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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

King & Princeがデジタル解禁へ…その背景、および解禁スケジュールについて考える

King & Princeの作品が今月デジタル解禁します。全曲ではないのですが、しかしながらこの解禁がSTARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所)、そして日本の音楽業界を大きく変える予感がします。

 

 

デジタル解禁の概要は以下の通り。

「halfmoon / moooove!!」は5月23日にCDリリースされる15thシングル。「Mr.5」は昨年4月に発売された、King & Prince初のベストアルバムだ。このたび配信されるのは、シングルに収録される全6曲と、ベストに収録された全57曲の計63曲。なおシングル「halfmoon / moooove!!」表題曲2曲は5月20日に先行配信される。

 

今回、King & Princeがデジタル解禁に踏み切った背景には、音楽チャート動向等があるかもしれません。

2023年11月15日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、King & Princeによるフィジカルシングルの前作「愛し生きること」がIMP.「CRUISIN'」の後塵を拝しています。ポイント差は2,000近くとなり、デジタル解禁の重要性を強く感じるチャートとなりました。尤もこの2曲はラジオ指標の差も大きく関わっていますが、King & Prince側がデジタルを解禁していれば状況は変わっていたかもしれません。

そして、元King & Princeのメンバー3名から成るNumber_iは元日に「GOAT」でデビューし、1月10日公開分ビルボードジャパンソングチャートを制しています。同週はKing & Princeと同事務所所属のKis-My-Ft2による「HEARTBREAKER」がフィジカルセールス指標初加算に伴い総合5位に登場。その後「GOAT」はフィジカルセールス指標初加算時に2位に再浮上し、現在まで17週に渡り50位以内にエントリーを続けています。

 

元日付ブログエントリーではNumber_i「GOAT」がSTARTO ENTERTAINMENTの姿勢を変えるかもしれないと書きましたが、たとえば一昨日には関西発の3組(SUPER EIGHT、WEST.およびなにわ男子)によるKAMIGATA BOYZがシングル「無責任でええじゃないかLOVE」をリリースし、SUPER EIGHT以外の2組においてはチャリティーシングルを除き初めて、ユニットとしてですがサブスク解禁を果たしています。

特にフィジカルシングル初週20万枚以上セールスが見込めるSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手において、今も未解禁の状況が続いています。

その昨日におけるブログエントリーではこのように記しましたが、King & Princeが解禁に踏み出したことで状況はますます変わるものと考えます。実際、上記エントリーで紹介したSixTONESのニューシングル「音色」ではミュージックビデオ以外の動画にてフルバージョンが用意されており、彼らも実はデジタル解禁を行いたいのではと感じています。

 

 

さて、King & Princeのサブスク解禁が報じられる前、インスタライブを観たと思しき方がつぶやいていた内容を踏まえて以下のポストを発信しました。

無論日本の音楽業界がサブスクサービスとの協議を行う必要がありますが、サブスクに対し悪しき印象を抱く方には上記ポストで記した認識を持つことを願うと共に、日本の音楽業界に対しサブスクサービス側との協議を行うよう提案し続けることが必要と考えます。

なお、King & Princeは2作前のフィジカルシングル「なにもの」と前作「愛し生きること」とで初週フィジカルセールスが大きく異なっています(「なにもの」は初週546,829枚(2023年6月28日公開分)→「愛し生きること」は初週353,077枚(2,023年11月15日公開分))。タイアップ先の話題性等様々な要因を考える必要がありますが、この売上枚数推移もデジタル解禁の一因かもしれません。

 

 

そして、今回のKing & Princeによる「halfmoon」「moooove!!」(ダブルAサイドシングル)フィジカルリリース直前のデジタル解禁、そしてそのデジタル解禁日がビルボードジャパンソングチャートの集計期間初日(月曜)に当たるというスケジュールの組み方が、最新ソングチャートで首位に初登場を果たしたBE:FIRST「Masterplan」を彷彿とさせることにも注目しています。「Masterplan」についてもこのブログで紹介しています。

複合指標から成る音楽チャートを制することは難しいことです。BE:FIRSTはフィジカルシングルが5作品いずれも売上チャートで首位に至っていませんが、しかしBE:FIRST側はビルボードジャパンソングチャートをより重視し、同チャートでのいわば必勝パターンを身に着けたと感じています。

実際、フィジカルセールス指標初加算週の動向をみると5作品いずれも1万6千ポイント超えを果たしていることが解ります。そして「Bye-Good-Bye」(2022)以外はフィジカルセールス週のデジタル解禁を徹底しています。

King & Princeの髙橋海人さんとBE:FIRSTのSOTAさんは幼馴染であり、昨年末のテレビ番組で共演。その際SOTAさんは、自身が歌手を志すきっかけ、そして刺激となったのが髙橋さんだったと明かしています。

ともすれば髙橋さんがSOTAさん、そしてBE:FIRSTに刺激を受けたこともKing & Princeによるデジタル解禁の一因ではないかと感じています。さらには先述したNumber_iの活躍も、いい意味で刺激になっているのではないでしょうか。

 

 

昨日付のエントリー(KAMIGATA BOYZ「無責任でええじゃないかLOVE」、金曜にデジタルリリースしたことが興味深い)にて、『STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所)所属歌手の作品がデジタル解禁することを願っています』と締めくくりました。今回のKing & Princeの動きを踏まえれば、もっと動いていく予感がします。状況がさらに加速していくことを願うとともに、その願いの根底にあるものをあらためて紹介します。