イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

グローバルトップ10入りのYOASOBI「アイドル」は次週以降さらに伸びる可能性…Spotifyの動向から読む

本日はビルボードジャパン各種チャートの発表日。ソングチャートではYOASOBI「アイドル」が今週も首位を獲得する可能性が高いと思われます。そしてその「アイドル」は、ストリーミングで今も伸び続けています。

上記は200位までの再生回数が可視化された日本のSpotifyデイリーチャートにおけるYOASOBI「アイドル」の、4月30日付までにおける前週同曜日比の推移。4月29日土曜は前週同曜日に比べて伸び率が初めて1割を下回ったものの、上記ツイートの翌日(5月1日付)もこの水準を維持しています。

 

Spotifyの再生回数はビルボードジャパンが発表するストリーミング再生回数でおよそ2割を占め、また平日より土曜、土曜より日曜の再生回数が伸びるのが特徴です。また平日が祝日の場合は土日並の水準に達する傾向があります。

最新5月1日付のSpotifyデイリーチャートでは200位の水準が平日で初めて3万9千回台に到達しています。ここから、YOASOBI「アイドル」のストリーミング再生回数がゴールデンウイーク後半にピークに達するのではと考えています。

日本のSpotifyデイリーチャート、2020年以降のゴールデンウイークにおける首位獲得曲の再生回数推移および前週同様日比を示した表を上記に。2020年以降はいずれも同じ曲が首位を続け、今年はYOASOBI「アイドル」が首位に立ち続けるものと予想されます。

注目は2021年以降、ゴールデンウイーク後半において平日が祝日となった日の前週同曜日比が1割前後上昇しているということ。同じ連休でも年末年始は大晦日を中心に大きく下がる傾向の一方、ゴールデンウイークは帰省者数が少なく娯楽に時間を割く方が多いものと思われ、音楽聴取の拡大にもつながっていると考えられます。尤もコロナ禍が多少改善されたことで今年は音楽聴取以上に外出等が増えるかもしれません。

 

またYOASOBI「アイドル」がオープニングテーマに起用されたテレビアニメ『【推しの子】』は本日そして明日無料配信されます。YOASOBI側の働きかけもありアニメへの注目度が高まることも予想されます(し、この紹介ツイートもまた、背中を押す効果をもたらすという意味で巧いと感じます)。インドアで過ごす方においてはアニメ経由で「アイドル」聴取につながる機会も生まれるはずです。

 

ここ数年の流れを踏まえれば、Spotifyのみならずストリーミング全体においてもゴールデンウイーク後半の再生回数が増加し、YOASOBI「アイドル」が5月7日までを集計期間とする5月10日公開分のビルボードジャパンソングチャートにて今年度週間最高ポイントを更新する可能性は高いでしょう。実際、本日公開分のチャートにおいてはYOASOBI「アイドル」が前週以上のポイントを獲得すると複数の予想担当者が示しています。

 

そしてYOASOBI「アイドル」のストリーミングの加速は日本のみならず世界のチャートにも影響を与えるはずです。

4月27日までを集計期間とする最新5月6日付、米ビルボードによるグローバルチャートではYOASOBI「アイドル」がGlobal 200で10位、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.で5位に登場。Global 200において「アイドル」はLiSA「炎」(2020年10月 8位)以来のトップ10入りとなります(なお下記表では注釈のとおり、BTSの日本語詞曲「Film out」や日本人歌手のジョージによる「Glimpse Of Us」は掲載していません)。

ビルボードによる音楽チャートは木曜までを集計期間とするためビルボードジャパンの週間動向がそのまま反映されるわけではありませんが、日本でのストリーミングの興隆がGlobal 200における14→10位(Global Excl. U.S.では5位をキープ)の要因と言えるでしょう。またSpotifyにおいてはグローバル再生回数に占める日本の割合が大きいゆえ(徒然研究室さんの下記ツイート参照)、日本の動向がよりダイレクトに反映されます。

 

次回5月13日付のグローバルチャートは4月28日~5月4日が集計期間となり、ゴールデンウイーク中盤の動向が反映されます。ゴールデンウイークにはさらに伸びるであろう「アイドル」の勢いをどうやって広く海外に届けていくか、YOASOBI側のさらなるアイデアに注目したいと思います。