2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2022年11月分です。前の月にリリースされた曲を中心に選出しています。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。
過去の私的トップ10ソングス等についてはこちらに。Spotifyを利用し、New Music Wednesday、New Music Friday Japan、New Music FridayおよびMonday Spinといったプレイリストを毎週チェックしています。
なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソングス(選出企画)となります。個人的な作品への思い入れについて、音楽チャート紹介時には乗せないよう心掛けています。
10位 ウィズキッド feat. アイラ・スター「2 Sugar」
米ビルボードで専門チャートも新設される等、近年注目を集めるアフロビート。その火付け役のひとつがドレイク「One Dance」(2016)であり、そこでイギリス出身のカイラと共に招かれたのがナイジェリア出身のウィズキッドでした。今回も軽快さもありつつ地に足の付いたビート、そしてビートを活かしたサビのリフレインの中毒性が堪らない作品となっています。
9位 STAYC「POPPY」
2020年にデビューしたK-POPガールズグループによる日本初シングル曲。韓国でヒットした曲の日本語バージョンをフィジカルシングルの表題曲に用意する傾向が強まっている中、オリジナル曲で用意しています。サビ前半の”Poppy”連呼のキャッチーさ、J-POPらしさ(もっと言えば歌謡曲感)をいい意味で排した曲の展開に好感を抱いています。
8位 ホーン・ハウス「Plane Pain」
(上記はオーディオ。)
Spotifyの月間リスナーは3万に満たないながら(12月2日の時点で26,074ユーザー)、1970年代後半以降を思わせるホーンセクションや1980年代のAOR感が音楽好きを唸らせること間違いない作品。Aメロのいい意味で癖のあるメロディもまた面白いですね。
7位 サム・スミス「Night Before Christmas」
(上記はリリックビデオ。)
キム・ペトラスとの「Unholy」で世界の音楽チャートを席巻したサム・スミス。来るべき新曲もアグレッシブな彼の姿がみられそうですが、一方で自身が共同ソングライトを手掛けたクリスマスソングは彼の声が持つ温もりを存分に活かした、普遍的な作品に。攻めと安定感、双方をきちんと描けるのは強みと言えます。
藤井隆さんがこの秋リリースしたアルバム『Music Restaurant Royal Host』に参加し、ライブツアーにも帯同したパソコン音楽クラブが、その藤井さんを従えた純度100%ポップス。ミュージックビデオのアイデアも楽しいですね。藤井隆さんが参加した曲は、攻めのアレンジを施した曲でも普遍的なポップスに感じられるのが不思議です。
一聴してジュディマリ(JUDY AND MARY)っぽい瑞々しさに懐かしさを覚えつつ、歌詞を読んでいい意味で笑ってしまいました。老眼をこんなに親しみやすい曲に仕上げたのはおそらくYUKIさんが初めてではないでしょうか。
4位 米津玄師「恥ずかしくってしょうがねえ」
フィジカルシングル「KICK BACK」のカップリングとして用意した曲の凄まじい歌詞たるや。アコースティックギターの乾いた音色や米津玄師さんのヒリヒリした歌声が、その刃をより尖らせています。ともすれば『チェンソーマン』に向けて書かれたと思しき曲は、現代社会に対しても十分形容可能と言えるでしょう。
3位 SADFRANK「Quai」
NOT WONKの加藤修平さんによるソロプロジェクト、その第一弾作品。ヒリヒリするストリングスや歌詞、アコースティックなサウンド、そして加藤さんの声がよく絡み合います。ストリングスを用いることで幾度となく生まれるピーク(悲しみの絶頂)も相俟って、7分近い曲ながらあっという間に過ぎていく感じがします。
2位 松浦亜弥「Addicted」
(上記はリリックビデオ。)
久々の復帰作は夫の橘慶太さん(w-inds.)が手掛け、好事家の間で話題となった「We Don't Need To Talk Anymore」(2017)をモチーフにした作品(この曲の魅力については以前紹介しています→こちら)。音楽活動を長らく離れていたとは思えないほどの安定感があり、許されない恋に葛藤する主人公を瑞々しさと憂いを併せ持った声で見事に表現しています。
1位 Q「Today」
9月の私的ベストソングスで「Stereo Driver」を7位に選出した、Qによる新曲を11月の首位に。漂う1980年代感は変わらず(いや、バリー・ホワイト的語りが入るため1970年代感もあります)。ファルセットと地声との声量の差は気になるものの、ドラマティックな曲展開はその弱点を補って余りあるほどに美しいのです。
以下、次点として10曲。
・Crystal Kay feat. VivaOla「No Pressure」
・DinoJr.「Bingo」
・Bialystocks「はだかのゆめ」
・ROTH BART BARON「HOWL」
・ベニー・シングス「The World」
・ガブリエル・アプリン「Don't Say」
・マット・コービー「Problems」
・ソー (SAULT)「Fight For Love」
・ザ・ウォー・アンド・トリーティ「Blank Page」
・ヤング・ガン・シルヴァー・フォックス「Simple Imagination」
オランダのポップマエストロ、ベニー・シングスによる「The World」の親しみやすさは、その曲展開やメロディ等がTOTO「Georgy Porgy」を彷彿とさせるからだと感じています。ちょっと似すぎかもしれませんが魅力には抗えず、選出した次第です。
またトップ20には最終的に選ばなかったものの、生田恵子「ちゃっきりマンボ (DJ 吉沢dynamite.jp Retouch)」も秀逸でした。
和物の名曲を紹介してきた吉沢dynamite.jpさんが、生田恵子さんによる「ちゃっきり節」とマンボを融合した1950年代リリースと思しき「ちゃっきりマンボ」を発掘。吉沢さんは『原曲の良さを損なわず新たにアコースティック・ベースやパーカッションを補強し現代の音圧で再生するリタッチ』を施しており(『』内はRecord CD Online Shop JET SET / レコード・CD通販ショップ ジェットセットより)、クラブ仕様となったことで格好良さが増しています。コミカルだけど格好いいというのは最強ではないでしょうか。
Spotifyのプレイリストはこちらに。
今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。