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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】YOASOBI「アイドル」が圧倒…Spotifyでの三度の追い風、そして今後の注目点とは

4月10~16日を集計期間とする最新4月19日公開分ビルボードジャパンソングチャートは、YOASOBI「アイドル」が初登場で首位を獲得しました。

YOASOBIの総合ソングチャート制覇は2020年9月30日公開分における「夜に駆ける」(6週首位)以来2曲目。またストリーミングにおいても首位となり、この指標ではおよそ半年ぶりに首位が入れ替わりました。

 

最新4月19日公開分ビルボードジャパンソングチャートではトップ10のうち6曲が初登場、また1曲が前週から大きく上昇し初のトップ10入りを果たしています。その中でもYOASOBI「アイドル」の勢いは大きく、集計期間3日目のリリースながら唯一1万ポイント超えを果たしています。

この曲については前週土曜の段階で一度ブログにて紹介していますが、インストゥルメンタル音源を配布したことで”歌ってみた”等に代表されるUGC(ユーザー生成コンテンツ)が増え、最新4月19日公開分のTop User Generated Songsチャートでは「アイドル」が3位に初登場。UGCを介しYouTubeの公式動画視聴やサブスク聴取へつなげんとする狙いが的中したと言えます。ストリーミング、動画再生指標の双方で首位に立ちました。

 

主要サブスクサービスで軒並みデイリーチャート最上位に到達したYOASOBI「アイドル」。例えばデイリー200位までの再生回数が可視化されるSpotifyにおいて、「アイドル」の凄さを感じることができます。

4月14日付以降現在まで連続で首位を獲得している「アイドル」は、次週の集計期間初日にあたる4月17日付で再生回数が増加。月曜が日曜より再生回数を下げるという慣例を破っているのです。

 

少なくともSpotifyについては、「アイドル」に三度の追い風があったと考えます。

1つ目は”50位の壁”突破。日本のSpotify再生回数は人気プレイリスト加入で人気が加速します。YOASOBI「アイドル」は4月12日付で80→5位に上昇しトップ50プレイリスト(→こちら)の仲間入りを果たすと、その後上昇気流に乗っています(なおSpotifyの日付の区切りは午前0時以降と考えられるため、リリース前日にフラゲ的な形で初登場しています)。当該プレイリストはブログ執筆段階で101万以上のユーザーが登録しています。

2つ目は週末効果。日本のSpotify再生回数は平日よりも土曜、土曜よりも日曜の再生回数が伸びます。50位の壁効果が薄れたとしても土日を迎えたことで、再生回数は4月16日日曜に44万回に達します。

そして3つ目が月曜更新プレイリストの効果。最初の理由で述べた内容と被りますが、「アイドル」はTokyo Super Hits!プレイリスト(→こちら)の巻頭を飾り、YOASOBIもカバーに選出。現段階で76万を超えるユーザーが登録するプレイリストで選出される効果は大きく、通常は再生回数を落とす月曜に「アイドル」はむしろ再生回数を伸ばし、同曲の最高再生回数を更新したのです。

YOASOBI「アイドル」は水曜リリースながら圧倒的な強さでストリーミング指標首位に立ち、他指標も大きく加算したことで総合首位を獲得したという次第です。

 

 

今後の注目ポイントは「アイドル」の勢いがどこまで続くか、Official髭男dism「Subtitle」や米津玄師「KICK BACK」級のヒットに至るかという点にあります。なお日本のSpotifyにおいては、最新4月18日付で再生回数が更に伸びている状況です。

「夜に駆ける」はビルボードジャパンソングチャートで通算6週首位を獲得しましたが、最初に首位を獲得した18週後に6度目の首位を記録。当時は今以上にフィジカルセールス指標が強い曲が有利なチャートポリシー(集計方法)だったことが影響しており、チャートポリシー変更を経てデジタルに強い曲が週間単位でも首位に立ちやすくなった現状を踏まえれば「アイドル」がフィジカルに強い曲を凌駕するものと考えます。

 

YOASOBIは総合首位獲得をきちんと報告し、喜びのツイートを発信。コアファンとのエンゲージメントの強化、そしてライト層の注目も集めることにつながるツイートの自然な言葉遣いに巧さを感じます。加えてミュージックビデオの再生回数について、多言語で紹介しているのも興味深いところです。

上記はその一例ですが、このような発信は米ビルボードが日本時間の火曜に発表するグローバルチャートへの意識の表れではないでしょうか。Spotifyのグローバルチャートを紹介していることが、そう考える理由です。

ビルボードによる4月29日付グローバルチャート(Global 200およびGlobal Excl. U.S.)は4月14日からの1週間を集計期間とし、日本時間の4月25日火曜に発表される予定です。このチャートについては下記リンク先にて解説しています。

 

 

さて最新のビルボードジャパンソングチャートはトピックが満載。他のトップ10入り作品の動向については明日以降紹介する予定です。