昨日は時折お手伝いさせていただいているラジオ番組にて、藤井隆さんの音楽特集を組む機会をいただきました。お聴きくださった皆さん、この場所を用意してくださった方々に感謝申し上げます。
今回はニューアルバム『Music Restaurant Royal Host』リリースのタイミングで、藤井隆さんの特集を組む機会をいただきました。この特集に際し、プロインタビュアーの吉田豪さんによるインタビューが大変参考になりましたので、是非多くの方に読んでいただきたく思います。
//#藤井隆 が
— SLENDERIE RECORD(スレンダリーレコード)【公式】 (@slenderierecord) September 24, 2022
9/21(水)にリリースしたアルバム「Music Restaurant Royal Host」について #吉田豪 さんに
インタビューして頂きました🐣
\\#音楽ナタリー https://t.co/VL9oZft9EN https://t.co/PK9Gtbnc28
上記ツイートは、藤井隆さんが主宰するSLENDERIE RECORDのTwitterアカウント発。ここからは藤井さんの3作目『Coffee Bar Cowboy』以降のアルバムのほか、椿鬼奴さんや早見優さん等の作品もリリースされています。2020年秋にはメンバーを一堂に会した『SLENDERIE ideal』も発表しており、そこからの作品も今回お届けしました。なお作品一覧は『Music Restaurant Royal Host』初回限定盤にも掲載されています。
・9月25日放送『わがままWAVE It's Cool!!』
(FMアップルウェーブ 日曜17時)
音楽特集【藤井隆】
<お送りした曲目>
(コンピレーションアルバム『SLENDERIE ideal』(2020)より)
02. 後藤輝基「Cat-Walk Dancing」
(アルバム『マカロワ』(2022)より)
~ここから特集~
特集前半OP. 藤井隆「YOU OWE ME」
(アルバム『Coffee Bar Cowboy』(2015)より)
03. 藤井隆「ナンダカンダ」
(シングル(2000)、アルバム『ロミオ道行』(2002)より)
(アルバム『オール バイ マイセルフ』(2004)より)
05. 藤井隆「守ってみたい」
(アルバム『light showers』(2017)より)
特集後半OP. 藤井隆「ヘッドフォン・ガール - 翼が無くても -」
(アルバム『Music Restaurant Royal Host』(2022)より。以下同様。)
06. KAKKO (Anju Suzuki) & TAKASHI (Takashi Fujii)「We Should be Dancing」
07. 藤井隆「ムーンライトアドバンス」
08. 藤井隆「アイリーン」
~ここまで特集~
藤井隆さんにおいては何より作品へのこだわり、デジタル/フィジカル双方で楽しんでいただくホスピタリティの高さが本当に素晴らしいのです。それこそロイヤルホストの理念と一致するということについては、今作『Music Restaurant Royal Host』におけるティザー(ティーザー)からもはっきり伝わってきます。
🐦🐤🐔
— SLENDERIE RECORD(スレンダリーレコード)【公式】 (@slenderierecord) September 20, 2022
いよいよ本日(9/21)!!#藤井隆 のフルアルバム
「Music Restaurant Royal Host」
をリリース!
🐦🐤🐔
配信リンク、
ティザーをSLENDERIE RECORD公式YouTubeにて公開しております🐥
【配信リンク】https://t.co/ZyXup89yX8
【ティザー】https://t.co/BbBFGFvLQK
藤井隆さんのアルバムティザーについては、前作『light showers』の収録曲すべてがタイアップに起用された90年代架空CM集が話題に。最後の一瞬まで見逃せないのみならず、CMタイアップ満載であることを示すシールをCDに貼付しているという工夫もまた見事でした(後述のCD一覧参照)。
そしてパッケージを手に取っていただく工夫の素晴らしさ。
今作『Music Restaurant Royal Host』ではロイヤルホストのメニュー表というパッケージが初回限定盤として用意され、パッケージを手に取ってもらいたいという思いが伝わります。そして歌詞カードはもはやメニュー表。ロイヤルホストのない青森県に住んでいる自分は、間違いなく上京のタイミングで足を運ぶことになるでしょう。それだけ魅力的なメニューが沢山であり、それはカラフルな収録曲においてもまた同様です。
藤井隆さんといえば「ナンダカンダ」のイメージが強いという方はいらっしゃるかもしれません。実はこの曲を収録したファーストアルバム『ロミオ道行』(2002)では「ナンダカンダ」はセカンドシングル「アイモカワラズ」同様、ボーナストラックという位置付けでした。というのも『ロミオ道行』はボーナストラックを除く10曲すべて、松本隆さんの作詞(作詩)による作品で統一されたのです。
この段階からすでに、藤井隆さんの音楽へのこだわりが解るはずです。その後セカンドアルバム『オールバイマイセルフ』(2004)をリリース(リクエストいただいた「タメイキ」は同作に収録。前週ラジオ番組でTM NETWORKを特集した縁もあり、小室哲哉さんが提供した曲にリクエストをいただきました)。しかし2007年夏以降は音源のリリースが途絶えます。
その藤井さんをフックアップしたのが業界内の藤井隆さんファンの方々、そしてラジオでした。音楽ナタリーのインタビューでもその名が登場するRHYMESTER宇多丸さんは、藤井さんを”国産シティポップス最良の遺伝子を受け継ぐ男”と称しており、多くのレコメンドが音楽活動再開へ背中を押しています。
