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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Mrs. GREEN APPLEの勢いが際立ったビルボードジャパン最新チャート、その状況をまとめる

最新9月25日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:9月16~22日)では、Mrs. GREEN APPLEの勢いが際立っています。ロングヒットを続ける「ライラック」は3→2位に上昇しました。

上記CHART insightにおいて、「ライラック」の各指標は順位が大きく変わっていないようにみえますが、獲得ポイントはラジオを除きいずれも上昇しています。

続く2位は先週より1ランクアップしたMrs. GREEN APPLEライラック」。前週と比較して、ストリーミングは104%、ダウンロード124%、動画108%、カラオケ110%と増加し、ストリーミングは14週連続の首位、動画は通算4回目の首位を獲得した。なお、累計ストリーミング数は現時点で2億4,979万7,859回となっており、次週には2億5000万回を突破する見込みだ。

加えてこのような指摘も。

また9月13日から、映画『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge in CINEMA』が公開された影響か、Mrs. GREEN APPLEの楽曲が複数ランクアップ。Hot 100にチャートインした楽曲は15曲で、「ケセラセラ」や「青と夏」、「ダンスホール」など計13曲が前週よりポイントを増加させた。

(※先述した総合ソングチャートの記事より。)

これを示しているのが、記事に掲載されたこちらの表です。

ビルボードジャパンではチャート関連記事にCHART insightのデータを貼付することがあり、有料会員のみ閲覧可能な100位まで(総合/各指標双方において)のデータを掲載することが少なくありません。上記引用分は総合ソングチャートでのMrs. GREEN APPLEによるランクイン曲一覧ですが、総合/各指標100位までが掲載。そしてこの表から、Mrs. GREEN APPLEにおいては青で示されたストリーミングが強いことが解ります。

実際、ストリーミング指標の基となるStreaming Songチャートの記事でも、Mrs. GREEN APPLEの強さについて言及されています。

なお、前週はチャートに登場した15曲のうち10曲が前週比100%超えを達成していたミセスだが、まず当週は「StaRt」(100位)が13週ぶりにトップ100に返り咲いたことで、トップ100に登場している曲数が15曲→16曲へ増加。加えて、「ライラック」を含むそのうち13曲が前週比100%超を達成しており(なかでも「点描の唄 feat.井上苑子」は同曲初のトップ10入り、「僕のこと」は前週比120%超を記録)、勢いが止まらない状態だ。

 

 

9月25日公開分は集計期間のうち平日が4日間。平日より土日祝日のほうがストリーミング再生回数が伸びる傾向にあるため、総合ポイントでも前週超えを果たす曲が多いとみられていました。

それが蓋を開けてみると、当週ポイントを伸ばした曲は多くはなく、Mrs. GREEN APPLEの作品が際立っていることが解ります。集計期間後半に発生した能登半島大雨災害、またその報道に触れる等により、音楽聴取ができないもしくは控える方が多かったことが全体的な減少につながったかもしれません。当週のポイントは10位において今年度2番目に低く、50位においては最も低い状況です。

その中で、Mrs. GREEN APPLEは映画公開やメディア露出を経て、その勢いを高めることに成功しました。

先週9月13日からの映画『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge in CINEMA』の公開、また9月15日放送の『日曜日の初耳学』への出演以降、楽曲が軒並みストリーミング再生数を伸ばしているMrs. GREEN APPLE。「ライラック」は前週比約104%と、週間1,000万再生にはわずかに届かなかったものの、ここにきてまた右肩上がりとなった。

(※先述したStreaming Songチャートの記事より。)

 

 

Mrs. GREEN APPLEは今年度の歌手別チャートで圧倒的な強さをみせていますが、それがさらに強まっているという印象です。

ソングチャートとアルバムチャートを合算したビルボードジャパンによるトップアーティストチャート(Artist 100)では、Mrs. GREEN APPLEが今年度通算29週目の首位に。ストリーミングは40週連続、動画再生は12週連続、そしてカラオケは36週連続で首位を記録しています。そして興味深いのはフィジカルセールス指標においてトップ20内に戻ってきたことです。

ビルボードジャパンアルバムチャートでは2024年度の43週すべてで100位以内にランクインした作品が4つありますが、そのうち2作品がMrs. GREEN APPLEによるもの(『ANTENNA』(2023 上記CHART insight掲載分)およびベストアルバム『5』(2020))。ここから、楽曲を支持するライト層が積極的な所有行動を採る、いわばコアファンへ昇華を果たしたと想起可能です。

 

 

この動きを踏まえ、Mrs. GREEN APPLEが2年連続で『NHK紅白歌合戦』に出場する可能性は高いと考えます。また「ライラック」が「ケセラセラ」に続き2年連続で日本レコード大賞を受賞する可能性も、ゼロではないかもしれません。