イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

INI・BE:FIRST・なにわ男子のデビュー曲動向を確認、そしてDa-iCEが未だMステに出ていない件を考える

昨年11月にフィジカルデビューを果たしたINI、BE:FIRSTそしてなにわ男子。それぞれのデビュー曲については以前にもビルボードジャパンソングスチャートの動向を観測してきました。

1月12日付公開分(1月17日付)までの動向を表にまとめ、私見も交えて記載したものが上記ですが、その後も3組のデビュー曲においては決して小さくない差が生じていると感じています。そこであらためて3曲、およびBE:FIRSTについてはプレデビュー曲の「Shining One」について、現在までの動向をまとめてみました。

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デジタル先行リリースのINI「Rocketeer」、フィジカル/デジタル同週リリースのBE:FIRST「Gifted.」そしてダウンロードおよびストリーミング未リリースでフィジカルが2曲の9日後にリリースされたなにわ男子「初心LOVE」…この3曲を比べると、50位以内そして100位以内ランクイン共に「初心LOVE」が最も長く、次いで「Rocketeer」、そして「Gifted.」の順となります。

 

 

なにわ男子「初心LOVE」の強さはフィジカルセールスに加えてルックアップ、そして動画再生指標に表れています。ルックアップはCDをパソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースのGracenoteにアクセスされる数を示し、売上枚数に対する実際の購入者数(ユニークユーザー数)、そしてレンタル枚数の推測を可能とします。

動画再生については上記ダンスバージョンも人気となり、ブログ執筆段階ではオリジナルバージョンに対し再生回数が肉薄(オリジナルバージョンは2655万、ダンスバージョンは2490万)。ダンスバージョンおよびデビュー日披露のライブバージョンは共にフルバージョンでアップされており、再生回数の多さはルックアップで推測されるレンタルの多さ同様、ストリーミングに替わる接触手段になっていると言えます。

動画再生の人気の高さはTikTokによるところも大きく、楽曲人気を測るビルボードジャパンのTikTok Weekly Top 20では今年度新設以降常時20位以内をキープ。アイドルとしての人気の高さ、YouTubeTikTokのチャンネル開設、振り付けの人気等がこのチャートに表れ、そこからビルボードジャパンソングスチャートを構成する指標群に移行する流れが生まれています。カラオケ指標の安定も注目すべき点です。

 

 

一方でINI「Rocketeer」およびBE:FIRST「Gifted.」は、似ているようで異なる動きとなっています。「Rocketeer」が特に強いのはTwitter指標で、INIは今年度のビルボードジャパンソングスチャートで常時複数曲が20位以内にランクインし、中でも「Rocketeer」は今年度同指標で全週トップ10入り。JO1も複数曲がランクインしており、PRODUCE 101 JAPANシリーズから輩出された2組のコアファンの熱量が解ります。

このコアファンの熱量はサブスク、特にLINE MUSICでの好位置安定にも表れています。INIは「Rocketeer」で複数回LINE MUSIC再生キャンペーン(再生回数キャンペーン)を行っていたこともあり、コアなファンが他のサブスクサービスよりもLINE MUSICを利用している印象。ゆえにTwitter人気共々、順位は高くないもののストリーミング指標がランクインし続けているものと考えます。

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それでも、コアなファンの熱量が特に強さを発揮するTwitter指標は昨年度のチャートポリシー(集計方法)変更にてウエイトがダウンしており、たとえば最新のビルボードジャパンソングスチャートでTwitter指標2位に入ったJO1「Dreamer」(総合35位)は同指標で200ポイント強の獲得にとどまっています。Twitter指標の高水準はポイントの安定した獲得に寄与しますが、他指標での獲得が求められると言えるでしょう。

 

コアなファンの熱量が可視化されたと言えるのはBE:FIRSTも同様ですが、「Gifted.」は最新のビルボードジャパンソングスチャートにおいてストリーミング指標が300位を割り込みました。これは現段階での最新曲「Brave Generation」にコアなファンの聴取先が移行したことも影響しているかもしれません。

