万を記録し、バッド・バニーの総合ソングチャートにおけるトップ10ヒットは12曲となりました。これは当週のアルバムチャートにて、この曲を収録した『Nadie Sabe Lo Que Va a Pasar Mañana』が初登場したことに伴うもので、バッド・バニーのアルバムチャート制覇は3作品目となります。

 

モーガン・ウォレン「Thinkin' Bout Me」が25→10位に上昇。『One Thing At A Time』が3月18日付アルバムチャートを制したタイミングで9位に初登場したこのアルバム収録曲は、最新のカントリーエアプレイチャートを制覇。総合チャートにおいてはラジオ指標が前週比7%アップとなる3620万を記録しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (9位) テイラー・スウィフト「Cruel Summer」

2位 (4位) ドージャ・キャット「Paint The Town Red」

3位 (7位) シザ「Snooze」

4位 (2位) ドレイク feat. イート「IDGAF」

5位 (初登場) バッド・バニー「Monaco」

6位 (14位) ザック・ブライアン feat. ケイシー・マスグレイヴス「I Remember Everything」

7位 (13位) ルーク・コムズ「Fast Car」

8位 (1位) ドレイク feat. J. コール「First Person Shooter

9位 (19位) モーガン・ウォレン「Last Night」

10位 (25位) モーガン・ウォレン「Thinkin' Bout Me」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。10月28日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にバッド・バニー「Monaco」が初登場で制しています。

バッド・バニー「Monaco」はGlobal 200においてストリーミング8230万、ダウンロード2,000を記録。バッド・バニーの首位獲得は4曲となり、初登場でのチャート制覇は今年6月の「Where She Goes」以来2曲目。バッド・バニーはその他、ジェイ・コルテスとの「Dákiti」(2020年11-12月 3週)、グルーポ・フロンテラとの「Un x100to」(2023年5月 2週)が首位を記録しています。

Global 200において、バッド・バニーはソロでは最多となる首位獲得歌手に(ドレイクおよびオリヴィア・ロドリゴが3曲で続いています)。なおグループも含めると、BTSの7曲が最多となります。

バッド・バニーはフェイドとの「Perro Negro」が4位、ヤング・ミコとの「Fina」が6位に、それぞれ初登場。ストリーミングは順に5680万、5170万を記録しています。バッド・バニーのトップ10ヒットは19曲となり、テイラー・スウィフトの17曲を抜き単独2位に(最多はドレイクの35曲)。コロンビア出身のフェイド、およびプエルトリコ出身のヤング・ミコはいずれも初となるトップ10ヒットを輩出しています。

 

バッド・バニー「Monaco」はGlobal 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.も制覇。ストリーミング5700万、ダウンロード1,000をそれぞれ記録しています。このチャートでの首位獲得は3曲目となり、初登場での首位達成はグルーポ・フロンテラとの「Un x100to」(2023年5月 3週)に次ぐ2曲目。バッド・バニーはその他、ジェイ・コルテスとの「Dákiti」(2020年11-12月 5週)がこのチャートを制しています。

バッド・バニーのGlobal Excl. U.S.における首位獲得はソロで最多となる3曲となり、グループも含めればBLACKPINKと並び歴代2位タイに。こちらでもBTSが7曲で最多となっています。

またバッド・バニーは他にも、フェイドとの「Perro Negro」が7位、ヤング・ミコとの「Fina」が10位に、それぞれ初登場。バッド・バニーのトップ10ヒットは18曲となり、最多記録を更新しています(2位はテイラー・スウィフトの11曲)。フェイドは2曲目、ヤング・ミコは初のトップ10ヒットを獲得しています。

 

Global 200ではテイラー・スウィフト「Cruel Summer」が14→2位に上昇し、最高位を更新。ストリーミングは前週比22%アップの5240万、ダウンロードは同982%アップの47,000を記録しています。これは先述したライブバージョンおよびリミックスの投入に伴うものです。

 

Global Excl. U.S.ではイニゴ・クインテロ「Si No Estás」が6→4位に上昇。Global 200ではストリーミングが前週比3%アップの5140万を記録し、17→10位に上昇。Global 200ではキャリア初となるトップ10ヒットとなっています。