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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週および当週の上位初進出曲におけるCHART insightから、真のヒット曲に成るかを読む (2023年12月13日公開分)

今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。前週のエントリーはこちら。

最新のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。

 

 

まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポストにて簡潔に説明しています。

 

<2023年12月6日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて

 20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>

 

=LOVE「ラストノートしか知らない」 3位→100位未満(300位圏内)

・KID PHENOMENON「存在証明」 4位→100位未満(300位圏内)

桑田佳祐松任谷由実「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」 15位→76位

・n.SSign「NEW STAR」 17位→100位未満(300位圏内)

 

桑田佳祐松任谷由実「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」以外は100位未満(300位圏内)に急落していますが、「Kissin' Christmas…」も含めて前週および最新週の双方でストリーミング指標は未加算となっています。加えて、「Kissin' Christmas…」にて前週加算されていた動画再生指標においても、当週は4曲いずれも獲得しておらず、ロングヒットに欠かせない接触指標群の強くなさが影響した形です。

「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」を除く3曲は前週フィジカルセールス初加算に伴い上位に進出していました。仮にフィジカルに同梱された映像盤にミュージックビデオが収録されていた場合はそちらでチェックするという傾向が、アイドルやダンスボーカルグループのコアファンの方に少なくないかもしれません。その場合は尚の事、ライト層の視聴がロングヒットに重要な役割を果たすことがみえてきます。

 

 

続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。

<2023年12月13日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 20位までに初めて登場した作品のCHART insight>

 

・1位 (再登場) 乃木坂46「Monopoly」

・ 9位 (前週69位) 舐達麻「FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD」

・15位 (初登場) 福山雅治「想望」

・16位 (初登場) SKY-HI × Nissy「SUPER IDOL」

・18位 (前週32位) Charm Holic「TOXIC」

・19位 (前週62位) NALALA「&ME」

 

一昨日のエントリー(→こちら)でも述べましたが、乃木坂46は「Monopoly」で1年8ヶ月ぶりに総合首位を獲得。一方、フィジカルセールス初加算週における10,390ポイントは、前作「おひとりさま天国」における10,633ポイント(8月30日付)に及びませんでした。

「おひとりさま天国」と「Monopoly」とでフィジカルセールス初加算時のCHART insightを比較すると、「Monopoly」ではストリーミングおよび動画再生といった接触指標群が強くないことが解ります。ともすれば次週、総合トップ10からの脱落も考えられるでしょう。

 

さて注目は、『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』関連曲の高さです。

『PRODUCE 101』シリーズの日本版でこれまでJO1およびINIを輩出したオーディションの、初の女性版は本日がファイナル。その参加者(練習生)35名による『35 GIRLS 5 CONCEPTS』収録の5曲がいずれも浮上。Charm Holic「TOXIC」は32→18位、NALALA「&ME」は62→19位、トキメッキー「AtoZ」は86→27位に上昇したほか、new F7avors「Popcorn」は53位、CLAW-me「小悪魔 (Baddie)」は56位に初登場を果たしています。

動画再生指標の高さはアイドル/ダンスボーカルグループ全体における特徴ともいえますが、ストリーミング指標も上昇しているのは興味深い傾向です(new F7avors「Popcorn」は総合とストリーミング指標の順位が比例しており、CHART insightのグラフでは見えにくくなっています)。本日のファイナルを経てさらに伸びる可能性もあるでしょう。

 

この5曲のCHART insightから思い出したのがNiziU。オーディション(Nizi Project)出身のNiziUはプレデビューミニアルバム『Make you happy』の表題曲が大ヒットしたほか、他3曲もストリーミング主体にスマッシュヒットしています。デビューメンバー決定後のNiziUと決定前のPRODUCE 101 JAPAN THE GIRLSとで単純比較はできないものの、接触指標の上位進出は共通点といえるかもしれません。

(NiziU「Make you happy」「虹の向こうへ」のCHART insightは総合300位以内初登場以降60週分を表示。)

NiziU『Make you happy』については表題曲とその曲以外とで動画再生指標の推移は異なりますが、表題曲「Make you happy」は2020年度のビルボードジャパン年間ソングチャートで12位にランクインを果たしています。

 

アイドルやダンスボーカルグループは性別に限らず所有指標が強い傾向にあるのですが、その中にあってNiziUはプレデビュー時に接触指標群が強い状況でした。この接触指標群の強さがロングヒットを招き、歌手の勢い自体も増幅させることは今月発表された2023年度年間チャートをみても明らかです(下記に分析したエントリーを掲載。長文につきお時間がある時にお読みください)。

今回のPRODUCE 101 JAPAN THE GIRLSについては未見につき、接触指標群強化の呼びかけがあったか等については分かりかねます。また、今後数週間の動向を見ない限りはロングヒットに成るかを判断することは難しいものの、本日デビューメンバーが決まるグループについてはチャート上でも興味深い動きを示す可能性は十分考えられ、また番組ファンならずともライト層にも幾分浸透しているといえるかもしれません。