最新8月23日公開分ビルボードジャパンソングチャートはYOASOBI「アイドル」が19連覇を達成していますが、次週はともすれば首位の座が変わるかもしれません。
【先ヨミ速報】乃木坂46『おひとりさま天国』4作連続フラゲ日ハーフミリオン突破 https://t.co/MQCtiWColZ
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年8月23日
上記は一昨日のものですが、乃木坂46「おひとりさま天国」がフィジカルセールスでハーフミリオンを突破。いわゆるフラゲ日の売上は前作「人は夢を二度見る」とほぼ同数で推移しています。一方その前作は、フィジカルセールス指標が初加算された4月5日公開分にて首位を逃しています。
乃木坂46「人は夢を二度見る」が首位を逃したのは、フィジカルセールスでは同曲の半分に満たなかったTREASURE「Here I Stand」がLINE MUSIC再生キャンペーンを実施したこと、つまりストリーミング指標の差が要因です(上記エントリー参照)。フィジカルセールス初加算時の「人は夢を二度見る」におけるストリーミング指標は100位に届かず、78位の動画再生指標共々接触指標群の強くなさが課題として浮かび上がりました。
YOASOBI「アイドル」はポイントが週を追う毎に1割前後減少しながら、HIKAKINさんによる動画効果で次週はポイント減少幅が小さくなるのではと感じています(上記エントリー参照)。ただその動画効果も小さい可能性があるため、乃木坂46が自力で首位を獲得できるかが注目ポイントといえるでしょう。
乃木坂46「人は夢を二度見る」はフィジカルセールス初加算時に9,915ポイントを記録しており(4月5日公開分)、今作はデジタル如何では総合首位に立つ可能性も考えられます。実際「おひとりさま天国」においては動画再生およびストリーミングが前作より好調に推移しており、デジタルにフィジカルセールスが加点されるタイミングで1万ポイントを超える可能性は十分です。
さて今回は下記エントリーに倣い、J-POPの女性アイドル/ダンスボーカルグループでフィジカルセールスが週間10万枚を突破した歌手のトップアーティストチャートをチェックします。
トップアーティストチャートはソングチャートおよびアルバムチャートを合算したもの。前者はフィジカルセールス(CD、レコードおよびカセットテープ)、ダウンロード、ストリーミング、ラジオ、動画再生およびカラオケから成り、後者はフィジカルセールスおよびダウンロードで構成されます。また昨年度までで廃止となったルックアップおよびTwitter指標は、前者が双方に、後者がソングチャートに加算されていました。
今回は以下にトップアーティストチャートのCHART insightを掲載。2021年度初週(2020年12月2日公開分)以降、最新2023年8月23日公開分までのCHART insightを表示しています。
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
リンク先:https://t.co/NVZ8bHjac1
<色について>
黒:総合順位
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
オレンジ:ルックアップ(2022年度で終了)
水色:Twitter(2022年度で終了)
赤:動画再生
緑:カラオケ
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】(続き)
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
<色について>
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能)
<チャート構成比>
最新週、もしくは300位以内最終在籍時における指標毎のポイント構成
<J-POP女性アイドル/ダンスボーカルグループの
トップアーティストチャートにおける動向>
・櫻坂46
・日向坂46
・HKT48 (2021年5月12日付公開分以降、2023年7月26日公開分まで)
・STU48 (2023年7月26日公開分まで)
・=LOVE (2023年7月5日公開分まで)
・≠ME
・モーニング娘。'22 (2022年3月23日付公開分以降、2023年3月22日公開分まで)
・OCHA NORMA (2021年12月29日公開分以降)
・BiSH
・NiziU
・22/7 (2023年8月2日公開分まで)
ハロー!プロジェクト所属歌手を除けばストリーミング指標の基となるサブスクを解禁していますが、女性アイドル/ダンスボーカルグループのトップアーティストチャートにおける総合順位は全体的にフィジカルセールスの影響度合いが大きく、他方ストリーミングや動画再生といったロングヒットに欠かせない接触指標群が強くないことが解ります。
最も特徴的なのはAKB48や関連グループにおけるフィジカルセールス指標、そして総合順位の乱高下。たとえばソングチャートにおいて、AKB48の最新シングル「どうしても君が好きだ」は現時点で五度もの100位以内返り咲きを果たしています。ただ、フィジカルセールス指標が安定すれば、また他指標が加算されれば乱高下が解消されヒットが持続するものと考えるに、この状況は偏りが目立つと言っていいでしょう。
さすがにAKB48の動向は極端ですが、しかしJ-POP女性アイドル/ダンスボーカルグループのトップアーティストチャート推移はソングチャートのフィジカルセールスに負う部分が大きいと捉えていいでしょう。ゆえにその部分をどう解消するか、できればロングヒット傾向の接触指標にフィジカルセールス的急落を与えかねないLINE MUSIC再生キャンペーンを用いない形で解決できるかを考え、実行すべきというのが自分の見方です。
今週公開されたインタビュー記事にて、興味深い記述がみられます。ビルボードジャパン側は『ビルボードにチャートインする楽曲の男女比を比べると、常に男性が多いという状況』『100位以下には女性アーティストも数多くチャートインしているのですが、20位圏内となると男性が多いのが現状』と述べています(『』内は下記ポスト内リンク先より)。
<インタビュー>Billboard International Power Players vol.5 藤倉尚 ユニバーサルミュージック合同会社 社長兼CEO https://t.co/eFfTPVjL9K
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年8月23日
女性アイドル/ダンスボーカルグループがフィジカルセールスの力で一時的に上位に進出しても接触指標が強くないために上位にとどまり続けることができないことが、指摘された現状を生む一因と考えていいのではないでしょうか。商法の採用は自由でも、短期的な施策ならばキャリア"アップ"にはつながりにくいということは、例えばNewJeansのトップアーティストチャートと比較(こちら等参照)すれば解るはずです。