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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

BTS「Butter」、Vaundy「napori」「花占い」…チャートを左右するエラーがSpotifyで発生している件

日本における最新12月26日付Spotifyデイリーチャートではクリスマスソングが大きく後退。そしてここ数日、大きな問題が発生しています。

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上記はこの3ヶ月あまりの期間における、日本のSpotifyデイリーチャートの推移。最新12月26日付においてデイリー16万回以上再生された18曲を紹介していますが、問題は16万回を突破していないながらも掲載した、BTS「Butter」の2バージョンの動向です。なお、日本におけるSpotifyデイリーチャートはこちらより確認できます。

 

12月23日付まではBTS「Butter」がオリジナルバージョンでランクインしていました。高い再生回数は同曲のリリース以降常時続いており、自分が定点観測として紹介するグラフでも継続した人気が見て取れます。

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(上記は12月19日付までのおよそ3ヶ月半を集計期間とする、日本におけるSpotifyデイリーチャートの推移。)

それが、12月24日および25日付において「Butter」はメーガン・ザ・スタリオンをフィーチャーしたバージョンとして、両日とも9位にランクイン。オリジナルバージョンはランクインから除外されていますが、12月24日付においてはダウンしたとの表記(赤の▼)があるため、オリジナルバージョンから差し替わったと推測可能です。

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そして12月26日付ではこのようになります。

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クリスマスソングが大きく後退したこの日、「Butter」もトップ10から大きくダウンしています。

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「Butter」のオリジナルバージョンが41位にダウンし、メーガン・ザ・スタリオンをフィーチャーしたバージョンが48位に再登場(青の●はデイリー200位以内初登場もしくは再登場を示します)。12月25日に登場していたのが客演参加版であってオリジナルバージョンではないにもかかわらず、あたかもオリジナルバージョンがダウン且つ客演参加版が再登場という扱いとなっているのです。

(上記キャプチャは12月28日午前5時台に収めたものですが、チャートが発表された前日19時台から変わっていません。)

 

この問題を調べると、実は世界的に同種の誤りがあったことが判りました。グローバルでのSpotifyデイリーチャート(こちらより確認可能)でも、BTS「Butter」は12月23日付でオリジナルバージョンが104位に登場しながら翌24日はオリジナルバージョンが消えメーガン・ザ・スタリオンの客演参加版が160位に、それもダウンと表示、つまりは差し替わっているのです。翌日も客演参加版が登場しています。

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(上記は12月23-25日における、グローバルでのSpotifyデイリーチャートの動向。)

そして最新12月26日付では、グローバルチャート200位以内からBTS「Butter」は姿を消しています。クリスマスソングがまだ多く残っているため、再浮上する可能性のあと年末年始の動向を追いかけないといけないとしても、このエラーは少なからず影響を及ぼしていることでしょう。

 

この問題は軽微ではないとする自分の見方に対し、チャート分析に長けた紅蓮・疾風さんがこのように発信しています。たしかに、BTS「Butter」のクレジットは元に戻ったと考えるほうが自然です。また米ビルボードによるグローバルチャートでは複数のバージョンが合算されるため、海外での影響は大きくないでしょう(勝手ながらツイートを紹介させていただきました。気付きを与えてくださったことに感謝申し上げます)。

それでもBTS「Butter」自体の勢いが日本で、そして世界で少なからず減少してしまったと考えます。世界においては不明でも日本ではSpotifyデイリーチャートのトップ50プレイリストが再生回数増加に大きな影響を及ぼしており、「Butter」が最新12月26日付で50位以内に残ったとしてもプレイリストの下位ならば少なからず被害を受けることが容易に想像できます。プレイリストの件は下記ブログエントリーに記載しています。

上記を基に、Spotify独自のチャート特性を踏まえ、Spotifyには"50位の壁"があると紹介しました。

 

さて、その50位の壁においても先日問題が発生したばかり。この特性がしばらく適用されなかった曲があるのです。それがVaundyさんによる「napori」と「花占い」でした。

この状況が10日ほど続いた後、「花占い」は12月19日付、「napori」は翌20日付以降、50位以内に到達しなくなりました。最終的には50位の壁が適用された形ですが、Spotifyがこの2曲を長い間まぜこぜにしてしまったのではと捉えていいでしょう。いずれは下降するとしてもこの曖昧な状況が解決に至らないまま、早いうちに50位未満に向かわせてしまったならば、この問題も看過することはできません。

 

 

自分もチャートの問題については問い合わせる姿勢を採っていますが、歌手側のみならずコアなファンの方こそ迅速に問い合わせる心構えを持ってほしいと願います。エラーはSpotifyのみならず総合チャート(ビルボードジャパンソングスチャート等)にも影響を及ぼすのです。エラーによりダウンしてしまうことは曲にとって、歌手にとって、そしてファンの皆さんにとっても不幸でしかありません。

Spotifyにおいては上記Twitterアカウントが存在します。『どんな些細なことでもお気軽にお問い合わせください』とありますので、こちらからアクションを起こすことに躊躇う必要はありません。そしてSpotify側の真摯な対応を求めます。自身のサービスの信頼度が揺らぐのみならず、日本におけるサブスクサービスの興隆をも妨げかねません。

 

最後に。特に被害を受けた曲や歌手を好きな方にとって、チャートエラーは許し難いと思うのが自然なことですが、問い合わせの際は怒りを鎮め最低限の礼節を持ち合わせることを切に願います。