毎週水曜は、米ビルボードが昨年新設したグローバルチャートをお伝えします。
200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。11月13日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にアデル「Easy On Me」が3連覇を達成しました。
.@Adele's "Easy on Me" tops the Billboard Global 200 and Global Excl. U.S. charts for a third week - with no U.S. acts in the top five of either tally.https://t.co/rTwnXpbqVD
— billboard (@billboard) 2021年11月8日
The Global 200 top 10 (chart dated Nov. 13, 2021)
— billboard charts (@billboardcharts) 2021年11月8日
The Global Excl. U.S. top 10 (chart dated Nov. 13, 2021)
— billboard charts (@billboardcharts) 2021年11月8日
アデル「Easy On Me」はGlobal 200においてストリーミングが前週比19%ダウンの8400万およびダウンロードが同32%ダウンの29200を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比19%ダウンの6050万およびダウンロードが同32%ダウンの13700を記録しています。
『=』が初登場で米ビルボードアルバムチャートを制したことに伴い、エド・シーランの2曲が同時トップ5入り。Global 200では「Shivers」が6→3位および「Bad Habits」が7→4位に、Global Excl. U.S.ではそれぞれ5→3位、6→5位に上昇しています。
これにより今週のトップ5は両チャート共にアメリカ出身者が不在となりました(アデル、エド・シーラン、コールドプレイ、エルトン・ジョンおよびデュア・リパはイギリス、ザ・キッド・ラロイはオーストラリア、ジャスティン・ビーバーはカナダ、Cケイはナイジェリア、BTSは韓国)。Global Excl. U.S.においては3週連続でアメリカ出身者がいない状況です。
(なおGlobal Excl. U.S.のトップ5でアメリカ出身歌手が初めて不在となったのは7月31日付。エド・シーラン、BTS、ザ・キッド・ラロイ、ジャスティン・ビーバーおよびマネスキン(イタリア)が占めています。)
さて今週は、ハロウィン(ハロウィーン)の影響が反映されています。
10月29日~11月4日を集計期間とする最新グローバルチャートにおいて、10月31日のハロウィンから想起される曲がランクイン。特にマイケル・ジャクソン「Thriller」(米リリースは1984年、同名アルバムは1982年リリース)はGlobal 200で109→28位に、Global Excl. U.S.では60位に再登場。さらにマイケルがバックボーカルを務めたロックウェル「Somebody's Watching Me」(1984)がGlobal 200で86→35位に上昇をしています。
Global 200では他にも、レイ・パーカー・ジュニア「Ghostbusters」(1984)が46位、ボビー・”ボリス”・ピケット&ザ・クリプト・キッカーズ「Monster Mash」(1962)が54位、ダニー・エルフマン「This Is Halloween」(1993)が66位に、それぞれ再登場しています。
前週のグローバルチャート紹介の際にハロウィン関連曲の上昇の可能性についてお伝えしましたが(→こちら)、サブスクや動画再生の影響(それらの利用増加)に伴い、季節を彩る曲が瞬間的にも上昇する傾向が高まっています。その最たる例がクリスマスですが、ハロウィンも少しずつその影響が濃くなっているように感じます。
ちなみにGlobal 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.では、先述したマイケル・ジャクソン「Thriller」を除けばロックウェル「Somebody's Watching Me」のみが100位以内に登場(152→77位)。ハロウィン文化の定着の差がふたつのグローバルチャートで色濃く出た形であり、言い換えればアメリカにおけるハロウィン関連曲の上位進出が際立っていることも解ります。
#マイケル・ジャクソン「#Thriller」が最新11月13日付米ビルボードソングスチャートで19位に再浮上(昨年同時期は48位)。20位以内の登場は37年ぶり。集計期間がハロウィーン(ハロウィン)時期ゆえではあるのですが、クリスマスソング同様にストリーミングの興隆が再浮上に大きく貢献していると言えます。 https://t.co/d1FwRjy3W3
— Kei (@Kei_radio) 2021年11月8日
昨日のブログエントリー(→こちら)で米ビルボードソングスチャート速報をお伝えした直後、米ビルボードがマイケル・ジャクソン「Thriller」の同チャート19位再浮上をアナウンス。これでマイケル・ジャクソンは1970年代以降すべてのディケイドで20位以内に登場したのみならず、ジャクソン5「I Want You Back」が1969年12月にトップ20入りしたことを考慮すれば7つのディケイドでその記録を成し遂げたことになるのです。
米ビルボードソングスチャートでは他にも、ボビー・”ボリス”・ピケット&ザ・クリプト・キッカーズ「Monster Mash」が37位(最後のランクインは1973年9月)、レイ・パーカー・ジュニア「Ghostbusters」が40位(最後のランクインは1984年11月)、ロックウェル「Somebody's Watching Me」が42位(最後のランクインは1984年6月)にそれぞれ上昇。「Somebody's Watching Me」以外はGlobal 200の順位よりも高い状況です。
ハロウィン関連曲(想起される曲)の上昇度合いは、サブスクの浸透によってさらに高まることが予想されます*1。さらに来年はハロウィン時期の集計期間が10月28日~11月3日までとなり、ハロウィン前の盛り上がりがより反映される形に。気が早いですが来年11月12日付の各チャートが今から楽しみです。
最後にJ-Popの動向を紹介。毎週火曜夕方に更新されるグローバルチャート詳報で100位以内に入ったJ-Popをツイートしており、そちらを転載します*2。
11月13日付 #Global200 100位以内のJ-Popの動向
— Kei (@Kei_radio) 2021年11月9日
(集計期間:10月29日~11月4日)
(100位以内にJ-Popはランクインしていません。)
11月13日付 #GlobalExclUS 100位以内のJ-Popの動向
— Kei (@Kei_radio) 2021年11月9日
(#Global200 から米の分を除く)
(集計期間:10月29日~11月4日)
・70→66位 #Official髭男dism(@officialhige)「#CryBaby」
・79→78位 #backnumber(@backnumberstaff)「#水平線」
・80位 (初登場) #Ado(@ado1024imokenp)「#阿修羅ちゃん」
(続く)
11月13日付 #GlobalExclUS 100位以内のJ-Popの動向(続き)
— Kei (@Kei_radio) 2021年11月9日
・88→99位 #YOASOBI(@YOASOBI_staff)「#夜に駆ける」
43→61位と推移したLiSA「明け星」が早くもGlobal Excl. U.S.100位以内から姿を消しました。また今日発表のビルボードジャパンソングスチャートでワンツーフィニッシュが予想されるINI「Rocketeer」およびBE:FIRST「Gifted.」は共にグローバルチャート100位以内進出に至っていません。エド・シーランのアルバム『=』から複数曲がエントリーしたこともあるでしょうが、J-Popが強くない状況はまだまだ続いていると言えます。
*1:また今夏、米ビルボードがソングスチャートにおけるラジオ指標の集計開始日をストリーミングやダウンロードと同じ金曜に統一したことも、季節を彩る曲の上昇度合いを高めたと言えそうです。この件については【海外ビルボード】ラジオ指標の集計期間が他指標に統一された米チャート、BTS「Butter」が7連覇達成(7月13日付)で説明しています。
*2:グローバルチャートは無料会員が100位まで、有料会員が200位まで閲覧可能。ただし有料会員のみが知り得る情報を流すことはできないという観点から、100位以内の動向のみ紹介しています。