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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】なにわ男子「The Answer」、フルバージョン動画投稿で次週以降の動向に注目

最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

4月25日~5月1日を集計期間とする5月4日公開(5月9日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。なにわ男子「The Answer」が初登場で首位を獲得しました。

(上記はショートバージョン。)

なにわ男子「The Answer」は「サチアレ」とのダブルAサイドシングルとして4月27日にフィジカルリリース。その初週セールスは534004枚を記録しフィジカルセールス指標を制したほか、レンタル解禁が17日後ながらもルックアップで首位に。5つの指標で100位以内に入り、デビュー曲「初心LOVE」に続くビルボードジャパンソングスチャート制覇を成し遂げました。その「初心LOVE」は今週、63位に再浮上しています。

一方で気になる点が。「初心LOVE」と「The Answer」とで一部指標のチャートアクションが異なるのです。

2曲の初制覇時におけるCHART insightを上記に。チャート構成比やポイントについては、「初心LOVE」と「The Answer」の間に二度のチャートポリシー(集計方法)変更が行われたため単純比較はできませんが、ルックアップ指標(オレンジで表示)の強さが目立つのが特徴です。

2曲ともフィジカルセールス加算に伴い総合ソングスチャートを制していますが、その2曲で異なるのが青で表示されるストリーミング指標の有無。「初心LOVE」では100位未満ながら300位圏内となり加点された一方、「The Answer」では加点されていません。

ストリーミングはサブスク再生回数、そしてYouTubeのオーディオストリーミングも対象となり、デジタル未解禁曲でも動画人気がストリーミング指標に波及することが稀にあります。際立つのはSnow ManSixTONESといった近年のジャニーズ事務所所属歌手であり、Snow Manブラザービート」はフィジカル関連指標初加算週まで3週続けてストリーミングが加点対象に。「初心LOVE」の動きをなぞるとして以前紹介しました。

動画をオーディオストリーミングで聴いた方も多いことがストリーミング指標の加点につながったと捉えていいでしょう。

しかもこの2つの動画が共にフルバージョンでアップされているというのが肝であり、サブスクの代替としてオーディオストリーミングでチェックした方が少なくないことを想起させます。

(中略)

Snow Manブラザービート」はなにわ男子「初心LOVE」に近い動きをなぞるものと思われ、早急に100位未満になることはないでしょう。そしてそこにはデジタルの力が大きく影響していると言えますし、Snow Man側もその力を解った上で施策を展開しているのではないでしょうか。

Snow Manブラザービート」は最新5月4日公開分(5月9日付)で40→48位とダウン幅を狭め、2週後にフィジカルリリースされたKing & Prince「Lovin' you」(16→55位。動画再生20位)を上回りました。最新週ではストリーミングが加点されない状況ですが、動画再生指標(赤で表示)が9週連続でトップ5内をキープしていることが好調の要因と考えられます。動画人気はいずれストリーミングの再加点につながるかもしれません。

 

一方でなにわ男子「The Answer」は動画再生が10→3位と上昇するも、ストリーミング加点につながっていません。これはミュージックビデオおよび最新チャートの集計期間中に公開されたダンスプラクティス動画がいずれもショートバージョンであることが原因と考えられ、その施策への違和感を以前示しています。

そのなにわ男子は昨夜、「The Answer」のミュージックビデオを用いたダンスバージョン動画を公開。こちらはフルバージョンであり、コメント欄にはフルバージョンに対する喜びの声も複数みられます。

無論この動画がフィジカルセールスにつなげるための意味合いもあるでしょう。また、動画の概要欄にクレジットがきちんと掲載されていることから次週のビルボードジャパンソングスチャートでこの動画もカウント対象となることでしょう*1。そしてこの動画の人気如何によっては、ストリーミング指標が加点される可能性も十分考えられます。

なにわ男子側が水曜夜、つまりビルボードジャパンソングスチャート制覇発表日にこの動画を投稿したことで、ともすればなにわ男子側、もっと言えばジャニーズ事務所自体がビルボードジャパンでヒットに至ることをきちんと意識している(するようになった)と捉えていいのかもしれません。この動きを歓迎すると共に、サブスクを解禁してもフィジカルセールスが極度に落ちないだろうことも再度訴求させていただきます。

次週ストリーミング指標の加点なるか、動画再生指標が高値安定するか、そして総合でロングヒットに至るか…昨日のなにわ男子「The Answer」におけるフルバージョン動画の投稿は、この曲の継続的なヒットを占う意味で非常に重要な意味を持つものと考えます。

*1:動画再生指標はISRC(国際標準レコーディングコード)が付番されているものが加算対象となり、動画の概要欄にクレジットが掲載されたものが必ずしも付番されているというわけではありませんが、しかしISRC付番の可能性は極めて高いと考えます。