最新4月10日公開分(集計期間:4月1~7日)のビルボードジャパンソングチャートでは、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が11連覇を達成しています。
(記事はブログの後半に掲載しています。)
Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は現時点でポイント加算対象となる5指標のうち4指標を制覇。一方で気になるのは、ストリーミング指標の基となる再生回数のダウン幅の小さくなさです。
日本のSpotifyデイリーチャートにおいて #CreepyNuts「Bling-Bang-Bang-Born (#BBBB)」が首位を続けていますが、同曲は4月1日以降9日連続で前週同曜日の数字を割り込んでいます(順に99.1%→99.9%→93.2%→96.4%→92.1%→92.5%→96.9%→89.5%→85.5%)。特に今週月曜以降の状況は気になるところです。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2024年4月10日
ストリーミング指標データ提供元のひとつであり、再生回数のおよそ2割を占めるSpotifyにおいてCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のダウン幅は徐々に大きくなっています。同曲はカラオケ指標や、ソングチャート加算対象外ながらTikTokならびにUGCでのいわば”活用”人気に伴い大ヒットしましたが、この活用に伴うヒット曲は失速時のダウン幅が大きくなる傾向にあることを示しているかもしれません。
さて今回はILLIT「Magnetic」に注目します。この曲については前週8位に初登場した際、海外の動向も踏まえて紹介しています。
この「Magnetic」、登場2週目にしてトップ3に到達しています。
ILLIT「Magnetic」のポイント前週比は142.4%。当週はCreepy Nuts「二度寝」(12→9位 ポイント前週比115.2%)や星街すいせい「ビビデバ」(27→20位 同126.0%)もポイントを比較的大きく伸ばしていますが、「Magnetic」の上昇度合いは突出しています。
前週8位デビューとなったILLITの「Magnetic」は、3位に急上昇している。各指標ではストリーミングが約48.6%増の10,866,450再生で7位→3位、ダウンロードでも前週比約15.4%増の2,277DLで23位→19位に、そしてラジオが84位→24位へ大きく上昇したことなどが起因となり、総合ポイントは6,953ポイントを獲得している。
【ビルボード】Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」11週目の総合首位獲得、ILLIT「Magnetic」が3位に急上昇 https://t.co/6rKgLut9EN
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年4月10日
ストリーミングは同曲初の1千万回再生を突破し、同指標トップ3入り。動画再生は12→16位にダウンしていますが、ラジオの伸びからはライト層獲得の可能性を感じます。ILLITは今度の日曜に放送される『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)に出することがアナウンスされており、K-POPファンや番組ファン、そしてライト層へのリーチが見込まれます。
ILLIT「Magnetic」は最新4月10日公開分のTikTokチャート(TikTok Weekly Top 20)で3位をキープし、歌ってみたや踊ってみた等に代表されるUGC(ユーザー生成コンテンツ)のチャート(Top User Generated Songsチャート)では20→9位に上昇。『世界の果てまでイッテQ!』ではガンバレルーヤと共に「Magnetic」をパフォーマンスするとのことで、動画再生指標が再上昇する可能性も十分考えられます。
そして注目は、ILLITがユニバーサルミュージック発ながらもTikTokで発信しているという点でしょう。ユニバーサルミュージックグループは日本も含め、2月以降TikTokから音源を引き上げたままです。
ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)の公式ホームページで発表された(*注1)通り、2024年1月31日を期限としていたUMGとTikTokの契約については、更新の合意に至ることができませんでした。
一方、ILLITが所属するHYBEが3月下旬にユニバーサルミュージックと交わした契約に注目です。この契約内容については、noteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦さんによるコラム(ルセラとNewJeansの記録を塗りかえた、ILLITのデビュー曲「Magnetic」の凄さ(徳力基彦) - エキスパート - Yahoo!ニュース(4月7日付))で知りました。
この契約により、HYBEは今後10年間にわたり、UMGにグローバルアルバム・音源流通を独占的に任せる。なお、今回の流通契約の対象から韓国、中国、日本、TikTok・YouTubeなどのSNSは除外されたという。
ILLIT「Magnetic」は世界的にヒット規模が拡大。米ビルボードによる最新4月13日付グローバルチャートではGlobal 200で63→8位、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.では33→2位に上昇し、デビュー曲にして初のトップ10入りを果たしています。
ILLIT「Magnetic」はSpotifyの最新4月9日付バイラルソングチャートにおいてグローバル、米そして日本でも首位に。バイラルチャート制覇が再生回数の増強に必ずしもつながるわけではありませんが、バイラルヒットにはTikTokでのバズが作用していることは容易に想像がつきます。HYBE側はTikTokの重要性を重々承知しており、先月の契約において独自路線を採ったと考えていいでしょう。その成果が今回表れた形です。
テレビ番組出演を機に、TikTok経由でサブスク等が盛り上がることが予想されるILLIT「Magnetic」は、しばらく日本でも話題となることでしょう。次週は乃木坂46「チャンスは平等」が高いフィジカルセールスに伴い、そして米津玄師「さよーならまたいつか!」がデジタル初週1週間フル加算により上位進出を図りますが、ILLIT「Magnetic」はCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のライバルに成り得るかもしれません。