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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】BE:FIRST「Gifted.」が初登場で首位を獲得した要因、そして今後大事なこととは

毎週木曜は、最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

11月1~7日を集計期間とする11月10日公開(11月15日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。BE:FIRST「Gifted.」がINI「Rocketeer」を抑え、初登場で首位を獲得しました。

 

 

BE:FIRST「Gifted.」とINI「Rocketeer」は稀にみる大接戦となりました。ビルボードジャパンが記事のタイトルに”激闘”と記したのもうなずけます。

直近のチャートポリシー変更後初めて2万ポイントを突破した2曲の差は、指標構成をみるとよく解ります。

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(上記はビルボードジャパンのCHART insightより。こちらで確認できます。)

INI「Rocketeer」はフィジカルセールスが49万弱を記録し、BE:FIRST「Gifted.」の2.3倍もの売上を誇っています。ルックアップ指標も制し、さらにTwitter指標ではフィジカル収録の6曲が9位までに登場、且つトップ3を占めました。ただしこれらの指標群はいずれも今年度、チャートポリシー変更に伴いウエイト減少に至っています。

 

一方でBE:FIRST「Gifted.」はデジタル指標群が強かったと言えます。ストリーミング指標は1300万回再生を突破しました。

1千万回再生突破は13週ぶりであるのみならず、同指標首位獲得曲における再生回数は前週に今年度最低を記録しており、その反動の大きさという意味でも強烈と言えます。またINI「Rocketeer」も1千万回再生を突破しました。

これは「Gifted.」が集計期間初日である11月1日に(フィジカルリリースに先立って)デジタル解禁したことでデジタルが初週1週間フル加算できたこと、またLINE MUSIC再生回数キャンペーン(LINE MUSIC再生回数キャンペーン)を実施したことが功を奏しています。スケジュールについては以前のブログエントリーにてまとめています。

LINE MUSIC再生キャンペーンはINI「Rocketeer」が11月2日までだったのに対し*1、BE:FIRST「Gifted.」は9日までとなり最新ソングスチャートの集計期間ずっとキャンペーンが続いています。一方で「Rocketeer」がキャンペーン終了後も失速せず1千万回再生を突破したのは凄いことで、おそらくはライバルとの切磋琢磨が要因と言っていいでしょう。

ダウンロード指標もBE:FIRST「Gifted.」が制覇。先述したとおり、リリース日から1週間分がフル加算された効果は大きいと言えます。一方でINI「Rocketeer」はフィジカルセールスの1ヶ月以上前に先行解禁されていましたが、最新ソングスチャート集計期間に人気が再燃した形です。

 

BE:FIRST「Gifted.」とINI「Rocketeer」とで、比較的大きな差が生じた指標がラジオおよび動画再生でした。動画再生指標においては11月1日に「Gifted.」のミュージックビデオが公開されていますが、11月3日にはダンスプラクティス動画、11月6日には初のワンマンライブからの模様もアップされています。

3つの動画が順次公開されたこと(おそらくは3つとも加算対象となっているはずです)がBE:FIRST「Gifted.」における動画再生指標トップの要因と言えます。またダンスプラクティス動画を、ミュージックビデオ再生回数大台突破の『感謝の気持ちを込めて』発信する姿勢は、コアなファンの熱量をより高める効果につながったと言えるでしょう。

ラジオ指標においてもBE:FIRST「Gifted.」はINI「Rocketeer」と差を広げてます。上記ツイートの引用元は、ビルボードジャパンにデータを提供するプランテックによるOA回数チャート*2。「Gifted.」がプレデビュー曲の「Shining One」を大きく上回った理由はおそらく、「Shining One」で築き上げたラジオ局との良好な関係が花開いたゆえではないでしょうか。自分は以前、このように言及しています。

この段階でラジオ局との関係を強化することは、11月3日リリースの「Gifted.」がOAされやすくなることにもつながります。既に「Shining One」はビルボードジャパンソングスチャートで2週連続トップ10入りという実績を築いているわけで、ラジオ局側がBE:FIRSTを(語弊があるかもしれませんが)無視できなくなったこともOA回数の上昇につながっているはずです。

 

 

7指標が4位以内、うち6指標が2位以内となり総合ソングスチャートを制したBE:FIRST「Gifted.」、そして5指標が3位以内となり総合2位を獲得したINI「Rocketeer」ですが、大事なのは翌週以降の動向です。

