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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

日本におけるSpotifyデイリーチャートでクリスマスソングの動向をみる(2021年版)

クリスマスが終わり、今年もクリスマスソングの動向について追いかけてみます。昨年も同日にこのような企画をお届けしましたが(下記ブログエントリー参照)、今年は昨年判ったことを踏まえて記載します。

なお、日本におけるSpotifyデイリーチャートはこちらから確認できます。

 

 

まず何と言っても今年の大きなトピックとなったのは、マライア・キャリーの制覇でしょう。

ビルボードでは最新12月27日付で今シーズン初、通算6週目の首位を獲得した「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」。日本におけるSpotifyデイリーチャートでも頂点に立ち、イブのみならずクリスマス当日も制しています。

クリスマスイブ(12月24日付)を定点観測するとマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は2017年、2018年以来の首位到達。2017年の再生回数およびJ-Pop解禁曲数の少なさを踏まえれば、2021年になって首位に返り咲くことはとてつもないと言えそうです。

 

他の特徴については、こちらのグラフもご参照ください。

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(上記グラフは日本のSpotifyデイリーチャートにおけるクリスマスソングの動向をまとめたもの。集計期間はクリスマス当日までの8日間となり、ピークとなるクリスマスイブにデイリー100位以内に入った27曲を抽出しています。なお、クリスマスと謳っていない曲でもクリスマスによく聴かれる作品を含みます。)

今年はクリスマスイブが金曜、クリスマスが土曜とカレンダー上では最高の並びと言えることから、クリスマス当日における関連曲の再生回数ダウンは昨年ほど大きくはなかったと言えそうです(昨年のクリスマス当日は金曜)。これは通常のデイリーチャートにおいて金曜が平日の中で最も再生回数が少なく、また平日→土曜→日曜と再生回数が増えていくという習性も影響していると考えられます。

一方でこのような動きも。クリスマスイブよりクリスマス当日の再生回数が伸びるのは主にJ-Popで、再生回数前日比は他に鈴木鈴木「ホワイトキス」が102.4%、B'z「いつかのメリークリスマス」が104.5%、SEKAI NO OWARI「silent」が108.8%、AI「ハピネス」が105.0%、MISIA「Everything」が104.4%と、大半の曲が上昇。またレミオロメン「粉雪」は両日とも100位未満でしたが、再生回数は前日比105.0%となっています。

 

クリスマスソングを網羅したプレイリストが数多く存在し、チャートに影響を与えるだろうことについては昨年紹介しました(昨年のブログエントリーはこちら)。その中にあって、クリスマス当日は洋楽よりもJ-Popが聴かれ、たとえばプレイリストにおいても"Christmas Hits"より"クリスマスソングを何か"のほうが親しまれた可能性があります(下記キャプチャ写真参照。いずれもクリスマス当日夜におけるラインナップ)。

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そしてクリスマスを問わない冬の定番曲がクリスマスを機に上昇する可能性を秘めています。12月24日から25日にかけては先述したAI「ハピネス」が70→68位、MISIA「Everything」が94→93位、レミオロメン「粉雪」が121→109位と上昇したのみならず、広瀬香美ロマンスの神様」がクリスマス当日に198位に再登場しています。主に洋楽がダウンする中で存在感を見せていることも特徴です。

日本におけるSpotifyデイリーチャートでは金曜が平日の中で最も再生回数が少なく、また平日→土曜→日曜と再生回数が増えていくという先述した習性はこの週末においてもクリスマス以外の曲に当てはまっています。そしてクリスマスイブおよび当日の200位における再生回数は今月はじめて3万回を突破しました。これらから、クリスマスソングは他の作品の替わりに聴かれているわけではないということも見えてきました。

 

 

クリスマスソングにおける様々な特性をSpotifyで確認できました。12月26日付以降はまた通常のチャートに戻ると予想されますが、映画『劇場版 呪術廻戦0』公開に伴いKing Gnu「一途」が躍り出る可能性もあり、その争いにも注目です。そして12月26日までを集計期間とする12月29日公開分(1月3日付)ビルボードジャパンソングスチャートは年末年始の関係で1月5日水曜に発表予定。クリスマスソングの動向に注目しましょう。