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藤井風「死ぬのがいいわ」が100位以内に登場…Spotifyのグローバルデイリーチャート上位曲の傾向を押さえる

東南アジアにおけるTikTokでのバズを機に、藤井風「死ぬのがいいわ」が世界に拡がっていることについてはこのブログでも取り上げました。

最新9月15日付のSpotifyグローバルデイリーチャートではこの「死ぬのがいいわ」が79位に上昇し、初の100位以内エントリーを果たしました。

(上記はライブバージョン。)

9月15日までを集計期間とするSpotifyグローバル週間チャートでは藤井風「死ぬのがいいわ」が117位に上昇。Spotifyを含むサブスクサービスやダウンロードを集計対象とする米ビルボードのグローバルチャート(Global 200およびGlobal Excl. U.S.)において、藤井風さんは「きらり」以来となるチャートインが見込まれます。米ビルボードによる9月24日付グローバルチャートの公開は日本時間の9月21日火曜18時以降の予定です。

 

さて、Spotifyのグローバルチャートをみると、上位曲には様々なジャンルが登場し、また興味深い傾向もみられます。それらについてチェックしてみましょう。

 

 

Spotifyのグローバルデイリーチャート、最新9月15日付のトップ10は以下の通り。

9月15日付 Spotifyグローバルデイリーチャート トップ10

 

1位 ビザラップ & ケベード「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」

2位 ハリー・スタイルズ「As It Was」

3位 デヴィッド・ゲッタ & ビービー・レクサ「I'm Good (Blue)」

4位 バッド・バニー & チェンチョ・コルネオーネ「Me Porto Bonito」

5位 マヌエル・トゥリソ「La Bachata」

6位 バッド・バニー「Tití Me Preguntó」

7位 ワンリパブリック「I Ain't Worried」

8位 クリス・ブラウン「Under The Influence」

9位 BLACKPINK「Pink Venom」

10位 バッド・バニー「Efecto」

このトップ10だけでも様々な特徴が見えてきます。まずはラテンの強さ。プエルトリコ出身のバッド・バニーがアルバム『Un Verano Sin Ti』から3曲を送り込み、コロンビア出身のマヌエル・トゥリソ「La Bachata」も5位に入っています。特にバッド・バニーはアメリカでも躍進を続け、『Un Verano Sin Ti』は最新9月17日付米ビルボードアルバムチャートで通算10週目となる首位を獲得しています。

ラテン関連でいえば、ビザラップ & ケベード「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」も忘れてはいけません。アルゼンチン出身のビザラップが地元歌手とのセッションをYouTubeにアップしたことでスタートした”Bzrp Music Sessions”シリーズから、スペイン出身のケベードを迎えた曲が世界的に大ヒット。米ビルボードによるふたつのグローバルチャートでも首位を獲得しています。

ラテンが強い一方で、K-PopもBLACKPINK「Pink Venom」がランクインしていますが、緩やかな減少傾向に。K-Popアメリカにおいて、特にストリーミングの持続性の面で強くない印象がありますが、たとえばBTSのジョングクがチャーリー・プースに招かれた「Left And Right」は最新9月15日付Spotifyのグローバルデイリーチャートで25位と安定しており、瞬発力のみならず持続力も付いてきたと言えるかもしれません。

なおBLACKPINKは9月16日付Spotifyグローバルデイリーチャートで、同日リリースのアルバム『Born Pink』から複数曲がランクイン予定。「Pink Venom」も上昇が見込まれます。

映像作品関連もヒット。ワンリパブリック「I Ain't Worried」は映画『トップガン マーヴェリック』に起用された、最新9月17日付米ビルボードソングスチャートでも初のトップ10入り。映画は8月下旬の段階で世界の興行収入ランキングで6位となり(トップガン、全米興収歴代6位に!『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』超え|シネマトゥデイ(8月22日付)参照)、映画のヒットが影響しているのは確実です。

また、Netflixのドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン4に起用されたケイト・ブッシュ「Running Up That Hill (A Deal With God)」は最新9月15日付Spotifyのグローバルデイリーチャートで16位に。1985年リリースのこの曲は映像作品への起用でグローバルチャートを制し、米ビルボードソングスチャートではキャリア最高位を更新しています。

懐かしの曲つながりでいえば、デヴィッド・ゲッタ & ビービー・レクサ「I'm Good (Blue)」はエッフェル・65(エッフェル65と表記するメディアもあり)の2000年のヒット曲「Blue (Da Ba Dee)」を引用。その確信的なキャッチーさも早々に人気を獲得した理由と言えるでしょう。

(上記はリリックビデオ。)

クリス・ブラウン「Under The Influence」は2019年のアルバム『Indigo』のエクステンデッドエディションに収録。米ビルボードによる最新9月17日付Global Excl. U.S.でトップ10入りした際、米ビルボードはこの曲のヒットの要因をTikTokのバズと伝えています。TikTokのバズを機に大ヒットしたグラス・アニマルズ「Heat Waves」(2020年リリース)も、最新9月15日付Spotifyグローバルデイリーチャートで19位に入っています。

そして今年最大のヒット曲のひとつがハリー・スタイルズ「As It Was」。Spotifyの週間単位におけるグローバルチャートでは4月1~7日の集計期間週に首位に初登場を果たして以降、トップ3から未だ陥落していないのです。この曲については以前ブログエントリーで取り上げていますが、アーハ(a-ha)「Take On Me」に代表される1980年代シンセポップも影響源とみられ、ある種懐かしの曲フックアップの最たる例かもしれません。

 

 

藤井風「死ぬのがいいわ」はJ-PopでおそらくはじめてとなるSpotifyグローバルデイリーチャートでの100位以内エントリーを果たしましたが、このSpotifyグローバルチャートでは様々なジャンルの曲がヒットしていること、TikTokのバズを起因とする作品が上昇していること、懐かしの曲もヒットする傾向があること等を踏まえれば、「死ぬのがいいわ」がさらなる上昇を果たす可能性は十分です。

藤井風さんはこのタイミングで、アルバム『LOVE ALL SERVE ALL』収録の「damn」ミュージックビデオの公開をティザー(ティーザー)で予告しています。タイトルが絵文字ひとつという洒落っ気、そしておそらくはこの絵文字が世界共通で認識可能という点でも、さらなる注目を集めるかもしれません。

 

最後に、Spotifyグローバルデイリーチャートのトップ50プレイリストを下記に掲載します(プレイリストは常時、最新日付のチャートに更新されています)。藤井風「死ぬのがいいわ」がここに入ってくるか、注目しましょう。