フィジカルセールスに強い曲でそれ以外の指標が強くなければ上位進出直後の急落は必至です。この点については以下の表から如実に解るはずです。

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そして、ストリーミング指標が強いとしてもそれがLINE MUSIC再生キャンペーンに因るものであれば、キャンペーン終了後の同指標急落、そして総合ソングスチャートでの急落もまた容易に予想できることです。今回ワンツーフィニッシュを遂げた曲のストリーミング再生回数には、大きな偏りがみられています。

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BE:FIRST「Gifted.」のストリーミング再生回数に占めるSpotifyの比率は3.2%で、今年度最も低かった5月26日公開(5月31日付)におけるBTS「Butter」の8.8%を5ポイント以上下回っています。また表にはありませんが、INI「Rocketeer」においてはストリーミング再生回数に占めるSpotifyの比率が2.6%となっています。

ここからみえてくるのはストリーミング再生回数に占めるLINE MUSICの多さであり、LINE MUSIC再生キャンペーンの効果が極めて大きいということ。最新ソングスチャートにおけるストリーミング再生回数の多くがコアなファンによるものであると想像できるのです。通常ストリーミング指標はライト層の支持が大きいことから、キャンペーン後の動向は非常に気掛かりです。

 

Spotifyはデイリー200位以内ランクイン曲の再生回数が可視化されていることもあり、そこから各デジタルプラットフォームの特徴がみえてきます。LINE MUSICに比べてSpotifyはチャートアクションが保守的ではありますが、言い換えればSpotifyでのヒットがロングヒットには欠かせないのです。さらにSpotifyにおいては50位以内にランクインすることも大きな鍵となっています。

SpotifyにおいてはBE:FIRST「Gifted.」、INI「Rocketeer」共に一度もデイリー50位以内に至れていません。さらには直近となる11月9日付Spotifyデイリーチャートでは、他の曲が再生回数前日比100%前後で推移する中にあって、2組のダウン幅が小さくないことも気掛かりです。

 

そんな中、昨日BE:FIRSTがSpotifyに新たなプレイリストを用意しました。

おそらくは今後投入されるプレイリストも同じ構成となり、「Gifted.」の再生回数増加に寄与するでしょう。R&Bの良曲が揃っていることに個人的に親しみを覚えますが、プレイリストの最初と最後にメンバーの声が入っていることでラジオ的な聴き方ができ、聴き手が歌手や曲にさらに親近感を抱くのではないかと考えます。

このSpotifyプレイリスト投入は11月28日まで実施。Spotify独自の映像ループ機能であるCANVASも「Gifted.」で用いられています。こちらを踏まえるに、ラジオ共々中長期的な戦略を行うBMSG、そしてSKY-HIさん側の戦略の巧さを感じますし、コアなファンの方々による熱量の高さも強く実感しています。あとは、新たな男性ダンスボーカルユニット(グループ)が如何に認知度を上げていくかが今後の鍵と言えるでしょう。

 

 

認知度を拡大することはライト層の拡充へとつながります。そのために重要な要素のひとつがメディア露出、それも地上波テレビ局のゴールデンタイム音楽番組出演にあるのですが、そもそもレギュラーの音楽番組が少ないこと、そして放送されたとしても男性ダンスボーカルユニットが満足に出られない環境を日頃から痛感してします。この”枷”については、最近ではDa-iCECITRUS」紹介時に記載しています。

BE:FIRSTにおいては本日放送の『ベストヒット歌謡祭』(読売テレビ/日本テレビ)に登場しますが、そこで披露されるのが「Shining One」というところに違和感を抱く自分がいます。「Gifted.」がビルボードジャパンソングスチャートを制した直後ゆえ尚の事。さすがに選曲にまで枷が関わるとは考えたくありませんが、しかし完全に否定できないのではないでしょうか。

 

BE:FIRST「Gifted.」はビルボードジャパン週間ソングスチャートを制しました。またINI「Rocketeer」の2位獲得、さらに2曲とも2万ポイントを突破したことは実に見事です。今後は如何にライト層を獲得するかが焦点となりますが、2曲のチャートアクションを踏まえるに現段階においても地上波テレビ局の音楽番組に出演できるポテンシャルはあるはずです。「Gifted.」等が様々な業界を健全化させる力になることを願います。

*1:LINE MUSIC再生キャンペーンの詳細は『電話で届くINIメンバー生ボイス』を抽選でプレゼント! LINE MUSIC「Rocketeer」再生キャンペーン第2弾を開催|INI OFFICIAL SITE(10月27日付)をご確認ください。

*2:ビルボードジャパンはOA回数に聴取可能人口等を加味し、ラジオ指標を算出します。