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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週および当週の上位初進出曲におけるCHART insightから、真のヒット曲に成るかを読む (2023年8月23日公開分)

今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。前週(8月16日公開分)のエントリーはこちら。

最新のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。

 

 

まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポスト(ツイート)にて簡潔に説明しています。

 

<2023年8月16日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて

 20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>

 

関ジャニ∞「オオカミと彗星」 前週4位→100位未満(300位圏内)

・めいちゃん「エンジョイ」 前週6位→9位

・back number「怪獣のサイズ」 前週16位→71位

・崎山蒼志「燈」 前週17位→21位

Official髭男dism「Chessboard」 前週18位→26位

 

関ジャニ∞「オオカミと彗星」については上記エントリーにて、J-POP男性アイドル/ダンスボーカルグループに対象範囲を拡げた上で、フィジカルセールスに長けた曲(歌手)については一つの指標に偏らない施策の立案やポイント獲得こそ重要と記しました。「オオカミと彗星」は100位未満へ大きく後退し、フィジカルセールス指標以外の獲得ポイントもないことから、歌手にとってその点が今後さらに課題に成ると考えます。

 

一方、めいちゃん「エンジョイ」はトップ10をキープ。これは接触指標であるストリーミングが強いゆえですが、しかしながら2週続けて他指標を獲得できていません。これはLINE MUSIC再生キャンペーン(詳細はこちら)に因る再生回数が大半であり、他のサブスクサービスとも再生回数が大きく乖離しています。

めいちゃん「エンジョイ」のLINE MUSIC再生キャンペーンは最新チャートの集計期間最終日までが対象となっています。直近の例としてはNewJeans「ETA」のようにキャンペーン終了後も勢いをキープすることが重要ですが、次週8月30日公開分におけるStreaming Songsチャート速報(上記参照)では「エンジョイ」はトップ10に入っていません。仮に次週総合でも急落すれば、真の社会的ヒット曲と呼ぶのは難しいと考えます。

LINE MUSIC再生キャンペーンについては、めいちゃん「エンジョイ」の急落の可能性を踏まえ、ビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の提案を今一度記しています。

 

 

続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。

<2023年8月23日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 20位までに初めて登場した作品のCHART insight>

 

・3位 (初登場) 亀梨和也「Cross」

・5位 (初登場) カラフルダイヤモンド「あまキュン」

・7位 (初登場) 星野源「生命体」

・11位 (初登場) FANTASTICS from EXILE TRIBE「Tell Me」

・12位 (初登場) BLACK IRIS「That That That」

 

5曲のうちストリーミング指標を獲得したのは星野源「生命体」(7位)およびFANTASTICS from EXILE TRIBE「Tell Me」(11位)。双方共に施策を実施していますが、それでも総合初登場週にこの指標で上位に進出を果たすことが如何に難しいかがよく解ります(「生命体」はストリーミング指標100位、「Tell Me」は100位未満(300位圏内))。一方、「生命体」と「Tell Me」のLINE MUSICに関する施策は大きく異なります。

(※キャンペーンページは終了後に消去する可能性が低くないため、キャプチャして貼付しました(以下同様)。問題があれば削除いたします。)

ストリーミングにおいてはライト層もさることながら、ダウンロード購入したコアファンにもサブスクで聴いていただくこと、その動機付けとなる施策を立案することが重要です。その中で、最近では再生キャンペーンを設定可能なLINE MUSIC等において「生命体」のような施策が目立ち始めており、この動向は注目すべきと考えます。

(ただし知名度が高い歌手、またタイアップが付いた曲であっても、ストリーミングのスタート時が高くないという日本の音楽環境については、全体的な改善が必要と考えます。この点については日本でもっと様々な音楽が聴かれるためには? サブスクで新曲はどうやって気付かれるかを考える(2月19日付)等で考えを巡らせています。そのスタートダッシュにおいては今もLINE MUSIC再生キャンペーンが有効かもしれません。)

 

 

今回20位以内に初登場した5曲において、現状では星野源「生命体」以外の作品は急落が免れないものと思われます。明日のブログエントリーでは、男性アイドル/ダンスボーカルグループのソングチャート初登場動向についてまとめる予定です。