イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

今後のビルボードジャパンソングチャートで上位進出や再浮上、ロングヒットが予想される曲を紹介する

ビルボードジャパンの最新動向を踏まえ、今後のヒット曲候補を取り上げます。

 

・百足 & 韻マン「君のまま」

2月19日日曜にリリースされ、次回3月1日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:2月20~26日)で初の1週間フル加算となる「君のまま」。その集計前半3日間の速報値において、ストリーミング指標5位に登場しています。

LINE MUSICではデイリーチャートで首位を獲得し、Apple Musicのリアルタイムチャートでは2月26日午前5時の段階でOfficial髭男dism「Subtitle」に次ぐ2位に。Spotifyは51位となっていますが、50位以内に入ればSpotifyの特性に伴い急上昇は確実となります。

注目は「君のまま」のリリースまでのスケジュール。ミュージックビデオや歌詞、さらにはSoundcloudでの先行公開がリリースの待望度を高めたと言えるでしょう。この点については先日ブログエントリーにまとめています。

 

・MAISONdes feat. 花譜、ツミキ「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」

テレビアニメ『うる星やつら』(フジテレビ)第1期・第1クールエンディングテーマ曲で、同じくオープニングを飾る「アイウエ (feat. 美波,、SAKURAmoti)」とダブルAサイドシングルとしてフィジカルリリース。ただしフィジカルセールス指標は「アイウエ」に加算されるため、「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」はフィジカルセールスを除く5指標が加算対象となります。

「アイウエ」も「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」もダウンロード指標(CHART insightでは紫で表示)が当初牽引していますが、後者ではダウンロードが下がってきたタイミングで動画再生(赤)が伸び始め、その後ストリーミング(青)、カラオケ(緑)が反応。それに合わせてダウンロードも再浮上している状況です。

「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」はビルボードジャパンソングチャートの中からアニメ関連曲だけを抽出したJAPAN HOT Animationチャートでも上昇。最新2月22日公開分では『依然「歌ってみた」動画で人気が高い楽曲』と紹介されています。実際TikTok Weekly Top 20では2022年12月以降、また歌ってみたに代表されるユーザー生成コンテンツ(UGC)を対象としたTop User Generated Songsチャートでは今年1月以降いずれもトップ20内にランクインしており、それが各指標に反映された形です。

最新2月22日公開分ビルボードジャパンソングチャートでは最高位の21位をマークし、ポイント前週比は104.8%と高水準に。「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」が総合20位以内に入ることでいわば”見つかる”可能性は高いのです。

 

・NewJeans「OMG」

全世界的にヒット中のNewJeans。日本では「Ditto」が通算3週に渡ってトップ10入りした一方、フィジカルセールスが加算される「OMG」は同指標初加算週に7位を記録して以降、トップ10内から離れています。

しかしながら「OMG」はストリーミング指標が上昇しており、2月22日公開分ビルボードジャパンソングチャートでは同指標で初めてトップ10入り。次週3月1日公開分における同指標の速報値では9位に入っています(速報値については百足 & 韻マン「君のまま」紹介時に貼付したツイート内リンク先を参照)。NewJeansは「Ditto」と「OMG」がビルボードジャパンソングチャートにて同時トップ10入りする可能性があるでしょう。

たとえば米ビルボードによる最新2月25日付Global 200において、「Ditto」は19位に対し「OMG」は14位に、またGlobal 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.では10位未満が有料会員向けにのみ公開されているため紹介できませんが、「OMG」は9位に入っています(下記ブログエントリー参照)。日本にもこの流れが伝わってくれば、「OMG」への注目度は高まるのではないでしょうか。

 

・King & Prince「Life goes on」

 

次週3月1日公開分にてフィジカルセールス指標が初加算されるKing & Prince「Life goes on」。この指標において、フィジカルがミリオンセールスを達成したことがアナウンスされました。発売週のミリオン達成は、乃木坂46「しあわせの保護色」(2020年4月1日公開分 1,049,667枚)以来およそ3年ぶりの記録となります。

