最新9月3日付米ビルボードソングスチャートではハリー・スタイルズ「As It Was」が史上初となる四度目の返り咲きを果たし、通算11週目の首位を獲得しています。
ハリー・スタイルズ「As It Was」は米ビルボードによるグローバルチャートでもGlobal 200、Global Excl. U.S.共に13週ものトップを獲得しており、世界において「As It Was」が今年を代表する1曲になったことは間違いありません。
そうなると、面白い現象が登場します。サブスクサービスのSpotifyで"As It Was"を検索すると、30を超えるカバー曲が出てくるのです。今回はその中でも興味深いと感じた作品を、タワーレコードのフリーペーパー『bounce』にて展開されたピープルツリーを模した"ソングツリー"と銘打って紹介しましょう。
(上記動画はサーシャ・アレックス・スローン公式のものではないため、今後掲載を削除する可能性があります。)
5月にアルバム『I Blame The World』をリリースしたサーシャ・アレックス・スローンが、Spotify限定("Spotify Singles")として「As It Was」のカバーをリリース。アコースティックを基調にしたこのバージョンは、最初Aメロを聴いた時に「As It Was」とは気付かないくらい別物と感じた次第です。
イギリスのバンド、PREP(プレップ)によるカバーは曲が進むにつれて(特に2番サビ以降)シティポップの度合いが高まるのが面白く、特に2番サビ後のサックス挿入には、一聴した時思わず笑ってしまいました。それがあまりにも似合うゆえ、「As It Was」が如何に80年代フレイバーを持ち合わせているかを強く感じます。なおタワーレコードではPREPが"シティ・ポップ・バンド"として紹介されています。
共にイギリス出身のコナー・メイナードとHRVY(ハーヴィー)による作品は、ハリー・スタイルズ「As It Was」のインストゥルメンタルを用いて別曲を歌い続けていく(最後には回帰する)というもので、あたかも"「As It Was」に引っ張られたら負け"というゲームを楽しんでいるかのよう。リアーナからコールドプレイ、ビヨンセにオリヴィア・ロドリゴまでも織り込んでいますが、この曲に長尺を割いたのには納得です。
a-ha(アーハ)「Take On Me」は1980年代を代表するシンセポップ。「As It Was」からこの曲を想起した方も多いかもしれません。「Take On Me」のYouTubeにおける再生回数は現時点で15億回を突破しています。
他にも様々ななハリー・スタイルズ「As It Was」のカバーが生まれていますが、カバーした歌手"らしさ"が垣間見えるので是非チェックしてみてください。そして「As It Was」の原点に触れたところで、「As It Was」も介して80年代を取り込んだだろう作品としてこの曲も取り上げます。
最新8月31日公開分(9月5日付)ビルボードジャパンソングスチャートで2位、ストリーミングでは早くも1億回再生を突破したAdo「新時代」は、『ONE PIECE FILM RED』主題歌として中田ヤスタカさんがプロデュースした作品。最初のサビ後にシンセが挿入されているところに、うっすらとながら「As It Was」の息吹を感じています。
尤も「新時代」は「As It Was」リリース前には出来上がっていた可能性も考えられ、だとすれば同時期に80年代シンセポップを意識したものができたということになります。
(上記はショートバージョン。)
知人曰く、Ado「新時代」からGARNiDELiAのメジャーデビュー曲でテレビアニメオープニング曲に起用された「ambiguous」を思い出したとのこと。なるほど、「新時代」は今の流行を踏まえながらアニメソングならではの曲展開もきちんと意識して制作されたのだと実感します。
今回紹介した作品はSpotifyにてプレイリスト化しました。是非聴いてみてください。