毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。
2月22~28日を集計期間とする3月8日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。Kis-My-Ft2「Luv Bias」が22万近いフィジカルセールスを記録し、初登場で総合首位の座に就きました。
【ビルボード】Kis-My-Ft2「Luv Bias」217,880枚を売り上げ初登場総合首位 Official髭男dism「Universe」総合4位に上昇 https://t.co/YOu11GSRL7 pic.twitter.com/D4YitYtqYh
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年3月3日
前作「ENDLESS SUMMER」は初週フィジカルセールスが180763枚を売り上げ18176ポイントを獲得したのに対し「Luv Bias」は217880枚で25324ポイント。好調を続けるTBS火曜ドラマ枠の主題歌となったことも影響しているのみならず、集計期間の火曜が祝日のため水曜リリースの作品のフラゲ日が月曜となり初週フィジカルセールスが丸1週間分となったこともポイントアップの一因かもしれません。ただし同枠の主題歌で大ヒットしたOfficial髭男dism「I LOVE...」やあいみょん「裸の心」はストリーミングが強かったことでロングヒットに至っており、一方で「Luv Bias」に未だデジタル解禁の動きがみられないのは、Kis-My-Ft2のコアなファンではないドラマファンの流入につながりにくいと考えます。今からでもデジタルに明るくなることを願っていますが、まずは次週の動向を注視していきましょう。
さて、今週のビルボードジャパンソングスチャートはポイントが全体的に1割程度低下しています。この違和感は昨日夕方ツイートしたのですが(こちらのツイート参照)、この認識は間違いなかったことがチャート分析家のあささんのツイートにて判明します。チャートポリシー変更は重要な転換点ゆえ、ツイートを紹介させていただきます。
Billboard JAPAN Hot 100の各指標の換算率が今週から変更された模様。CD換算率が約9%、ストリーミングが同18%ほど引き下げられ、ダウンロードが25%ほど引き上げられている。今週の私の予想的中率が低かった主因はこの換算率変更によるものだった。予想力が衰えたからではなかったことで一安心。笑
— あさ (@musicnever_die) 2021年3月3日
チャートポリシーに関しては昨日、オリジナルバージョンとリミックス等別バージョンとの合算する/しない問題を指摘したばかりでした(詳しくはDISH//「猫」は非合算でテイラー・スウィフトは合算? ビルボードジャパンの合算する/しないの明確化を希望する(3月3日付)をご覧ください)。私見を記載したものを下記に貼付し、ビルボードジャパンへ届くことを願います。
ポイントが概ね1割下がったという理由、その予想は的中でした。個人的には、事前アナウンスはあって然るべきだと思うこと(この点ではあささんと立場が異なります)、そしてこのように変更を行うならば米ビルボードのようにビルボードジャパンがオールタイムチャートを用意することが必要だと考えます https://t.co/cdw0i1DpFN
— Kei (@Kei_radio) 2021年3月3日
今回のチャートポリシー変更を踏まえ、トップ10内をキープした6曲のポイント前週比をみてみると。
3月8日付ビルボードジャパンソングスチャート、トップ10をキープした曲のポイント前週比#優里「#ドライフラワー」(2位) 79.4%#Ado「#うっせぇわ」(3位) 84.3%#BTS「#Dynamite」(5位) 87.7%#YOASOBI「#夜に駆ける」(6位) 89.7%
— Kei (@Kei_radio) 2021年3月3日
(続く)
3月8日付ビルボードジャパンソングスチャート、トップ10をキープした曲のポイント前週比(続き)#SixTONES「#僕が僕じゃないみたいだ」(7位) 19.2%#AwesomeCityClub「#勿忘」(9位) 98.2%#LiSA「#炎」(10位) 92.7%
— Kei (@Kei_radio) 2021年3月3日
映画『花束みたいな恋をした』インスパイアソングで集計期間中に『CDTVライブ!ライブ!』にも初出演を果たしたAwesome City Club「勿忘」のポイントがダウンしていることも、今回のチャートポリシー変更で説明がつきます。全体的には9割前後のダウンとなっていますが、その中でワンランクアップし2位につけた優里「ドライフラワー」の落ち込みが目立ちます。
上記動画は以前ならばフルバージョンのミュージックビデオでしたが、2月16日に短尺版化され、一方で差替前の再生回数を継承しています(ともすれば上記動画はまたフルバージョンに戻るかもしれません)。この短尺版化については以前ブログにて疑問視しています。
最新チャートを前週と単純に比較することができないのは先述した通りですが、しかしチャート推移をよく見れば、ミュージックビデオの短尺版化は前週の段階で既に表出していたことでした。チャートポリシー改正前だった3月1日付でポイントが前週割れを起こしていたことが、そのきっかけだったかもしれません。
YouTubeにおけるミュージックビデオの説明欄にある"配信中"のリンクをたどると各デジタルプラットフォームへ遷移するのですが、再生回数が下がれば遷移数が減ることは自明と言えます。またミュージックビデオを短尺版化したことで歌手への信頼度がダウンすることもまた自然なことでしょう(事前告知がなかったならば尚の事です)。ストリーミングは8週ぶりに再生回数が前週比95%以下となり、ダウンロードは2週続けて2割以上減少したことが、ミュージックビデオ短尺版化と関連がまったくないとは言えないはずです。
次週は集計期間中に『CDTVライブ!ライブ!』でのパフォーマンスもあり、チャートポリシー変更となった今週に比べてポイント前週比は低くはならないでしょう。しかしながらミュージックビデオ短尺版化の弊害は少なからず発生していると個人的には捉えており、昨日フィジカルリリースされたBEYOOOOONDS「激辛LOVE」の動向如何では首位争いは混戦となるかもしれません。