加えてKing & Princeは動画再生指標も強く、「Life goes on」は2→2→4位と推移。フィジカルセールス初加算週となる最新3月1日公開分での上昇も見込まれます。King & Princeは2月15日公開分のビルボードジャパンソングチャートにて動画再生指標5位までに4曲を送り込んでおり、今最も注目されている歌手の一組と言えるでしょう。

「ツキヨミ」のCHART insightを上記に。動画再生指標で高水準を続けることで、総合ソングチャート(黒で表示)が60位以内にキープし続けている状況です。仮にサブスクが解禁されていれば、ロングヒットの要となるストリーミング指標を獲得し2023年度の年間ソングチャートで上位進出が可能だったと考えますが、「ツキヨミ」のチャートアクションそのまま「Life goes on」にも引き継がれていくのではと考えます。

注目はフィジカルのダブルAサイドシングルとなる「We are young」の次週の動向。ビルボードジャパンソングチャートのチャートポリシー(集計方法)ではダブルやトリプル等、フィジカルに複数のAサイド曲がある場合はフィジカルセールス指標が1曲のみに加算されます。ゆえにKing & Princeの次のシングルでは「Life goes on」にフィジカルセールス指標が加算され、「We are young」が加算されないものと考えます。

他方、今回のブログエントリーで紹介したMAISONdes feat. 花譜、ツミキ「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」はフィジカルセールス指標未加算ながらトップ20目前に迫っています。またNewJeans「Ditto」は「OMG」のカップリング曲としてフィジカルリリースされ、同じくフィジカルセールス指標未加算ながら通算3週トップ10入りを果たしました。いずれもストリーミング指標のポイント構成が大きいことが特徴です。

仮にKing & Princeがサブスクを解禁していたならば、週間ポイントが今年度最高に達した可能性が十分考えられます。ライト層からも注目を集めていると考えれば、そのライト層支持が反映されやすいストリーミング指標を充実させることで年間ソングチャート上位進出も可能となるはずです。

 

 

今回は音楽チャートの直近の状況から、今後のヒット曲を予想し紹介しました。今回の記載に至ったきっかけは、昨年終盤のこのような状況があったためです。

昨年10月にビルボードジャパンソングチャートで最高4位を記録したなとり「Overdose」、また同年11月に最高35位を記録したヤングスキニー「本当はね、」はいずれもストリーミング指標が牽引しており、若年層への浸透がみてとれます。しかしヤングスキニーは深夜の音楽番組に登場してはいるものの、ゴールデン帯音楽番組出演の形跡はみられません。

ともすれば歌手側が出演を打診されながら断った可能性もありますが、地上波テレビ局の編成が特番主体となったことで音楽番組が毎週OAされず、流行を追えなくなった(もしくは追わなくなった)側面も否定できないでしょう。2022年における放送回数は『CDTVライブ!ライブ!』が25回(年越し特番を含む)、『ミュージックステーション』が26回となり、共に2週に1回のペースでしか放送されていないのです。

特番主体編成を採る理由は全体的な視聴率の低下、特に音楽番組の高くなさが背景にあると考えますが、そこで考慮される数字はリアルタイム視聴率というひとつの尺度でしかありません。視聴率に関しては高い数字を獲得できなかった『NHK紅白歌合戦』が、言葉は悪いですが槍玉に挙げられている印象は拭えません。しかしそこからは、叩く側の考え方が旧態依然ではないかという疑問が浮かんできます。

(中略)

テレビ局側、そして受け手の双方がテレビ番組の評価基準について、録画視聴率や総合視聴率、見逃し配信数等を含む複合的な見方を持つことが必要です。その考え方が浸透すれば番組編成が正常化し、認知浸透はこれからでもブレイクが期待できる歌手の積極的な紹介や、その年ヒットを輩出した歌手の重用にもつながるのではないでしょうか。

メディアの対応が変わることを願います。また音楽関係者は、日本の音楽チャートに新陳代謝をもたらす必要があると考えるならば尚の事、今後ブレイクが見込める作品や歌手を率先して紹介する役割を果たしてほしいと願います。