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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」が米およびグローバルで連覇を達成

現地時間の12月28日火曜に発表された最新2022年1月1日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)。マライア・キャリーが1994年にリリースした「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が前週に引き続き、通算7週目の首位を獲得しました。

12月17日金曜から23日木曜までを集計期間とする最新2022年1月1日付米ビルボードソングスチャート。マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」はストリーミングが前週比26%アップの4750万(同指標通算14週目の1位)、ダウンロードが同9%アップの8100(同指標6位)、そしてラジオが同25%アップの3200万(同指標13位)を獲得。ラジオ指標においてはトップエアプレイゲイナーを獲得しています。

2011年のクリスマスシーズンに米ビルボードはクリスマスソングスチャート(Holiday 100)をスタートしていますが、登場から55週目となる同チャートで「All I Want For Christmas Is You」は通算50週目の首位を獲得。2015年のシーズン以降は35週連続でトップの座に就いています。またこの曲はクリスマスソングで歴代ナンバーワンの記録を更新中です(Greatest Of All Time Holiday 100 songsチャートより)。

 

それでは、マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が今回成し遂げた様々な記録をみていきましょう。

「All I Want For Christmas Is You」はソングスチャート(Hot 100)登場50週目で首位を獲得。自身の記録を更新したのみならず、50週目で頂点に立った初の作品となりました。前週マライア・キャリーが首位に立った段階で、ロス・デル・リオ「Macarena (Bayside Boys Mix)」(1995)が成し遂げた登場46週目での首位獲得という記録を上回っています。なお「Macarena (Bayside Boys Mix)」は1995年9月から1996年1月まで20週エントリーした後1996年5月に返り咲き、翌年2月までランクインしています。

「All I Want For Christmas Is You」は最初に首位を獲得してからのスパンが最も長い作品となりました。最初の首位獲得は2019年12月21日付であり、2年と11日後の今回頂点に達したことになります。また、マライア・キャリーはキャリア初の首位獲得(1990年8月4日付におけるデビューシングル「Vision Of Love」)から今回に至るまでのスパンが31年5ヶ月となり、自らの持つ歌手としての最長スパン記録も更に伸ばしています。

「All I Want For Christmas Is You」が初の首位を獲得した2019年12月21日付の段階で、マライア・キャリーはシェールの持っていた最長スパン(「Gypsys, Tramps & Thieves」(1971)から「Believe」(1999)までの27年5ヶ月)を上回っていました。なおシェールはソニー&シェール時代を含めれば、そのスパンは「I Got You Babe」(1965)から「Believe」までの33年7ヶ月2週となります。

今回の首位獲得により、マライア・キャリーはソングスチャートにおける首位獲得年数を18年に伸ばしました。1990年から2000年、2005年および2006年、2008年、そして「All I Want For Christmas Is You」がマライアに2019年から2022年までの首位をもたらしたことになります。

他に通算10年以上首位を獲得している歌手は3組。ポール・マッカートニー(ウイングス含む)が1971年、1973-1976年、1978年、1980年および1982-1984年(別途ザ・ビートルズとして1964-1970年に首位を獲得)、マイケル・ジャクソンが1972年、1979-1980年、1983-1984年、1987-1988年、1991-1992年および1995年、そしてマドンナが1984-1987年、1989-1992年、1995年および2000年となっています。

マライア・キャリーは今回の「All I Want For Christmas Is You」により、歌手として86週目となる首位を獲得。米ビルボードソングスチャート63年の歴史において、マライアは首位獲得週数で2位のリアーナ(60週)との差をさらに引き離しました。この記録は以下、ザ・ビートルズ(59週)、ドレイク(52週)、ボーイズIIメン(50週)と続きます。

また「All I Want For Christmas Is You」はマライア・キャリーにとって19曲目の首位獲得曲でありソロでは最多を記録。全体での最高はザ・ビートルズの20曲ですが、マライア・キャリーは4つのディケイドで首位を獲得した唯一の歌手となります。

さらに「All I Want For Christmas Is You」が通算7週首位を獲得したことにより、マライア・キャリーにとって7週以上の首位獲得曲は5曲目に。7週以上の首位獲得曲を5作品保持するのはドレイクに並び最多タイとなります。なお次点としてアデル、ビヨンセボーイズIIメンおよびリアーナが3曲となっています。

クリスマスソングで総合チャートを制したのはデヴィッド・セヴィル & ザ・チップマンクス「The Chipmunk Song」(1958)とマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」のみ。「The Chipmunk Song」は4週首位を獲得しており、「All I Want For Christmas Is You」は首位獲得週数で3週引き離したことになります。

 

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は、時代に即したチャートポリシー変更(集計方法の変更)、とりわけストリーミングの成長および各ストリーミングサービスが用意する季節のプレイリストが曲にさらなる勢いを与えていると指摘されています。その点については、(米ビルボードの記事にはありませんが)以前ブログエントリーでまとめています。

 

