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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

HYBE発ガールズグループILLIT、「Magnetic」が日本そして世界で上位に初登場したことについて

最新4月3日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:3月25~31日)では、K-POP女性ダンスボーカルグループのILLIT(アイリット)による「Magnetic」が8位に初登場を果たしています。

また、ILLITの「Magnetic」も初登場で8位デビュー。HYBEが手がけるオーディション番組『R U Next?』からデビューした、日本人メンバーを含む5人組のガールズグループで、本楽曲は3月35日にリリースされたデビューミニアルバム『SUPER REAL ME』のリード曲だ。ストリーミングが7,308,883再生で7位、ダウンロードが1,973DLで23位、動画再生は1,085,090再生で12位、ラジオは84位という好成績で華々しいデビューを飾った。

(※4月5日4時の段階で、記事では『本楽曲は3月35日にリリースされた』とありますが、正しくは『本楽曲は3月25日にリリースされた』です。)

ILLITはLE SSERAFIMやNewJeansの後輩にあたるため、HYBEの末っ子もしくは末娘と表現されることもあるILLITですが、音楽チャートにおいては先輩に肩を並べる、もしくはそれ以上の活躍をみせています。これはarne代表の松島功さんによるポスト(おそらくはビルボードジャパンソングチャートにおけるストリーミング指標の基となるサブスクサービスの再生回数動向を示したグラフ)からもよく解ります。

 

 

松島さんも述べているように、ILLIT「Magnetic」の凄さは日本で既にストリーミングが高い点にあります。

「Magnetic」では音源が解禁された3月25日月曜18時から4月2日火曜までLINE MUSIC再生キャンペーンが組まれたことも影響しているといえるでしょう。実際、4月2日までの1週間において、LINE MUSICでは「Magnetic」が7位にランクインしています。

LINE MUSIC再生キャンペーンは日本でまだ多くはない解禁直後の上位進出につながる一方、キャンペーン終了直後の失速、また他のサブスクサービスとの順位や再生回数の乖離を呼びかねません。しかしILLIT「Magnetic」では最新4月4日付LINE MUSICデイリーチャートで6位、そして日本における最新4月3日付Spotifyデイリーチャートでは3位に入っています。

さらに4月3日公開分ビルボードジャパンソングチャートと集計期間を同一とするApple Music週間チャートではILLIT「Magnetic」が3位に初登場。「Magnetic」はLINE MUSIC再生キャンペーンの反動等が起きていないと断言できるのです。

 

ILLIT「Magnetic」は日本の4月3日付Spotifyデイリーチャートで最高位のみならず再生回数も更新。(追記あり) 新曲が初登場しやすい曜日は、”50位の壁”とは...日本におけるSpotifyデイリーチャートの特性をまとめる(3月13日付)で記したように日本では土日の再生回数が伸びるSpotifyにあって、平日(水曜)での記録更新からは「Magnetic」の勢いがよく解るのです。

そして、ILLIT「Magnetic」の人気は世界規模にもなりつつあります。

ILLITの1stミニアルバム「SUPER REAL ME」のタイトル曲「Magnetic」が、4月2日に米ビルボードが発表した最新チャート(4月6日付)において「グローバル200」と「グローバル(米国を除く)」でそれぞれ63位、33位となった。K-POPガールズグループのデビュー曲として両チャートとも歴代最高順位を獲得し、新記録を樹立した。

ビルボードによるグローバルチャートについては下記をご参照ください。

 グローバルチャートの集計期間は金曜から木曜まで。すなわち3月25日月曜夕方にリリースされたILLIT「Magnetic」は集計期間3日強と不利だったにもかかわらず、4月6日付グローバルチャートにおいてGlobal 200で63位、Global Excl. U.S.では33位に初登場を果たしたのです。しかも当週はフューチャーとメトロ・ブーミンのコラボアルバム『We Don't Trust You』収録曲が大量エントリーを果たした中での上位進出となります。

グローバルチャートにおいては次週4月13日付にて、ビヨンセ『Cowboy Carter』収録曲が大挙初登場を果たす(もしくは先行曲が再浮上する)ものと思われますが、ILLIT「Magnetic」は日本のみならず世界でもSpotifyデイリーチャートで上昇を続けており(下記ポスト参照)、グローバルチャートでの存在感はますます高まるでしょう。そして米ソングチャート(Hot 100)でもランクインする可能性が有り得ると考えます。

 

 

HYBEブランドの確立、先輩のLE SSERAFIMやNewJeansの人気に伴う末っ子への期待、先輩グループとの差別化、ファンダムの意識や連帯の強さ等もILLIT「Magnetic」の人気の理由と考えられます。オーディション番組出身ゆえ、コアファンの支えたいという思いも高いでしょう。その中にあってリリース以降のデイリーチャートの伸びからは、「Magnetic」がいわば見つかった、楽曲が支持されたと捉えていいかもしれません。

ビルボードジャパンによる最新4月3日公開分TikTok Weekly Top 20でもILLIT「Magnetic」が3位に初登場。現在TikTokからはユニバーサルミュージックグループが音源を引き上げている状況ですが、逆に言えば現在も音源を提供している側は目立ちやすくなったといえるかもしれません。若年層が支持するTikTokでの人気が、同じく若年層の利用が多いLINE MUSICでの安定的なヒットにつながっていると捉えています。

 

ILLIT「Magnetic」のチャート動向に注目すると共に、日本メディアへの出演がいつになるかも気になるところです。