デイリー200位までの動向が可視化されたSpotifyでは「Gifted.」が昨年12月17日を最後に姿を消した一方、「Brave Generation」および「Shining One」は現在も200位以内を行き来しています。「Shining One」にライト層が付いた可能性が考えられる一方で、コアなファンの熱量は新曲リリースの度に渡り歩くものと思われます。

 

INI「Rocketeer」とBE:FIRST「Gifted.」は共に、ダウンロード指標が早々に300位を割り込んでいるのも気になるところですが、このダウンロード指標は地上波テレビ番組の露出がダイレクトに、時間を空けずに反映されます。このテレビ露出についてはなにわ男子「初心LOVE」と圧倒的な差があることからどう詰めるのかが課題ですが、ここにはエンタテインメント業界の力学、"枷"と言えるものが大きく阻んでいると睨んでいます。

 

 

男性ダンスボーカルグループのテレビ露出の課題について、テレビ局側が仮に実績不足を挙げて出演を見合わせるならば、短期的にでも昨年度第4四半期(のチャートポリシー下)においてBE:FIRST「Gifted.」とINI「Rocketeer」のみが2万ポイント超えを達成、フィジカルセールス面でもクリアしていると考えます。またストリーミングの1億回を基準と言うならば、デジタル未解禁の男性アイドルの優遇は矛盾とも言えるでしょう。

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男性ダンスボーカルグループでストリーミング1億回突破、現在は2億回にも達したと言われるDa-iCECITRUS」は、昨年の日本レコード大賞受賞を機に再浮上して以降、ビルボードジャパンソングスチャートでトップ10前後をキープしています。ダウンロード指標(上記CHART insightでは紫で表示)はレコード大賞や『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)出演のタイミングで上昇しており、テレビ露出の影響の大きさが見て取れます。

しかしそのDa-iCEは未だに『ミュージックステーション』(テレビ朝日)への出演が叶っていません。ストリーミングの好調によるライト層への浸透、「CITRUS」のレコード大賞受賞とトップ10返り咲き、EP『REVERSi』リリース、そして同局の『仮面ライダーバイス』に主題歌を提供しているにも関わらず、です。Da-iCEは先週『うたコン』(NHK総合)、今週は『バズリズム02』(日本テレビ)に出演する一方で、扱いの差は歴然です。

Da-iCEについては5年前の段階で実力等を紹介し、その際に枷の問題も指摘しましたが、『ミュージックステーション』においては未だ動きがみられません。同番組はジャニーズ事務所所属歌手が、たとえデビューしておらず音源が手に入らない歌手であっても出演するのとは真逆と言えます。しかし上記エントリーでも書きましたが、男性ダンスボーカルグループとアイドルとがバッティングするは思わないというのが私見です。

 

 

このような地上波テレビ番組出演の枷はDa-iCEですら取り払われていないのが現状であり(ただしDa-iCEにおいては明らかに『ミュージックステーション』が敷く優遇と冷遇が問題だと考えます)、INIや先輩格のJO1、またBE:FIRST等が満足いく活動を行えるにはまだ時間がかかると言えるでしょう。ならば実績を積み上げることで自発的に、ライト層を獲得して数の面で、優遇と冷遇を敷くメディアを動かし続けていくことが必要です。

個人的には上記エントリーで条件に掲げたビルボードジャパンソングスチャートでの好成績については、首位獲得に加えてロングヒットも必須と考えます。それはすなわちライト層獲得によるストリーミングヒットの確立とほぼイコールであり、また最終的にはビルボードジャパンソングスチャートを参考にしているであろう『NHK紅白歌合戦』出演にもつながります。

BE:FIRSTは今夜、次のフィジカルシングルについて発表するかもしれません。またINIは4月にフィジカルシングルをリリースすることが決定しています。ウイークポイントを分析、克服し、今後の枷なき活動を切り拓くことを強く願います。