いろいろ考えさせられる記事です。
ドレイクが先月末にリリースしたアルバム『Scorpion』は米ビルボードアルバムチャートにて今年最高の初動(732000ユニット)にて初登場首位を記録しましたが、発売から2週間はCDリリースしていませんでした。『CD発売を遅らせる理由についてレーベル側は、リリース前の流出と海賊版をある程度防止できるからだと説明』『あるメジャー・レーベルの社長は、ドレイクは50万ドル(約5,620万円)以上のCD収益よりも、ストリーミングでトップになったという名誉が欲しかったのではないか』との見方があります(いずれも上記記事より)。音源流出問題はデジタル登場以降もみられる問題ですが、私見として、ストリーミング再生がソングスチャートにも反映されるという現在のチャート集計方法もまたCDリリースよりデジタルが重要視される理由ではないかと。その反映に関しては弊ブログでのソングスチャート速報、もしくは下記bmrの記事をご参照ください。
デジタルのメリットは他にも、完成した作品をすぐに届けられる、在庫という概念がない(ので在庫過多というリスクがない)というのもありますし、消費者の意識が変わったこともデジタル後押しの要因と言えます。ゆえに小売業者の斜陽は止まらず、『2018年前半の27週における全米でのCDセールスは3,590万枚で、昨年の同時期と比較して19.9%下落』(上記ビルボードジャパンの記事より)し、さらに。
アメリカでCD販売の大手「ベスト・バイ」が、2018年7月1日をもって、CD販売を中止に。ただししばらくアナログ盤は売る。いよいよ時代は、ストリーミング、ダウンロードか。 https://t.co/SAeabWEey9
— 吉岡正晴 (@soulsearcher216) July 7, 2018
日本からタワーレコードやHMVが消えたらどうなるか…想像つきません。日本では考えられない状況がアメリカでは現実のものとなっているのです。
今回記事で取り上げられた『Scorpion』については、『デジタルと同時に発売されていれば全米で25万から30万枚の初週売上は堅かったところを、タイムラグを挟んでのリリースとなった今回は初週に5万枚売れれば良い方だと業界アナリストは見ている』(上記記事より)とのこと。もしCDが予想以上に売れていれば復権の兆しがチラリ見えてくるのではと思い、その答え合わせをすると。
.@drake's 'Scorpion' Spends Third Week at No. 1 on Billboard 200 Albums Chart, Wiz Khalifa Bows at No. 2 https://t.co/9dy5KJBvjH pic.twitter.com/goiicMHJhA
— billboard (@billboard) July 22, 2018
日本時間の今日早朝に発表された最新チャートで、3週目の首位を獲得した『Scorpion』。ユニット数では260000を記録。そのうちストリーミングのアルバム換算分は213000である一方、CDセールスはわずか13000にとどまっているのです。デジタルダウンロードはCDリリース初週のため買い控えが起こったのか前週比44%もダウンしていますがそれでも16000を売り上げており、いかにCDの立ち位置が低くなったかというのが如実に解ります。
アメリカでは、CDはもはや過去の遺産になったのかもしれません。