(上記はショートバージョン。)
およそ11年ぶりのサードアルバム『Coffee Bar Cowboy』(2015)は、ラジオを機に生まれた人脈も活きた作品となり、宇多丸さんとは「Quiet Dance」でセッション。その中で冒頭に配した「YOU OWE ME」は8分近い作品ながら、熱の高め方と一方では熱くなりすぎないサウンドのバランスとが絶妙で、8分があっという間に過ぎるのです。こちらについては是非ともオリジナルバージョンを聴いてほしいと思っています。
その後、1990年代CMソングをコンパイルした感の高い『light showers』(2017)を経て、今回5年ぶりとなるオリジナルアルバム『Music Restaurant Royal Host』をリリース。これまで以上にバラエティに富んだ作品群をハンバーグやパンケーキ等多彩なメニューを提供し50年の歴史を紡いできたロイヤルホストになぞらえたという発想も素晴らしく、そして一曲一曲が本当に素敵なのです。
アルバム『Music Restaurant Royal Host』からラジオでOAしたのは、個人的に特に気に入っている作品群。とりわけ、鈴木杏樹さんの”KAKKO"時代の名曲をフックアップし、本人を迎えてカバーしたことは、アルバムを多くの方に伝える意味でも重要な作品と言えるでしょう。
ストック・エイトキン・ウォーターマンによるオリジナルバージョンを今回手掛けたのはNight Tempoさん。PWLの雰囲気を持ち合わせつつ今っぽさも併せ持ったバランスの良さは、溝口和彦さんがアレンジを担当した安部恭弘「アイリーン」のカバーからも感じられます(オリジナルバージョンはアルバム『SLIT』(1984)に収録)。
藤井隆さんの才能については、カバー曲の絶妙な選び方についても語らねばなりません。今回は冒頭に藤井さんがプロデュースしたカバー曲を紹介したのですが、オリジナルの良さもカバーした歌手の魅力も増幅させていると思うのです。今回ラジオで紹介した以外にも、様々な良曲が誕生しています。
KAKKO & TAKASHI「We Should be Dancing」に話を戻すと、藤井隆さんのデビュー曲「ナンダカンダ」はジェイソン・ドノヴァン「Too Many Broken Hearts」(1989)を想起させるゆえ、藤井さんは「ナンダカンダ」の世界観をどこかのタイミングでまた作り上げたかったのではないかと感じています。ジェイソンもKAKKOさんも同じストック・エイトキン・ウォーターマンによるプロデュースゆえ、尚の事そう思うのです。
(このタイミングで、吉田豪さんが鈴木杏樹さんへインタビューされること、そしてKAKKO名義でのオリジナルバージョンが再発されることを心から願います。)
アルバム『Music Restaurant Royal Host』では、音葉名義で鈴木京香さんが作詞に参加し若手の東郷清丸さんと組んだ「おやすみ 東京」や、砂原良徳さんやMoe Shopさん等様々な音楽家が参加し、多彩な音楽が生まれています。とりわけ興味深いのが、水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミさん(水曜日のカンパネラ)による「ムーンライトアドバイス」。上モノの津軽三味線を含め、ケンモチさんらしい世界観に溢れています。
水曜日のカンパネラは今年、「エジソン」がTikTok発のバイラルヒットとなりビルボードジャパンソングスチャートでもトップ10目前まで上昇。クールなサウンドと歌詞とのいい意味でのアンバランスさは「エジソン」を彷彿とさせ、ともすれば「ムーンライトアドバイス」もTikTokでバズが起きる気がします。大サビの歌詞や、津軽三味線奏者"morioka"の名前の由来を知ると、俄然興味が湧いてくるはずです。
今作『Music Restaurant Royal Host』で多彩な音楽家を起用したこと等について、藤井隆さんは音楽ナタリーのインタビューにて『ほかの人の提案に自分で似合わせていくことがしたかった』と述べていたのが印象的で、何よりこの言葉のチョイスが素敵です。また"似合わせる"こともセンスや才能が問われると思うのですが、藤井さんはさらりと自然に、それでいていい意味で突拍子もないアイデアの追加もまた見事なのです。
今作『Music Restaurant Royal Host』を、是非ともフィジカル/デジタルの両面で楽しんでいただきたいと思います。また今回のラジオ音楽特集や放送後記的ブログエントリーが藤井隆さんの音楽活動を深掘りするきっかけになるならば嬉しいです。
ちなみに今回の音楽特集をアナウンスしてから数日後、地元青森県の県域放送局で同じく藤井隆さん特集を組まれた方が。そこで弾き語りされた麒麟・川島明さんの「where are you」カバーもまた素敵でした。披露したのは地元在住のd-iZeさん。その喋りのセンスは自分の周辺でも話題になっていましたが奏でる音も素晴らしく、いつか一度お会いしてみたいと感じた次第です。
#radimott ではd-iZeさんが生演奏。そのバージョンも素敵でした。 https://t.co/YrF4v0hKkM
— Kei (@Kei_radio) September 23, 2022
久しくラジオを聴きながらのTwitter実況参加はしていなかったのですが、その楽しさも思い出させてくださったことに感謝申し上げます。
今回お送りした曲を含むプレイリストはSpotifyにアップしました。藤井隆さんは地元青森で開催された音楽フェス『夏の魔物』を観に行ったのが唯一のライブ参加ゆえ(そこでサインをいただいたのもいい思い出です)、いつかまた観に行きたいと思っています。