集計期間を踏まえれば今回がクリスマスソングのピークと考えられます。その今週、上位4強がクリスマスソングとなりました。前週と変わらず2位を記録したブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」(1958)はストリーミングが前週比33%アップの4750万となりトップストリーミングゲイナーを獲得、またボビー・ヘルムス「Jingle Bell Rock」(1957)、バール・アイヴス「A Holly Jolly Christmas」(1964)がそれぞれ1ランクアップし3位、4位につけています。

ストリーミング指標ではマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」を筆頭に総合での4位までがストリーミングでもトップ4となっています。また総合ソングスチャートにおける1位から4位までの並びは、2019年のクリスマスシーズン(2020年1月4日付はこちらで解説)、2020年の同シーズン(2021年1月2日付はこちら)と変わりません。

アンディ・ウィリアムス「It's The Most Wonderful Time Of The Year」(1963)は1ランクアップし6位に。自身が持つ初のトップ10入りからの最長登場期間記録を62年2ヶ月と3週に伸ばしました。アンディにとって初のトップ10入りは、1959年10月12日付の「Lonely Street」となります。

ワム!Last Christmas」(1984)は2ランクアップし7位に入り、同曲の最高位を更新しました。ダウンロードは前週比21%アップの4100となり、トップセールスゲイナーを獲得しています。またホセ・フェリシアーノ「Feliz Navidad」は3ランクアップし8位へ。昨年のクリスマスシーズンに6位を記録して以来となるトップ10返り咲きです。

ザ・ロネッツSleigh Ride」(1963)が前週から3ランクアップし10位に到達。ストリーミングは前週比27%アップの2710万、ダウンロードは同9%アップの1000、ラジオは同10%アップの1710万を獲得しています。

Sleigh Ride」はザ・ロネッツにとって「Be My Baby」以来2曲目、58年2ヶ月ぶりのトップ10入り(「Be My Baby」は1963年10月、2位を3週記録)。トップ10の最長インターバル記録はこれまでバール・アイヴスが保有していましたが(「Funny Way Of Laughin'」(1962)から「A Holly Jolly Christmas」が初めてトップ10入りするまでの56年7ヶ月と2週間)、ザ・ロネッツはこの記録を更新した形です。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」

2位 (2位) ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」

3位 (4位) ボビー・ヘルムス「Jingle Bell Rock」

4位 (5位) バール・アイヴス「A Holly Jolly Christmas」

5位 (3位) アデル「Easy On Me」

6位 (7位) アンディ・ウィリアムス「It's The Most Wonderful Time Of The Year」

7位 (9位) ワム!Last Christmas

8位 (11位) ホセ・フェリシアーノ「Feliz Navidad」

9位 (6位) ザ・キッド・ラロイ & ジャスティン・ビーバー「Stay」

10位 (13位) ザ・ロネッツSleigh Ride

ラジオ指標を制したのはアデル「Easy On Me」(総合5位)で、同指標は前週比2%アップの8600万を獲得しています。次週はクリスマスソングの後退、そして「Easy On Me」等の上昇が予想されます。

 

 

ビルボードが昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。2022年1月1日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が頂点に立ちました。

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」はGlobal 200においてストリーミングが前週比30%アップの1億530万、ダウンロードが同16%アップの17100を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比32%アップの6410万、ダウンロードが同23%アップの8900を記録しています。

「All I Want For Christmas Is You」はGlobal 200において昨年のクリスマスシーズンは4週、今年は3週首位を獲得し通算では7週その座に就いています。Global Excl. U.S.では昨年のクリスマスシーズンに1週、今シーズンは2週の通算3週首位を獲得しました。

Global 200ではクリスマスソングが上位4強となっており、ワム!Last Christmas」が3→2位、ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」が5→3位、ボビー・ヘルムス「Jingle Bell Rock」が6→4位にそれぞれ上昇。3曲とも、昨年のクリスマスシーズンの最高位に並びました。その中でゲイル「Abcdefu」が3ランクダウンしながら5位にとどまっています。

Global 200の6位以下をみると、アリアナ・グランデ「Santa Tell Me」が9→6位、アンディ・ウィリアムス「It's The Most Wonderful Time Of The Year」が11→8位、マイケル・ブーブレ「It's Beginning To Look A Lot Like Christmas」が14→9位にそれぞれ上昇しています。

Global Excl. U.S.ではワム!Last Christmas」が4→2位となり、昨シーズンの最高位に並びました。またゲイル「Abcdefu」が1ランクダウンしながら3位にとどまり、アデル「Easy On Me」が3→4位に、そしてザ・キッド・ラロイ & ジャスティン・ビーバー「Stay」が5位をキープしています。

Global Excl. U.S.の6位以下をみると、エド・シーラン & エルトン・ジョン「Merry Christmas」が13→7位に上昇、2週前のデビュー時における10位を上回り最高位を更新しています。またマイケル・ブーブレ「It's Beginning To Look A Lot Like Christmas」が14→8位、ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」が17→10位にそれぞれ上昇し、この2曲とも同チャートでのピークを更新しています。